秋が深まり、高すぎた水温が徐々に下がり始め、何を釣るにも最高の季節となってきた。イカダではクロダイやアオリイカが盛期だが、アジをはじめとする五目釣りも最も面白い季節を迎えている。三重県鳥羽市の生浦湾はカカリ釣りで狙うクロダイのメッカだが、近年は五目釣りでも注目を集めている。今回はそんな生浦湾のイカダ五目に挑戦してみた。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版編集部)
生浦湾のイカダで五目釣り
今回お世話になったのは、鳥羽市本浦にあるこじま渡船。熱心なクロダイファンが通い詰める老舗の渡船店だ。ホームページの釣果情報は、そのほとんどがクロダイのそれで、五目の釣果は皆無に等しい。だが事前に船長に聞くと、今年はアジが特に多いようでクロダイ釣り師の邪魔をしているらしい。
他にもシオやハマチ、ワラサなどの青物の回遊もあり、アイゴやグレなども元気いっぱい。クロダイ釣り師からすれば、外道でしかない魚たちだが、くるもの拒まずの五目釣りでは格好のターゲットだ。
釣行当日は大雨予報
今回の取材で同行してくれたのは、ユーチューブ「まるけーちゃんねる」を運営する週刊つりニュースAPCの丸山敬太さん。ルアーからエサまでこなす、マルチアングラーだ。2人で午前5時すぎに本浦に到着すると、うっすら明るくなりかけた空には分厚い雲が立ち込めている。
予報では10時すぎから大雨なので、それまでに何とか形にしたいところだ。早速2人で渡船に乗り込み、5分ほどで沖のイカダに渡った。
使用タックル
まず丸山さんが用意したのは、ライトロックフィッシュ用のベイトロッドとグラスソリッドが自慢の格安ロッド、鱒レンジャーだ。これはもちろん丸山さんの遊び心からのチョイスだが、普通であれば2.7~3mの波止ザオや磯ザオ、シーバスロッドなんかが最適。小型のスピニングリールに、ミチイトはPEライン1~2号を100mも巻いておけば十分だ。
丸山さんは鱒レンジャーにアブのベイトリール、ライトロックロッドにはイカメタル用のカウンター付きベイトリールをセットしていた。
仕掛け
さらに丸山さんが取り出した仕掛けは。全長2.7m、なんと15本バリの船用のサビキ仕掛け。枝間が狭く、いかにもトラブりそうだが、これで多重連掛けを狙っていくらしい。一般的には堤防サビキ5~6本バリの少し太めのものがお勧め。ハリ6号、ハリス1.5号ぐらいが適当だろう。もちろん釣れるアジのサイズによって使い分けるのだが、船長にアジは20cmクラスが多いと聞いていたので、このサイズ感の仕掛けがいいと思う。
さらに食い渋ったときのために、テンビン吹き流し仕掛けも用意しておくといい。構成は船用と同じだが、テンビンのサイズや仕掛けの長さはもっとサイズダウンする。テンビンはキス用のものに小さなサニーカゴ、仕掛けはミキイト3号、ハリス2号の2本バリで全長は1ヒロほどあれば十分だ。
エサ
今回用意したエサはまきエサ用にマルキユーのアミ姫キララとアミ姫ナチュラル。常温保存可能で嫌なにおいも一切ない優れモノだ。チューブ式で手が汚れにくいのもポイントだ。他にもマルキユーのくわせオキアミスペシャルMとイシゴカイも準備した。
雨が降らないうちに釣ってしまおうと、そそくさと2本のサオに仕掛けをセットする丸山さん。15本バリのサビキをいったん海中に落とし、身の周りの整理をしていると、なんといきなり鱒レンジャーの穂先がたたかれている。
手が離せない丸山さんに代わって私が巻き上げると、いきなり20cm級のアジが登場。エサもまいていないのに?上からよく見ると、中層付近にギラギラ乱舞するアジの群れが見える。
「こりゃ爆釣?」とばかりにカゴにアミ姫キララを詰めて落とすと、水深8mの底に着く前に仕掛けが止まった。ハリ数が多いので絡まないように一気に巻き上げると、今度は中アジ2匹と豆アジ1匹のトリプル。
ここで丸山さんに交代。中層で仕掛けを止め、大きく2~3度サオをあおる。間髪を入れずブルブルと穂先が震えるが、ここで丸山さんは少しリールを巻いて追い食いを待つ。さらにブルブルが激しくなり、しばらくして巻き始めると「ありえんぐらい重い」らしい。
やがて上がってきた光景に驚愕。ズラズラズラッと上がってきたアジはなんと13匹。わずか1投でツ抜けというとんでもない事態だ。