日本の冬の食卓にこっそり忍び寄る危機。それを救うのは、もしかすると「川魚」かもしれません。
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すり身原料の高騰が続く
11月に入り、急に朝晩の冷え込みが強くなってきました。こんな時期になるとついつい食べたくなるものといえば「おでん」。全国に様々なご当地おでんがありますが、個人的には小田原おでんや姫路おでんのような「練り物がたくさん入った」スタイルのおでんが、練り物から出る濃厚な出汁を味わえるので好きです。
しかし、そんな「練り物」の製造が今ピンチを迎えています。原料となる「魚のすり身」の価格が世界的に高騰し、製造会社の経営を圧迫しているのです。
スケトウダラ(提供:Photo AC)世界で最も漁獲される魚といわれるアンチョビの不漁傾向が続く中、代替品としてスケトウダラに需要が集まり、値段が高騰しています。わが国のすり身原料はこのスケトウダラが主流なので、魚価が高騰するとすり身製品の製造費用を直撃してしまうのです。
救世主は「ナマズ」!?
そんな中、とある意外な魚が「救世主」になるのではないかと注目されています。その魚とはパンガシウス。東南アジア原産の巨大なナマズの一種です。
パンガシウス(提供:Photo AC)パンガシウスはわが国には生息していませんが、切り身が盛んに輸入され、スーパーでも加工品を購入することができます。その身はクセのない白身で加工品にも向き、すり身の性状はスケソウダラに似ています。さらに成長も早く、養殖設備が充実しているのでスケソウダラと比べ価格高騰のリスクも低く、安定的に入手することができると期待されています。
淡水魚であるため特有の匂いがわずかにありますが、それを消す技術も開発が進められており、今後はパンガシウスを用いた練り物製品の供給も増えていくのではないかとみられています。
淡水資源のすり身原料としての可能性
さて、実はわが国にも、このパンガシウスと同様に利用できそうな魚がいます。それはチャネルキャットフィッシュ。
チャネルキャットフィッシュ(提供:Photo AC)アメリカナマズの名前で知られるこのナマズは、アメリカ大陸原産の外来生物で各地に定着し大きな問題を引き起こしています。その一方で身質は非常によく、現在でも食用に養殖されています。資源量も相当なもので、法律の壁はあるものの、需要さえあれば資源化するのは可能だと思われます。
これ以外にもブラックバスやコイ、ソウギョ、ニゴイなどのような局地的に多産し、食用にされてきた淡水魚が少なからずあります。これらは独特な匂いがあったり小骨が多いことで嫌われてきましたが、すり身原料としてならば十分にポテンシャルがあるものと思われます。
もしかすると今後、これらの魚たちが使われた練り物が、我々の食卓に登る日が来るかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


