ここ10年来、夏の気温35度超えは当たり前、いまや40度になっても不思議ではない状況になってきている。そんな天候なので、自治体からの「むやみに外出しないで」といった注意喚起も珍しくない。魚釣りも昼間は敬遠されがちになり、一方でイカメタルのような夜の釣りが脚光を浴びている。イカメタルの「掛けて釣る」といった釣趣に加え、食べておいしく、長期の保存も効いて知人に差し上げても喜ばれるイカは、この時期にはなくてはならない釣り物。唯一の悩みは翌日の疲れを考えると、二日間必要だということだろうか?私もほとんどは土曜夜もしくは金曜夜の釣りになっている。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)
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涼しく快適なトモ釣りへ!
ここでは「真夏の昼間でも釣りに行きたい」という人に、「アユのトモ釣り」をお勧めしたいと思う。一般的にアユ釣りでは膝(ひざ)から腿(もも)くらいまで川に浸かるが、この時期の川の水温は20~28度前後が多くプールのような水温だ。
それでも上半身が熱を帯びてきたら、一度胸まで浸かってその場でクールダウンもする。また海水と異なり、釣りが終わってもサラっとした肌感覚で一日を通して涼しく快適にすごせる。
ひとえに「トモ釣り」といえど、河川によって川相(川幅・水深・川の流れの強さなど)、魚影、アユの大きさで、人それぞれ千差万別の楽しみ方がある。透明感あふれるきれいな水に浸かって数釣りなどを楽しむ一方で、強い流れで育まれた筋肉質? のアユとのガチンコ勝負も一興。
そこで今回は私が楽しんでいる後者について解説したいと思う。
アユがオトリを攻撃する理由
真夏の強い日差しが川底の石に光合成を促し、その結果、アユのエサとなる新鮮な苔(コケ)が形成されていく。こうした環境になると、アユは次第に活発にエサを求めるようになり、同時に縄張り意識も強くなるため、オトリアユに対して激しくアタックするようになる。
さらに、勢いのあるアユは苔を盛んに食(は)み続け、中には1週間で1cm近く成長し、早ければ8月中旬のお盆には大アユや尺アユへと育っていく個体も見られる。
十分に成長したアユは体力も備わるため、流れの強い場所にも縄張りを持つようになり、ほかのアユの侵入を許さず新鮮な水で育まれた良質な苔を食べ続けることで、さらに大型化していく。
迫力満点の尺アユ(提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)おすすめは瀬
この時期でも、流れが緩やかでも水通しの良いポイントは有力だが、基本的には「瀬」と呼ばれる流れの強い場所がお勧めだ。とはいえ養殖のアユは泳力が弱いため、最初の1尾を釣るのに、いきなり瀬へ入れるのは適していない(ベテランともなるとオモリなどを駆使する人もいる)。
そのため、その上流にあたる「瀬肩」や下流の「瀬尻」といった比較的流れの緩い場所で天然アユを狙うのがセオリーとなる。この際はサオを立て、オトリアユを極力引っ張らない「泳がせ釣り」でじっくりと攻め、オトリアユが天然アユへと代わるのを待つのが基本だ。
流れの強い瀬がおすすめ(提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)立ち位置を決める
天然のオトリアユが確保できたら、いよいよ本格的に「瀬」での釣りに移る。焦る気持ちを抑えつつ、まずは魚を掛けた後の状況をイメージしながら立ち位置を決めることが重要。
この時期のアユは強い瀬の流れに加えて魚自身の重さや泳力も相まって、勢いよく下流へ走るため、「どう取り込むか」が非常に重要なポイントになる。サオ1本と細いラインだけで2尾分のアユを相手にしなければならない。
その強い引きをある程度粘ってから抜き上げたり寄せたりするのか、それとも瀬の中をアユに合わせて下り、流れの緩い場所まで誘導して取り込むのかが判断の分かれ目だ。
オトリアユの入れ方
そのイメージができたら、いよいよオトリアユを入れるが、慣れるまではオトリアユが泳ぐ位置と、自分の立ち位置はできるだけ平行関係にしておくと良いだろう。
オトリアユが自分より下流側に入ってしまう、いわゆる「下ザオ」の状態になると、アユが掛かった際にサオの弾力を十分に生かしきれず、場合によってはラインブレイクに繋がることもある。
少なくとも平行を保っていれば、ヒット後にサオ先を上流方向へしっかり絞り込むことで、アユが下る動きを抑えやすくなり、その後のやり取りも釣り人が主導権を持って進めやすくなる。
オトリの泳がせ方
特に盛期のアユは思いもよらず手前で掛かることが多々あるので、オトリアユは足元から川底を這(は)うように誘導する。オトリアユの重さが感じられる程度のテンションをラインに掛けるが、ラインが水の抵抗を受けにくくなるように、仕掛けの角度を20~45度程度に保つようにする(流れの強さによって変える)。
その状態で狙ったポイントや流れの筋で止めたり、適宜引いたりすることでアユを誘う。その動作を繰り返し、少しずつポイントを変えていく。
アユにオトリをアピール
慣れてきたら、あえて下ザオから斜めに引いてみてほしい。アユへのアピール度がアップし、ヒットに繋がる確率が上がるといわれている(下ザオの時に掛かると取り込みに苦労するが)。
アユが掛かり、目印の変化やサオへ衝撃が伝わったら、流れに乗って下ろうとするアユを止めるイメージでサオをしっかり上流方向に引く(スイープなアワセをする)こと。そこで主導権を握れたら、サオを絞り込むことでアユは手前の流れに寄ってくる。
流心より手前まで寄ってきたらサオを一気に岸側に倒し、さらにアユを手前に寄せるようにする。そして自分に近い流れになった時に引き抜く、もしくはすくう。
サオ
最盛期に25cmを超えるアユともなると、非常に活発に引き回されるようになる。
さらに流れの速い瀬で掛かると、一気に下流へ走られる場面も多くなるため、サオは胴調子系をお勧めする。流れのある瀬の中でオトリアユを引いたり、下流へ逃げようとする2尾のアユをしっかり止めるには、サオの粘りが重要でありライン強度を生かせる胴調子系が適している(D社だとMT表記)。
長さについては、現在主流の9~9.5mを基本とし、川幅が広く流れが強い場所では10m(場合によってはそれ以上)、逆に川幅が狭い場所であれば8.5mでも十分に楽しめる。
長大なアユ竿(提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)仕掛け
天上イト
フロロカーボンの1.7~3号を使用。ただしフロロカーボンは折れや傷に弱いため、定期的なチェックが欠かせない。一方ナイロンは伸びる特性があり大型魚には有効だが、伸び切ると強度が落ちることや吸水による劣化もあるため、フロロカーボン以上にこまめな交換が必要だ。
水中イト
お勧めはメタルと繊維を組み合わせた「複合ライン」。近年は瀬や深場攻略に適した高比重タイプ(D社・メタコンポデュラヘビー)もあり選択肢が広がっている。
また、より流れの速い場所や感度重視の釣りには単線メタル(D社・ハイパーエムステージ)も人気で、水切れの良さから水中の状況把握に優れる利点がある。
鼻カン周り
梅雨(つゆ)明け以降の良型アユを狙う際、私は水中イトと中ハリスの接続をいわゆる「直結」(ツマミイトを使わず直接結束)にしている。接続部を減らすことで、仕掛け全体の強度低下を抑えるためだ。
鼻カンはオトリアユ交換が容易なワンタッチ式が主流だが、野アユの強いアタックで外れるケースも稀にあるため、フック式を使用する人もいる。
ハリ(掛けバリ)
3本イカリとチラシを使い分ける。基本は3本イカリを主体とし、その中でも早掛け系(D社・スピード)とシワリ系(D社・キープ)を状況に応じて使い分ける。
底バレやロケットバレが目立つ場合は、性質の異なるハリへ変更することで対応する。また大アユ・尺アユを本格的に狙う場面では、2本バリのチラシ(ヤナギ)を使用し、掛けバリの刺さりを深くすることでバレを軽減させる。
入門モデルの場合、サオ・仕掛け・ベスト・タイツ・タビ・アミ・オトリカン・引き舟など一式で、市価はおおよそ12~15万円程度となる。
遊漁券
河川の遊漁券は一日あたり2000~3000円前後で、地域によってはお得な年券(パスポート制)も用意されている。
一度道具を揃えてしまえば、以降は消耗した仕掛けと遊漁券、オトリアユが主な支出となり、ランニングコストとしては秋から春に楽しむ船釣り(月1~2回)よりも経済的な釣りと言える。
アユ釣りのリスクに備える
毎年、アユ釣りシーズンには全国で水難事故が報告されている。私自身も過去ヒヤっとした経験があり、近年は首巻き式の手動膨張ライフジャケットと浮力材入りのアユ用ベストを状況に応じて使い分けている。
首巻き式膨張ライフジャケット(提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)参考までに……水面で仰向けになった際は、腕を体と水平に伸ばしたまま(大の字、または気を付け)の姿勢を保つことで沈みにくくなる。腕を上げると逆に沈みやすくなるため、一度浅瀬で試してみてほしい。
9月中旬以降は気温・水温が下がるため、ウェットスーツタイプのジャケットは保温性やケガ防止に有効(多少の浮力もある)。さらに、川の石で脛(すね)を打った経験はないだろうか?
アユ用タイツには脛保護モデルもあるが、私はその内側にサッカー用の脛当てを併用している。最初は違和感があったが慣れると「ないと不安」になるほど重宝している。
いちど道具を揃えてしまえば……(提供:週刊つりニュース西部版APC・高原稔)天然アユは美味しい!
食は好みがあるが、私は天然アユに慣れてしまったので養殖アユを食べることができなくなってしまった。それくらい天然アユは美味だと思う。またアユも長期保存が可能で調理の手間もないことから知人に差し上げても喜ばれる。
このように魅力の詰まったアユ釣りを、その最盛期にできるだけ多くの人に体験してほしいと願っている。
<週刊つりニュース西部版APC・高原稔/TSURINEWS編>


