温暖化により気温上昇や水温上昇などが起きると、意外な形で我々の暮らしに不利益がもたらされることがあります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
根室で大規模断水
日本本土最東端の街、根室。根室半島に位置し、平坦で冷涼な土地が広がるこの市で先月、大規模な断水が発生しました。
断水は市域のほぼ全域で発生し、長時間水が出なかったり、断水からの回復後も泥水のような濁りが発生して使えないといった被害が発生しました。市の設置した臨時給水所には長蛇の列ができたそうです。
原因は「藻」
沼に生えた藻(提供:PhotoAC)この断水をもたらしたのは、なんと「藻」。市の水源となっている沼に藻が大発生し、浄水所のろ過装置を詰まらせてしまったのだそうです。
なぜ藻が大発生?
根室市は溶岩流によって形成された平坦な土地にあり、冷涼な気候によって泥炭層が形成され、湿地帯と沼が点在しています。河川が非常に少ないため、このような小規模な沼が水源地になっているのですが。ここは本来水温が低く、藻類の発生は多くはありません。
根室半島の沼(提供:PhotoAC)しかし近年の温暖化によって気温が上がり、小規模で水深の浅い沼はそのあおりで水温が高止まりするようになりました。結果として本土の沼に生えるような藻類が発生し、場所によっては沼を覆いつくすほどになってしまっているといいます。
海も沼も温暖化に悩む根室
緯度も高く、すぐ沖合を寒流である千島海流が流れる根室は、わが国では最も気温、そして海水温の低い地域の一つです。しかしそんな根室でも近年の気温、水温の上昇は著しく、暮らしにも大きな影響が出ています。
根室市における最大の産業は漁業であり、特に花咲港はサンマの水揚げが非常に多い港です。しかしここ数年は海水温上昇による不漁が常態化しており、ハイシーズンの秋にも往年の活気はありません。
水温上昇の進む温根沼(提供:PhotoAC)また根室半島の付け根にある温根沼では、冬季に凍結した湖面に穴をあけて行う「氷下待ち網漁」という伝統漁業が行われますが、凍結期間が短くなっているために存続の危機に見舞われています。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


