ここ数年、既製仕掛けの商品群が非常に充実してきた。サビキから投げ釣り仕掛け、川釣りの仕掛けまで、釣具店では一つのコーナーを形成している。アングラーが自ら仕掛けを作る時も、これらの既製仕掛けの仕様は参考になる。そこで、ハゼ釣りの仕掛けを取り上げ、そのパーツの一つ一つの要素を実釣テストで検証してみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・牧野博)
なぜ長軸の赤ハゼバリが釣果で上回ったのか
長軸の赤ハゼバリが釣果で上回った原因について、さらに突っ込んで考えてみた。一つは、私自身の釣り方の癖があると思う。
私は投げ釣りの発想からハゼのミャク釣りに入ったので、魚信に対して強めに糸を張って竿を少し起こすだけの、どちらかと言えば向こう合わせの釣り方である。
これは素バリを引いてしまった時に魚を散らさない様にするためであるが、袖型のハリはどちらかというと「合わせて掛ける」釣りに使われることが多いのではないだろうか。
オイカワのウキ釣りなどはその例であると思う。ちなみに今回の実釣テスト中もそのことが気になったので、あえて数回、アタリ即合わせの釣り方をしてみたところ、袖バリはしっかりとハゼをハリがかりさせることができた。
したがって、前触れのアタリも拾って積極的に合わせていくタイプのアングラーが袖バリを選択したら、また違った結果になった可能性がある。
一方で、赤ハゼバリはどちらかというと向こう合わせの釣りに向いていて、陸っぱりからの落ちハゼのチョイ投げにも好適な、オールマイティーなハリといえそうである。
テスト時期の違いも関係している?
今回の実験の結果は、テストの時期とハゼへのアピール度に違いも影響があると思う。同じ袖バリでハリの色のテストをしたのは8月下旬であるが、ハリの形のテストは10月中旬である。
このころになるとハゼもかなり大きくなっているので、エサを大きく見せるという意味では、ふところの大きさが同じなら長軸バリの方が有利なことはいうまでもない。
今回、スタートの第1ラウンドに比べ、第2、第3ラウンドのポイントではハゼのサイズが明らかに大きかったことから、アピール力という点では、長軸である赤ハゼバリの良さが発揮されたものと思われる。
ハゼの「見釣り」を体験した方ならお分かりいただけると思うが、魚影が濃いときなど、仕掛けを少し動かすと、仕掛けの動きにつられて数匹のハゼが仕掛けを追ってくるのを見られる。
このことからハゼは主に視覚に頼ってエサを追うのだと考えられる(当然、エサの匂いなど嗅覚や味覚も活用しているであろう)。また、今回の実釣テストで終盤(日暮れごろ)に当日最長寸のハゼが赤ハゼバリにきたことも、長軸バリのアピール力の高さが効いていたのだと考えていい。
テスト結果から見えてくるもの
今回は、ハゼのミャク釣りの仕掛けの中で、ハリに注目して実釣テストで調べてみた。その結果、これはあくまで1つの釣り方、釣り場という前提条件での結論になるが、仕掛けの選択として、ハリは長軸のハゼバリで色にはこだわらなくていいということになった。
これは市販されている多くのハゼの仕掛けに近いものである。仕掛けを自作する場合に、市販されている仕掛けのパーツを見ることは、かなり得られるものが大きいように思う。
その情報をもとに、自身の釣り方のスタイルや、そのとき釣れる魚のサイズなどを推理して仕掛けを作ると、かなり使いやすい仕掛けができるはずだ。
一方で、市販仕掛けにはかなり完成度の高いものもあるので、仕掛けを作る時間がないときなど、それを購入することで釣行準備を楽にすることができる。仕掛けを自作するインドアフィッシングの愉しさ、市販仕掛けを有効活用して釣行に出掛ける気軽さ、この2つをうまくバランスして釣りを楽しみたい。
<牧野博/TSURINEWSライター>
紀ノ川