旧車の高級モデルはおいそれと手が出せる世界ではないが、レトロ釣り具の世界は、もっと気軽に楽しめる。また、それを使って実際に釣行し、釣果を手にすることができれば楽しみもさらに拡がるだろう。今回はそんなレトロタックルの楽しみについてまとめてみた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター牧野博)
使用上の注意点
例えば竿の場合、当時の最高級モデルであっても、今の最新の竿との間には、20年、30年といった時の流れがある。
その間に素材や製竿技術が進んでいるので、最新の竿と比べ、反発力や、操作性などはやはり差がある。リールなども然りで、軽さでは同等であってもベアリング数やストッパーの技術、摺動部分などの工作精度は大きな差があるので、使用感やスムーズさはやはり最新のリールの方が上である。
また、レトロタックルと呼べるような竿やリールの場合、メーカーの部品ストックなどはほぼ皆無であるので、メーカーによる純正パーツでの修理は難しい。
メンテナンス・保管
今の最新のタックルと、それほど大差ないメンテナンスでOKである。竿なら使用後にガイドやボディーの部分の塩分を流して、水気をふきとって陰干しする。
リールならラインローラーやハンドルの回転部分にオイルを差して、作動を確認する。本体のフタが開けられるなら、メインギアやシャフトの部分にグリースを塗布することも可能である。その一方、今のリールのようにウオッシャブル構造にはなっていないので、塩分を洗い流す時には、内部に水が入らない様に注意する必要がある。
リールオイルを少量しみこませたウエスで、ボディーやローターの部分を拭き取りすると、若干サビや腐食を少なくすることができる。
長く使うためのアイデア
メーカー修理が難しいので、上記のような使用後のメンテナンスをしっかり行うとともに、部品なども自分で確保することが必要である。
メカに強かったり、機械ものの扱いに慣れているアングラーなら、自前でアレンジすることも可能と思うが、一つの方法として、同型機を複数揃える方法がある。
具体的には、中古の釣り具専門店などで、幸運にも自分が使っているレトロタックルと同じ型式で同じ号数の竿やリール、あるいは部品の互換性のあるリールが出ていて、購入できる妥当な価格であったなら、購入する。つまり同型式の竿やリール、姉妹機を2台以上持っていれば、そのうち1台は部品取り用として使うことができる。もちろん2機以上で置き竿の釣りで使用することも可能だ。
リールの場合、ラインローラーやギア、ハンドル、ベールなどの部品を確保できるうえ、特に投げ専用リールの場合、替えスプールが確保できることが大きく、釣行の時には便利である。また竿なら、新しいガイドシステムのガイドセットを一式購入すれば、元からついていたガイドを外して、新しいガイドシステムに付け変えることも可能だ。ガイドを付け替えることで、かなり使いやすくなることも多い。
私の場合、レトロの投げ竿はKガイドかローライダーガイドに交換しているものが多く、PEライン中心の釣りでも使いやすくなった。ガイド交換、ラッピングの時も巻き糸の色に悩んでしまったりするが、これもレトロタックルの楽しみの一つであり、釣りに行けない時のインドアフィッシングには格好のアイテムといえる。
ガイドのラッピングも、最初は少しハードルが高いかもしれないが、回数を重ねるごとにうまく巻けるようになってくる。ラッピング後の巻き糸部分のコーティングは、ラッピング以上に技術が必要な工程といえるが、この部分だけをプロの職人の方にお願いすることも可能である。
レトロ釣具は魅力たくさん
レトロタックルは、使う、眺める、自分流に改造するなど、様々な楽しみ方のできる釣り具といえる。
最新の道具の性能は確かに素晴らしいが、レトロタックルの中にも、意外に使いやすかったり、丈夫な構造になっていたり、デザインなどで入念な仕上げをされているものもあり、あなどれないものである。そんなレトロタックルの世界を、釣りの楽しみに加えてみるのはいかがだろうか。
<牧野博/TSURINEWSライター>