キハダがいてもなかなかコマセに反応せず、スタートが遅れていた今年の相模湾キハダマグロ。10月中旬からようやく口を使い始めると、相模湾西部の海域では50kg以上のモンスターが連日のように仕留められ、例年以上に盛り上がっている。10月26日、茅ヶ崎港「第3ちがさき丸」での釣行では、同船者が73.5kgの正真正銘のモンスターを見事釣り上げた。その模様をレポートするとともに、モンスターゲットを実現するためのポイントを提言する。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)
相模湾でコマセキハダ釣り
この日は台風30号の影響で秋雨前線が関東地方の太平洋側に南下し、南風で暖かかった前日とは違って北風となった。相模湾は冷たい雨が一日中降り続く、寒く厳しい条件での釣りとなった。
ちがさき丸で出船
それでも米山翔太若船長が操船する「第3ちがさき丸」は、16名の釣り人を乗せて午前6時に出港。迷いなく、モンスターが姿を見せる相模湾西沖を目指した。
1号船でヒットした66.8kg(提供:ちがさき丸)10月中旬まではカツオと混在するナブラを追いかける形だったが、ここに来て船を流し、コマセでキハダを寄せる流し釣りに移行している。
ビシダナ30mで釣り開始
午前7時前、「ビシダナ30mでやってください」と船長のアナウンスで釣り開始。私の釣り座は右ミヨシ。船首は風の北東を向き、潮は左後ろの南西に流れる形。私は最も潮上で、コマセ釣りとしては一番苦しい釣り座である。
それでも、何かの瞬間に船の周りから潮向きに関係なく、さっと船下に入ってくるマグロを想定。冷たい雨の中でも集中力を保ちながら、丁寧な釣りを心がける。
船下にキハダの群れが接近
しばらくすると、「マグロが船の後ろと左後ろあたりに出てきたよ」と船長のアナウンス。皆がまくコマセが潮下に流れ、それを食い始めている証拠だ。
そして午前8時30分ごろ、「船の下に入ってきて、マグロが上がり下がりしてエサ食ってる。誰かに当たるよ!」と翔太船長。すると、左後ろの釣り人にヒット!しかし、残念ながらハリ掛かりせず逃すことに。
推定40kg級のキハダが浮上
今度は右後ろの釣り人にヒット。時間をかけてやり取りするも、途中でサメに半身をかじり取られた状態で上がってきた。それでも計測で26kg。元の重量は推定40kg級だ。
そして正午を迎えるまでに、同じ釣り人も含め、やはりトモ寄りで2度のアタリがあったものの、いずれも逃げられる結果に。
デカカツオもヒット
当日はコマセにカツオも寄り、最大8.6kg、どれも7kg以上あるデカカツオが左舷を中心にバタバタ当たり、数匹仕留められた。
船中ビッグヒット到来!
そして風が東に回り、少し船向きが変わった正午過ぎ。ビシダナ35mで、再び船長からマグロが船下に入り込むことを知らせる激熱のアナウンス。
自分にもチャンスありかと集中力を高め、竿を手持ちにしてアタリを待っていたその瞬間、右舷胴の間の坂本竜一さんに待望のヒット!坂本さんの仕掛けは、ハリス24号+26号の逆テーパー、全長12m。ハリはジャイアントキハダ14号。
ファーストランで180m
ヒット後、180m走らせたところで「シーボーグ G800MJ」のドラグを締め込み、ファーストランを止める。
ドラグを締めてマグロを弱らせる
その後もドラグを締め込みながら、マグロにテンション負荷を与えて弱らせつつ、少しずつ浮かせてくる。100m前後で抵抗が強まったときも、仕掛けの強度を信じ、ドラグを緩めず耐えることでマグロも弱ってきた。
船長と中乗りがサポート
中乗りの坂撒さんと翔太船長は、道糸の傾きや魚の走り、弱り具合を見ながら適切に操船。ドラグ調整や竿の弾力を生かすために竿先を45度に上げる構え方、巻き上げ速度、ポンピングのピッチなど、その都度、坂本さんに的確なアドバイスを送る。
最後まで強気にファイト
50mを切ってからも、なかなか魚は弱ることなく、二度三度、80mほどまで再び走った。それでもマグロの動きが落ち着いたときを見計らい、サメのアタックを避けるためにも、残り30mを切ったあたりで翔太船長がハイピッチで道糸を手繰る。
大物浮上(提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)リーダーが現れると、水面下に体を横にして弧を描いて泳ぐ、ヒレの長いモンスターキハダを確認。
73.5kgのモンスターキハダ浮上!
最後は3本のギャフが掛けられ、巨体が船上に引き上げられた。
モンスターキハダ浮上(提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)後の計測で73.5kg。やり取りの時間は約40分。サメの被害にも遭わず、比較的短時間で仕留められた究極の1本となった。
計測は73.5kg(提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)ハリ掛かりした位置も絶妙
ハリは、まさにカンヌキにしっかり掛かっていた。ジャイアントキハダ14号と少し小さめながら、ハリのチモトが牙に当たらない位置に運良く掛かっており、ハリスの擦れも全く認められなかった。
坂本さんのタックルデータ
ロッド:自作の大物ロッド1.8m
リール:ダイワ シーボーグ G800MJ
仕掛け:フロロカーボンハリス24号+26号の逆テーパー、全長12m
ハリ:ジャイアントキハダ14号
電動リールのドラグ性能が進化
大物用の電動リールは最大巻き上げ力で評価されがちだが、実は近年のダイワ製電動リールの進歩は、巻き上げ力や巻き上げスピードの向上と同じく、最大ドラグ力のアップが見逃せない。
電動リールが進歩している(提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)大物用の手巻きリールでマグロを上げられる要因の一つには、最大ドラグ力を含めたドラグ性能が、一般的には電動リールよりも優れている点が挙げられる。
最大ドラグ力36kgのシーボーグ
しかし、シーボーグ G800MJの最大ドラグ力は36kg。相模湾のキハダブームが始まった頃の大物電動リール「750MT」の最大ドラグ力は28kgだった。当時、30kgクラスのキハダとのやり取りも電動リールでは難しかった要因に、巻き上げスピードの遅さと最大ドラグ力の不足が考えられた。
ただし、最大ドラグ力はリールの性能を示すスペック値であり、実際のファイト中に常に36kgの負荷を掛けられるという意味ではない。実用上のドラグ力は、スプールに巻かれたラインの量や釣り人の姿勢、タックル全体の強度などによって変わってくる。
モンスターキハダを獲るドラグ操作
このクラスのモンスターを逃すことなく仕留めるためには、ファーストランを止めてから、マグロに主導権を与えることなく、ポテンシャルの高いドラグを効果的に使ってマグロを弱らせ、引き寄せてくることが大切になる。
検量する坂本さん(提供:ちがさき丸)巨大な相手に弱気は逆効果
相手が巨大だからといって、怖がってドラグを緩め、糸をどんどん出してしまうと、主導権をマグロに奪われてしまう。マグロはなかなか弱らず、やり取りの時間が長くなり、結局は何らかのトラブルが起きてバラしてしまうことも多い。
重要なのはドラグの適切な調整
もちろん、今回のモンスターゲットはリール性能だけで成し得たものではない。何よりも、釣り人の仕掛けの強度が十分だったこと。鋭い牙を避けた絶妙な位置にハリ掛かりしていた幸運。そしてマグロの動きに合わせて船を操り、的確に距離をコントロールしてくれた翔太船長と中乗りの坂撒さんの尽力によるところも大きかった。
大切なのは、単純にドラグを強く締めることではない。仕掛けの強度や魚の走り方、釣り人が耐えられる負荷を見極めながら、適切に調整することである。
誰にでもモンスターゲットの可能性あり
シーボーグ G800MJをはじめとする最新の電動リールは、巻き上げ力、スピードの向上に加え、優れたドラグ性能によって、一般の釣り人たちにも「モンスターゲット」の可能性をかつてないほど高めている。
モンスターヒットの瞬間(提供:TSURINEWSライター・ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎)マグロは弱らせて獲る
しかし、その性能を引き出すためには、マグロの走りに圧倒されていたずらに糸を出すのではなく、また力任せに巻き上げるのでもなく、ファーストランを適切なタイミングのドラグ調整で止め、その後も負荷をコントロールしながら「マグロを弱らせる」というプロセスが不可欠なのである。
勝負は常に紙一重
勝負は常に紙一重。確実な仕掛け強度、強靭なタックルと冷静なドラグコントロール、そして周囲との連携がかみ合ったとき、海は釣り人に幸運と栄冠をもたらしてくれる。究極の1本を求め、今シーズン、マグロハンターの闘いはまだまだ続くだろう。
<ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎/TSURINEWSライター>


