身近な小川で楽しむルアー釣り『チャビング』 手軽だけどゲーム性は抜群

身近な小川で楽しむルアー釣り『チャビング』 手軽だけどゲーム性は抜群

ここ最近静かに熱を帯びている川の雑魚釣り。チャビングというジャンルで釣れる川の「雑魚」をご紹介します。

(アイキャッチ画像提供:近藤俊)

アバター画像 TSURINEWS編集部

淡水の釣り 小魚釣り

小河川で楽しむ「チャビング」

ここ数年、少しずつ熱を帯びているジャンルの釣り「チャビング」。

住宅街を流れるような小さな川で、小型のスプーンやスピナーを使っていわゆる川の雑魚を釣ろうというものです。

なぜこの雑魚釣りをチャビングと言うのかというと、「チャブ」とは、カワムツやオイカワ、ウグイを表す英名で、もともと海外では里川などにいるこれらのサカナをまとめてチャブと呼んでいます。このチャブをスプーンなどのルアーで釣ってやろうというのが新しい釣りのスタイル「チャビング」というわけです。

しかし、川の雑魚釣りだからと言っても侮るなかれ、中には時折20cm程度になるサカナも混ざるためかかればかなり楽しめます。警戒心がほとんどなく、意外なほど積極的にルアーにアタックしてくれるため、軽装、短時間でも楽しめる気軽さなどから注目を集めています。

チャビングの対象魚

先にも記載しましたが、チャブとは総称です。そのいくつかをご紹介します。

オイカワ

コイ目>コイ科>クセノキプリス亜科>ハス属に分類されるオイカワ。成魚は体長15cmほどで、背中は灰青色、体側から腹側は銀白色で、体側に淡いピンクの横斑が数本入るのが特徴です

婚姻色が美しいことでもよく知る人も多いでしょう。

身近な小川で楽しむルアー釣り『チャビング』 手軽だけどゲーム性は抜群オイカワのオス(提供:PhotoAC)

オスの方がメスより大きくなり、夏の産卵期になるとオスは体色を青く変化させメスにアピールをします。その婚姻色の美しさは「川の宝石」とも呼ばれるほど。

また、婚姻色以外にも特徴があり、オスの顔の周りには、「追星(おいぼし)」というイボのような突起があります。この追星を利用してオスは相手を威嚇したり、メスの奪い合いとなったときには、追星を相手の体にぶつけるように激しく体当たり戦うのです。

オスが釣れた際はサイズと婚姻色、そしてこの追星の量などが評価の基準になったりします。

川の場合は中流域から下流域にかけて生息し、水流が速く日当たりのよい場所を好む傾向があります。また水の汚れに強く、河川改修され生活排水が流れこむような都市部の河川にも生息しています。

カワムツ

コイ目>コイ科>クセノキプリス亜科>カワムツ属に分類されるカワムツ。成魚の体長は10-15cmほどで、オスがメスより大きくなり大型のオスでは全長20cm近くなることもあります。

体色は背中は黄褐色、体側には太い紺色の縦帯があり、背中の背びれの前には黄色の紡錘形の斑点が1つあるのが特徴です。成体になるとオスは喉から腹にかけてが赤く、顔に追星もでてきます。

都市部の川などに生息していますが、オイカワよりも水がきれいな所を好み、その中でも水流が緩い所を好みます。

警戒心は強い方で、岸辺の植物が水面に覆いかぶさったような所に多く、人影が近づくとすぐに茂みの陰へ逃げ込んでしまいます。そのため、釣り場はすぐにスレてしまうため、カワムツの多いポイントは気配を消すことが非常に大事で、ルアーチェンジなども有効になります。

ヌマムツ

コイ目>コイ科>クセノキプリス亜科>カワムツ属に分類されるヌマムツ。外見はオイカワやカワムツによく似ており、2000年頃まではカワムツと同種とされていました。

外見はカワムツに非常に似ていますが、外見に特徴でいえば、鱗がより細かいこと体側の縦帯がやや薄いこと、胸鰭と腹鰭の前縁が黄色ではなく赤くなります。

また、カワムツよりさらに流れの緩やかな生息環境を好むことから正式に別種として扱われるようになりました。

雑魚を真剣に狙うが楽しい!

このチャビングは上記のようないわゆる雑魚を真剣に狙うのが面白いところです。意外と近所に流れる小さな川にもこれらのサカナは普通に生息しています。

なによりこの釣りの特徴は荷物が最小限であり、30分もあれば十分に楽しめるということ。むしろポイントがすぐにスレてしまうため、移動できない場合は30分が釣行の限度と言ってもいいでしょう。

実は筆者もこのチャビングに最近どっぷりハマっており、徒歩5分の川幅2m程度の川に釣り竿1本持って日々通っています。釣行時間も気にする必要が無いため、お昼休みに30分などが多いですが、それでもしっかりと釣果は出ますよ。

なにより、渓流釣りのトラウトと同じように戦略性もあるため、雑魚釣りと言っても楽しめる要素は十分。半信半疑だとしても魚影があればスプーンを投げてみて下さい。きっとこの世界にハマってしまう事でしょう。

<近藤 俊/サカナ研究所>