韓国で「黒い半導体」と呼ばれる海の幸があります。
(アイキャッチ画像提供:PhotoAC)
韓国で「黒い半導体」の生産が好調
「赤いダイヤ」(イクラ)や「黒いダイヤ」(クロマグロ)など、様々な二つ名で呼ばれる海の幸があります。これは日本だけの文化ではないようで、お隣の国韓国には「黒い半導体」なる海の幸があります。
板海苔(提供:PhotoAC)その「黒い半導体」とは「ノリ」ならびにそれを用いて作られた「海苔(板海苔)」のこと。韓国はもともと我が国と並ぶ海苔愛好国で、ノリの養殖が盛んに行われています。
数年前から韓国ではこのノリの養殖を国策として推奨しており、生産量が増加。近年は輸出も好調で、韓国における有力な貿易商材となっています。
なぜこう呼ばれる?
しかし、ノリのことを「黒い半導体」と呼ぶのは我々日本人にとってはなかなか仰々しく感じるかもしれません。いったいなぜこのように呼ばれているのでしょうか。
実は近年、ノリは世界的に需要が増えており、価格が上昇しています。韓国はKPOPや韓流ドラマなどの文化輸出も盛んですが、その一環で韓国海苔の食文化も輸出しており、国外でもメジャーになりつつあるのです。
韓国海苔(提供:PhotoAC)韓国は世界有数の半導体関連製品製造国であり、重要な輸出産品です。ノリもまた同じように高価で重要な輸出品になりつつあるということで「黒い半導体」と呼ばれるようになったのでしょう。
今や完全に逆転
我が国においても欠かせない存在である海苔は、古くから大規模な養殖が行われてきました。長年のあいだ、ノリは生産額一位の養殖品であり、最重要生産物だったのです。
しかしここ数年、我が国のノリ養殖は大きな危機を迎えています。全国の生産量の6割を占めていた一大生産地である有明海でノリが育たなくなってしまったのです。
有明海のノリ養殖場(提供:PhotoAC)有明海は諫早湾干拓などの大規模な埋め立て、沿岸環境の破壊、また他ならぬノリ養殖の際に用いられる薬品の影響などでノリの生育に不向きな海域となってしまいつつあります。内湾環境を保全し、ノリの生産量を増やしている韓国とは全く対照的であり、これからもその明暗はより濃くなっていくものと思われます。
環境保全ができていれば「黒い半導体」で儲けていたのは日本だったかもしれません。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>


