サカナの肉を観察すると、一段と色の濃い「血合い」がありますよね。あの部分はいったいどのような役割を持つのでしょうか?気になった筆者が調べてみました。
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サカナの「血合い」って?
まずサカナの「血合い」と聞いて、どのようなものを思い浮かべるでしょうか?
ブリのお刺身の端になる赤い部分でしょうか。それとも焼きサンマを食べている時に、スーッと長くとれるねずみ色や赤茶っぽい色をした部分でしょうか。
実は上記の2つを想像した方は、どちらも正解です。しかし、サカナにあまり興味のない人からすると、そもそも「血合いって何?聞いたことない」そんな人もいるかもしれません。
血合いとはサカナの身の一部であり、赤身魚・白身魚問わず、赤く黒ずんだ部分のことを「血合い」と言います。
中には色が濃いから血が固まっていると勘違いしている人もいるかもしれませんが、それは間違いで、「筋肉の一部分」であるということを覚えておきましょう。
血合いが赤い理由
血合いは、サカナの背身と腹身の間にある「赤色筋繊維」という細胞が固まった部分を指しているのです。
この細胞が豊富な血合い肉には、普通肉に比べて、酸素を貯蔵する機能を持つ「ミオグロビン」という色素タンパク質がたくさん含まれています。このミオグロビンが赤っぽい色をしているため、他の部分に比べているが濃くなっているのです。
また、白身の魚、赤身の魚どちらにも血合いはありますが、赤身の魚の方がその割合が多いと言われています。
血合いが多いサカナ
赤身の魚ですとマグロ、カツオ、サバ、イワシ、サンマなどで尾に向かうほど血合いの部分の割合が高くなりマグロでは15%以上、真サバにおいては35%以上とも言われています。
白身の魚だと、タラ、タイ、カレイなどに含まれますが、その割合は少なく一般的には数%で10%を超えることはありません。
赤身のサカナは回遊性の為、長時間泳ぎ続けなければなりませんが、血合いを多く持つことで酸素を効率よく利用できるように発達したと言えるでしょう。
赤身のサカナはマラソン選手、白身のサカナは短距離選手をイメージするとわかりやすいかもしれませんね。
鮮度判断の指標にも
また、血合いの部分は、血管などが集まる部分のため、鮮度が良くないと生臭さを感じます。
鮮度の見分け方については、マグロの血合いを例に挙げると、鮮度の良いうちは鮮やかな赤黒い色をしていますが、鮮度が落ちるにつれて、次第に色が黒ずんできます。
スーパーで刺し身を買うときは、血合いが含まれている場合、色によって鮮度を見極めてみるといいでしょう。
腎臓を指す場合も
ちなみに、サカナを扱う業界では「血合い」というと、魚の「腎臓」を指すことも多いです。
サカナをさばいたことがある人なら見たことがあるかもしれませんが、お腹の中の背骨に沿った部分に黒く固まったドロッとした部分がありますよね。あの部分が血合いと呼ばれることがあります。
しかし、前述のように血合いは本来、「筋肉」を指しており、腎臓ではありません。この腎臓はほとんど食べることが無い部分です。