衰えない人気を誇るメタルスッテのツツイカゲーム。ケンサキイカやスルメイカ、ヤリイカを狙うゲーム性に富んだ釣りだが、読者の皆さんは夏の日本海で楽しむイメージが強いと思う。だが寒さ厳しい冬でも楽しめるのが、三重県の熊野灘沿岸だ。北西の季節風に強いので出船率が高く、イカも非常に濃い。今回は三重県・紀北町引本浦のエヌテックマリンに乗船。このメタルスッテで狙うツツイカゲームについて実釣記を交えながら解説してみたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
開始直後は沈黙
さて午後4時に出船。この日は橋本さん一行のチャーター便で、乗船者は8人だ。中には取材で何度かご一緒させていただいた、三重テレビのフィッシングポイントのナビゲーターである萩原香さんの姿もあった。
ゆっくりと30分ほど走って、尾鷲湾口のポイントに到着。慎重に場所を見極めていた中井船長が船を止めてアンカーを投入。船が落ち着いたところで開始の合図が出た。といってもまだ周囲は薄明るい。皆さんのんびり準備を進めていく。
橋本さんをはじめ、ほとんどの人がメタルスッテの他にバチコンアジングの準備もしている。ここ最近はアジも好調のようで、40cm近い良型交じりで、いい日には入れ食いになることもあるようだ。前日も時合いは短かったものの、アジラッシュがあったとのこと。
40cm級も狙える(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)まずはバチコンで探りを入れていくが、最近のアジは時合いがはっきりしているようで誰にもアタリはない。ほどなく集魚灯が点灯されると、1人、また1人とメタルスッテに切り替えていく。
だが、誰にもアタリはない。周囲が闇に包まれてもロッドが曲がる様子はない。アレ?おかしい……と思ったが、中井船長は余裕の表情。6時になろうかという時、最初にサオを曲げたのはやはりこの人、萩原さんだ。
スルメイカ登場
「30mできました!」とのことで、ロッドはひん曲がって豪快なジェット噴射が繰り返される。どうやらスルメイカのようだ。リーダーを持って抜き上げたのは、胴長30cm近い黒光りするでっかいスルメイカ。カゴに落としても身をくねらせて抵抗する。
スルメイカキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)そしてここからそれまでの沈黙がウソのようなラッシュ突入。あちこちで豪快にロッドが絞り込まれ、次々スルメイカが上がる。サイズはどれもデカい。このデカいスルメがダブルで掛かって、悲鳴を上げる人も。
ここで注意点。この時期のスルメはサイズがいいので、抜き上げ時にロッドを立て過ぎないようにしたい。ダブルだとその重さもなかなかで、ロッドを立て過ぎると破損につながる。腕をひじで曲げて持ち上げ、ロッドが水平に近い状態を意識して抜き上げよう。
スルメ手中(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)またスルメのカラストンビ(クチバシ)は鋭く、かまれたら大ケガになりかねない。手でつかむようなことはせず、そっとスッテを返してカゴに落とそう。
ビッグアオリ登場
さて水面にはイワシなどのベイトの他、その下にはベイトを追うサバの姿も見えた。ここで中井船長も初めてというミラクル。スッテにサバがアタックし丸のみ→そのサバにアオリイカが襲いかかる→サバのエラから出たスッテのカンナがアオリイカの触腕にヒット。
良型アオリヒット(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)こんなウソのようなホントの出来事が、目の前で起こってしまいコレには船中大盛り上がり。しかも上がったアオリイカはキロアップの良型だった。こんなことがあるから釣りは面白い。
アカイカも良型
だがここまでアカイカは船中で1匹が姿を見せたのみ。皆さん高活性のスルメに夢中で、アカイカは二の次になっていたようだ。ここで中井船長に釣り分けについて聞くと、やはりレンジを探り分けるのが一番とのことだった。
アカイカキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)ざっくりとだが、アカイカはボトム付近、スルメは中層から上層。そして前述もしたが、アクションの違い。アカイカは激しいアクションについていけないことが多いので、ステイを長めにしてアクションもおとなしめを心がけるのがいい。
アカイカ確保(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)そんななかこの釣行の幹事の橋本さんが、ペットボトルサイズのアカイカをキャッチ。続けて萩原さんも良型のアカイカを抜き上げる。

