サカナの肝(キモ)が冬になると大きくなる理由 エサが少ないから?

サカナの肝(キモ)が冬になると大きくなる理由 エサが少ないから?

冬になるとサカナの肝はどんどん大きくなります。いったいなぜなのでしょうか。

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その他 サカナ研究所

冬はサカナの脂が美味しい季節

冬が近づくにつれサカナの身には脂がたっぷりと乗ってきます。

秋であればアジやサンマ、冬にかけては寒ブリやアンコウなどがその代表でしょう。

サカナを使った料理もこの濃厚な脂を活かしたものも増え、鍋なんかはその代表と言えます。

また、冬になると身に脂がたっぷりとのるだけではなく、肝臓も大きくなり、内臓好きにはたまらない季節になってきます。

冬はエサが少ない

ではなぜ、身や肝に脂がのるのか。それは一番簡単な言葉で言うと「生存」するため、生存し種を繁栄していくために身や肝に脂を蓄えています。

野生を生きる生物はサカナだけでなく、敵から逃げたり繁殖や移動に有利なように体を大きくする傾向があります。

しかし、体を大きくするためには栄養が必要ですが、冬はその栄養の原点となるプランクトンが多くありません。

春から秋は太陽光が強くプランクトンなども多いため餌は十分あり成長に役立てることが出来ますが、冬は太陽の光も弱く、日の出ている時間も少ないため餌であるプランクトンも少なく成長には適していない季節です。

サカナの肝(キモ)が冬になると大きくなる理由 エサが少ないから?肝がパンパンに(提供:PhotoAC)

そのためせっかくの栄養分をどんどん成長に使ってしまうと、いざ餌がなくなってしまった時に大きくした体のせいもあって栄養が足りなくなり、春まで持たずに餓死してしまう可能性が高くなってしまうのです。

こうならないために、冬はいったん成長を止め、その分を生きるための予備のエネルギーとして脂肪分を体に溜めているのです。

これが私たちにとっては美味しい脂となっているのです。

養殖も南の海で盛ん

サカナの養殖が南の海で盛んなのは、少しでも水温が高い状態を維持し、サカナが成長しやすい期間を長くとるためだと言われています。

水温が下がるとサカナも食欲が一気に落ち、気温が下がれば下がるほど脂が減っていってしまうそうです。

そうならないために、普段からたくさんエサを与え、身に脂を蓄えさせることでおいしい養殖のサカナが産みだされています。

最近では室内養殖場も増え、海水温を完全に管理できるようになったことで、冬に向けて脂を蓄えやすい最適な水温なども研究されているそうです。

全身トロのサカナもこのような研究の賜物と言えるでしょう。

<近藤 俊/サカナ研究所>