こうも暑いと辛いものが食べたくなりますが、「辛い魚料理」でオススメなのが中華の「湖南地方」の調理法です。
(アイキャッチ画像提供:茸本朗)
夏に美味しい「湖南料理」
お盆も過ぎ、いよいよ残暑のシーズンのはずが、これまでと変わらない猛暑が続く日本列島。こうも暑いとついつい辛いものを食べたくなります。
最近そのような気分になると、筆者は「湖南料理」のお店に向かうことが多いです。湖南料理とは中国南西部・湖南省周辺で食べられている料理で、中華八大料理のひとつに分類されます。
中華料理で辛いものと聞くと多くの人は四川料理を思い浮かべるでしょうが、四川の辛さは「麻辣(山椒と唐辛子の辛さ)」なのに対し、湖南の辛さは「酸辣(酸味の利いた辛さ)」と表現され、より日本人の舌に合いやすい辛さともよく言われます。
「剁椒魚頭」とは
そんな湖南料理の中で、最も有名なもののひとつが「剁椒魚頭(ドゥオジャオユイトゥ)」です。
剁椒魚頭の剁椒とは「唐辛子を刻んだもの」という意味なのですが、ただの唐辛子ではなく「泡辣椒(パオラージャオ)」という発酵させた唐辛子を用います(泡とは発酵させたという意味)。
剁椒魚頭は、兜割りにした魚の頭にこの泡辣椒をまぶし、ニンニクや生姜などの香味野菜を散らして酒蒸しにしたものです。頭部のゼラチン質と泡辣椒の穏やかな辛味、旨味、香りが絡み合い、まさに芸術的な味わいとなります。
鍋に残った蒸し汁と泡辣椒に、茹でた麺を絡めて締めとするのが本場風だそうです。
自作も簡単
泡辣椒は見た目こそ真っ赤な唐辛子で辛そうですが、発酵の力で辛味は穏やか。高菜漬けのような発酵臭と柔らかな酸味、そして非常に強い旨味があり、これを使うだけでどんな素材も美味しくなる、湖南料理の最終兵器です。
泡辣椒は中華食材店で購入することができますが、自作も難しくありません。唐辛子を5~10%程度の塩水、日本酒、ニンニク、生姜とともにタッパーの中に入れ、数週間放置すれば完成します。
剁椒魚頭を作る場合、材料は本来は川魚ですが、日本では手に入りにくいのでタイ、ブリなどで作られることが多いです。頭部のゼラチン質が多い魚で作ると美味しくなるので、大きめのハタやメバルの仲間で作っても非常に美味しくなるはずです。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>
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