アングラーはジェントルマンでありたい。魚の気持ちを考えると、ルアーアングラーは特に「遊ばせてもらっている」わけだから、最大限に魚を傷めずにあげたいものだ。それでも可哀そうなことを故意でなく、してしまうことがある。今回は意図せず魚にしてしまう「仕打ち」としてひどいことと、その後、そして最悪な殺生の避け方などを考えてみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
魚に対する労わりを持とう
アングラーの意図せぬ暴力として、何よりまずいのは、魚の口にハリを残してしまうことだ。主には魚にイトを切られることで起こる。
この種のことを考えると、魚に対してどれだけの優しいいたわりができるか、という思いを自然に持つようになる。もちろん我々は日常的に魚を食べている。漁というかたちで生命を奪ったものを口にし、果てにアングラーたちは自ら手を汚している。腐ったものは捨てる。そのことを全面的に否定しようというわけではないが、ルアーアングラーとして遊ばせてもらう限りは、最大限のいたわりを持ちたい。
切れてしまったルアーの行方は?
ちょうど前回の釣行で、ルアーをひとつ魚の口につけたまま切ってしまった。
このメバルを釣ったあとのことだ。あにはからずや、「このルアー、3年くらい保っているけど、100尾以上は軽く釣っているだろうな」とそんなことを内心自慢げに思っていた次の一投でのことだ。この魚の抜き上げのために強めに入れていたドラグが効いてしまい、切られてしまった。ルアーはその魚の口についたままだ。
切れたルアーの行方は知らない。わからない。シーバスなどの生命力の強い魚はメタルジグなんかをつけた状態でも、別のルアーに食いついて上がってくることがあるという。そのため、口にルアーがついたまま切れたらそのまま弱って死ぬ、という話でもないだろうが、そういうことも実際によくあるだろう。
ルアーを魚の口にかけたまま切ってしまったら、無用な殺生となる。これは避けたい。ドラグの入れ方、ラインの強さ。対象魚に対してそこはきちっと考えて、確実に釣りきってルアーを外してやりたい。
怪我の回復について
魚が怪我をしていることもある。これはすべてが釣り人の仕業でもないだろうが、魚同士のやり合いではなく、釣り人もその一因を作っていることもあるはずだ。
しかし、これに関してはあまり心配をする必要はどうもないらしいのだ。というのも魚の怪我の回復速度は、人間の50倍などとも言われている。なんということだろう。強い。
だからといってもちろん、魚を傷つけることは許されない。釣りきって帰してやるところまでは、注意しよう。スレがかりを少なくするために、確実に口にいくような釣り方をなるべくしてやりたい。ギャング釣りという、魚に故意にハリをひっかけてやる釣り方もあるらしいが……私はこれに関しては何も言えない。
蘇生させるためのリリース術
釣った魚は基本的に弱って上がってくる。チヌやシーバスなどの回遊しないタイプは特にそうで、露骨にヘトヘトになって上がってくる。浮上させた時点で仮死状態にあるという説も聞いたことがある。そのため、リリースには気を付けてやりたい。
リリースは、タモや手で水になじませてから行う。こうすると魚がゆっくりと蘇生して、水中に戻っていく。蘇生は10秒20秒で大丈夫。これが面倒くさいからといって、ドボン投げは絶対にやめること。脳天を打ったり、魚体を平らに打って水に戻すと、魚は死ぬ。
またキスなどの小魚は、釣り切った時点でほとんど命を失ってしまう。リリースしても蘇生しない。釣ったら必ず持ち帰ってあげよう。傷つけず、無用な殺生をしないことは、釣り人のマナーだ。
<井上海生/TSURINEWSライター>