魚好きなら食べずにはいられないけど、魚嫌いは見るのも嫌がる「魚の目玉」あなたは食べますか?
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魚嫌い増加の元凶は「魚の目玉」?
ある時、とある依頼を受けて「魚を調理する動画」の撮影に協力したことがあるのですが、その際に非常に印象的な話を聞きました。
その依頼者は魚の料理が好きではなく、とくに煮魚や塩焼きが嫌いとのこと。魚の風味や甘辛い味付けが苦手なのかと聞くと、味は別に嫌いではない、といいます。
ではなにが嫌いなのか、それは「目玉があること」。魚を丸ごと使う調理や、頭部を使ったものを見ると、その目が自分を睨んでいるように見えて食べる気が失せてしまうのだそうです。
そのときは「変わった人だなぁ」としか思わなかったのですが、その後同様のことを言う人を何度か見かけ、意外に一般的な感覚であることに気づきました。
魚の目は栄養たっぷり
自分のような魚好きからすると、魚の目玉はごちそうとも呼べる部位のひとつ。眼球そのものは加熱すると硬くなり食べることができませんが、目の裏側の部分がとても美味しいのは、魚好きの間では常識です。
魚の目がなぜ美味しいか、それは眼球を動かすための筋肉が発達していると同時に、網膜周辺に大量のコラーゲンと脂肪が含まれているから。このために加熱するとトロトロになり、コッテリとした味わいが楽しめます。
また、この脂肪は人体に不可欠な不飽和脂肪酸であるDHAとEPAをふんだんに含んでいます。加えて疲労回復成分であるビタミンB群も含んでおり、健康に良い部位だと言えるのです。
目玉料理の頂点「マグロの目玉焼き」
そんな美味しくて健康になれる「魚の目玉」をこれ以上なく堪能できる魚があります。それはマグロ。
巨大な魚であるマグロはその目玉も非常に大きく、それ単体で発売されています。三崎や境港、塩釜などマグロの水揚げが有名な街であれば、料理店で食べることもできます。
マグロの目玉周辺の筋肉は非常に上質で、また脂肪分は焼くと脂が燃え上がるほど。煮付けはもちろん、塩焼きにしても美味しく食べることができます。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>