イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】

昨秋から好調を維持している熊野灘沿岸のアオリイカ。船からのティップランはもちろん、イカダからでも例年以上の釣況だ。若干の日ムラはあるが、秋の数釣りから継続し、そのまま春の大型アオリイカのシーズンに突入した感もある。そこで今回は三重県・南伊勢町迫間浦のイカダから狙うアオリイカについて紹介しよう。

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(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

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海釣り施設 イカダ&カセ

午前中は嵐の前の静けさ

イカダに渡ると、夕方からの嵐予報がウソのような全くの無風。曇天で海面にはさざ波ひとつない。これはエギングには絶好の条件だ。まずはアジをスカリに移し、翔太君、渡邉さんが並んで、陸に向けエギをフルキャスト。無風なので着底も分かりやすく、これならイカが触れただけのアタリも感知できそうだ。

エギングでは反応なし

だが天候は最高なのだが、肝心のイカの反応はない。開始2時間、全くアタリのない時間が続くが、春イカはこれが当たり前。秋イカとは違い、春のアオリイカはお産を控えて警戒心がマックスになっている。そうやすやすとエギを抱いてくることはないのだ。

ここで渡邉さんが磯ザオを手に取る。泳がせ釣りに切り替えるようだ。元気いっぱいのアジを背掛けにし、フワッと振り込む。ウキ下は底から1m上だが、オモリは打たないのでアジは比較的自由に泳ぎ回れる。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】アジは背掛けにして掛けバリは腹側に垂らす(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

だがちょっと目を離した隙にアジがイカダをつなぐロープをくぐってミチイトが絡んでしまい、あえなくロスト。ヤエンもそうだが、生きたアジはどこへ泳いでいくか分からない。常にラインの角度やウキの位置を見て、アジの位置を把握しておく必要があるのだ。次はもう少し遠投して、イカダから離れた位置で仕掛けを落ち着かせる。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】泳がせ釣りで使用した仕掛け(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

泳がせで500gのアオリイカが登場

しばらく見ていると、自立ウキが元気なアジの動きを伝えてくれる。と、ウキがジワ~ッと沈み込んで、浮いてこなくなった。アジが沈めたのならすぐに浮いてくるが、一向に浮いてこない。

半信半疑の渡邉さんがスイープにアワセを入れると、グンッとサオが曲がり特有のジェット噴射が伝わってきた。「きたきたぁ~」と、慎重にリールを巻く渡邉さん。やがて浮いてきたのは、キロにほど遠いが立派なアオリイカ。推定500gといったところか。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】アジの泳がせ釣りでアオリイカを仕留めた渡邉さん(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

ようやく1匹目が上がり、イカダ全体の活性も上がる。ここで渡邉さんはもう1本、ヤエン用のサオをセット。エギングの邪魔にならない位置から、アジをフルキャストする。渡邉さんはラインの向きと穂先の動きを見ながら、アジがロープ方向に行かないようこまめに操作する。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】用意したヤエンはがまかつ鋭刀ヤエン(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

昼からプチ時合い?

だがアジにもエギにもイカの反応がないまま、昼を迎えてしまった。ここで腹ごしらえ。キャンプ用バーナーとやかんでお湯を沸かし、カップラーメンをすする。特別寒いわけではないが、イカダの上で食べるカップ麺は最高だ。

予報が悪くなるのは、午後3時ごろから。それまでになんとか良型と呼べる1匹を上げたい。泳がせとヤエンのサオはそのままに渡邉さん、翔太君は一心不乱にエギングロッドでキャストを繰り返す。

イカダエギングのキモは、確実にボトムを取ること。イカダは足元でも10m近い水深がある所が多い。潮の流れがあると余計に着底が分かりにくい。そのため慣れないうちは、イトオモリやマスクシンカーでエギをウエートアップさせるのがお勧めだ。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】エギはラグゼエヴォリッジ3~3.5号(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

この時点ではまだ無風だったため、2人ともエギはノーマルのまま。陸に向けてキャストし、岸からのブレイクをトレースするように、ボトム付近を丁寧に探っていく。イカダではエギが手前にくるほど水深が深くなるため、シャクった後はしっかりラインを出して着底を再確認することが必要だ。

そして沈黙を破ったのは翔太君。大きなアワセとともに、エギングロッドが大きく曲がる。取り込んだのは、1匹目と同じく500gクラスのメスのアオリイカだ。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】沈黙を破り翔太君がエギングで500gクラスをキャッチ(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

さらに予備のロッドでエギを投げていたお父さんに、まさかまさかのヒット。普段は釣りよりゴルフ、もちろんエギングは初めてのお父さん、どうしていいか分からず渡邉さんのアドバイスでゆっくりリールを巻く。

浮いてきたのは、先の2匹よりひと目でサイズアップと分かるアオリイカ。慎重にネットですくったのは、キロには届かないが800gクラスのメスだった。

イカダからアオリイカを狙う3つの釣法を解説 【ヤエン・エギング・泳がせ】サイズアップは初エギングの邦之さん(提供:週刊つりニュース中部版 編集部)

後半はやはり嵐に

このアオリイカをスカリに入れた途端、予報より早く雨が落ちてきた。最初は降ったりやんだりだったが、そのうち風を伴って嵐の様相に。吹きつける風にラインは巻き上がり、前半の完全無風がウソのようだ。

たまらず午後3時にギブアップ。目標のキロ超えキャッチとはいかなかったが、確実に迫間浦に春の大型アオリイカが入っていることは実感できた。

なお当日キャッチしたアオリイカは全てメス。1匹に交接痕が確認できたため、その個体はリリースした。皆さんも交接痕や抱卵が確認できたら積極的なリリースをお願いしたい。

このエリアの春イカシーズンはまだまだ続く。過去に3kgというモンスターが上がったのは6月。特に4~6月は驚くほどの大型が上がっている。迫間浦のイカダから狙う春の大型アオリイカ、ヤエン、泳がせ、エギングと好みの釣法で狙ってみてほしい。

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