チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?

チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?

チヌとキビレはよく似た魚だ。酷似している、とまでは言えないが、「あれ?どっちだろう?」と思うことは時々ある。もしかすると「交雑種」がいるのではないか、と考えている。その可能性について、観照してみた。あくまで科学的推測とさえ言えない、憶測に近い私論だ。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)

アバター画像
井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

×閉じる

お役立ち その他

ハイブリッド・チヌらしき魚?

このところよくチヌが釣れている。ノッコミパターンといって、春の産卵期のチヌだ。

その魚を釣って、「クロダイばっかりだな」と思う。筆者の釣りフィールドである大阪湾沿岸には、本当にチヌとキビレが多い。よく釣れる。しかし最近は、キビレが一切来ないという事実に気づき始めた。もしかしたら今年、キビレを釣ってさえいないかもしれない。それくらいクロダイが多い。

チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?クロダイ(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

しかし釣り場で撮った写真をあらためて見返していると、どうも、「完全にクロダイ」ではないらしき姿も見られる。というか実は、釣ったときも、「ん?」と軽く疑問に思うこともあった。もしかしたら、ハイブリッド・チヌ?キビレとクロダイの交雑種なのか?

キビレとチヌの産卵期の違い

ハイブリッド・チヌの可能性。そんなものがまずあるのか、探ってみた。

まず産卵期が重なれば、存在する可能性はある。しかし、これは即座に違うとわかった。

チヌの産卵期は春で、キビレの産卵期は秋なのだ。そのため、交尾する時期はまったく異なる。しかし……それも完全に否定はできない。あるいは時期違いで、交尾するチヌとキビレがいてもおかしくはない。チヌにもキビレにも明らかに居着きの個体がいる。そいつらが交わりあっていても、むしろ、それは偶然とも言えない気がする。

ハイブリッド・チヌか?

筆者が最近釣った魚には、こういうヤツがいる。

チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?交雑種?(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

いかがだろうか?このチヌ、明らかにちょっと腹ビレが黄色い。

キビレの特徴とは、最大には、尾ビレの下部が黄色いことなのだと言われる。

チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?どうにも怪しい本チヌか、キビレ半々魚(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

見直してみると、確かに尾まで黄色いハイブリッド・チヌらしき魚はいない。こうなると途端に不安になってくるが、キビレの特徴として、「頭が小さい」というのもある。そういう条件を押さえている魚も、ちょこちょこ、この春チヌのノッコミパターンで釣っている。

ChatGPTに質問

では、質問箱であるChatGPTに訊いてみた。

「クロダイ (黒鯛)とキチヌ (黄鯛)の交雑種は、自然界では観察されていません。これらは異なる種であり、生息域や生活習慣も異なるため、自然交雑は起こりにくいと考えられています。また、人工的な環境下での交雑実験も、一般的には行われていません。したがって、クロダイとキチヌの交雑種は、現時点では存在しないとされています」

いない、らしい。

しかしどうだろうか?このへんの情報が正確とも思えないのがChatGPTだ。

そもそも、科学的にどうか、という答えはわかりかねる。交雑種の存在の有無は、おそらく遺伝子型によるものが大きい。このへんは、素人にはさっぱり不明な世界だ。ネットの情報をあたってみたが、知りえなかった。

ただキビレの性質を受け継いでいるとすると、キビレは完全な海水には棲めないので、それが優性遺伝しているとすると、ハイブリッド・チヌは完全な海水には棲めない。そのため汽水域の沿岸居着きになると思われる。

チヌは真水にも汽水域にも棲めるが、ノッコミパターンのチヌは基本的に沖から接岸してくる。そうなると、ハイブリッド・チヌは、あくまで少数、ないし存在しえないのかもしれない、という推測も立つ。ただこのへんも遺伝の具合が影響するので、私のような無知の徒には明らかなことは言えない。

チヌとキビレの交雑種「ハイブリッドチヌ」は存在しない あくまで個体差か?キビレはあくまでキビレ?(提供:TSURINEWSライター・井上海生)

結果・・・・・・個体差?

結論は、科学的な根拠を持って見れば「いない」という説が濃厚である。しかし私的には交雑種がいる可能性は否定できないんじゃないか、とも思う。それに、いた方が面白いし。

「個体差」という言葉で片づけるのは簡単だが、今のところはその中途半端な答えを取るしかなさそうだ。アングラーとしては個体差の集計を取って、「交雑種かもよ」と含み笑いしたい。

<井上海生/TSURINEWSライター>