人里離れた山奥へと入り、大自然を独り占めできる渓流釣り。名手のような釣れっぷりを期待してはじめてみたら、なかなか1匹目が釣れない・・・!この大きなハードルを越えて、最初の1匹目を釣るために知っておきたいことについて、詳しく解説していこう。今回は入門編だ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
渓流釣りは入門時が一番難しい
はじめて渓流を訪れた人は、だれしもが「どこをどうやって?なにをして釣ればいい?」と迷うもの。
対象魚となるアマゴやヤマメ、そしてイワナは非常に警戒心が強く、簡単に針に掛かってくれない。
それに、渓流はポイントが無数にあって絞り込みづらいし、道具立てもやや特殊だ。ある程度道具が揃い、「釣れている情報」がある場所を訪れても、まったく反応がないということも日常茶飯事だ。
最初の1匹までが非常に遠い釣りだが、その分、美しい渓魚に出会えたときの感動は素晴らしいものがある。
渓魚の生態を知ろう
まずは対象となる渓魚の生態を紹介しよう。
渓魚は肉食性
渓魚は基本的に肉食性の魚だ。主食としているのは、川に棲息する川虫や落下昆虫、そして口に入るサイズの小さな魚や魚卵など。そのなかでも日常的に口にしている川虫が、渓流釣りでは最強のエサとなる。
変化する食性
解禁直後、まだ低水温により活性が低い渓魚たちは、イクラの強烈な臭いに釣られてバンバン口を使う。だが、多くのアングラーがイクラを使用することもあり、しばらくするとスレてイクラを食わなくなる。
このころからは渓魚たちが食べ慣れている川虫が抜群の効果を発揮する。
また、雨のあとにニゴリが入ると臭いの強いミミズがよく効くし、曇天や雨天・乾期はブドウムシも効果がある。天候の状況によって、エサを使い分けるのが釣果への早道となる。
警戒心が強く臆病
渓魚は澄み切った川に棲んでいることもあり、非常に視力がよい。とくに、天敵の鳥に襲われやすい頭上は警戒してよくみている。そのため、水面に影が落ちるだけでもエサを食わなくなったり、物陰に隠れたりする。
そんな渓魚と勝負するため、糸は1号に満たない細糸が基本となる。
泳ぐ場所が変化
解禁直後の初期は、流れの緩い流心脇のヨレや深みがメインのポイントとなるが、気温・水温が上昇してくると、速い流れのなかに出てくる。
そのため、時期によって攻めるポイントを変えるのが非常に効果的となる。
渓魚がいる場所を知ろう
では、渓魚が潜む「渓流」とは、どのような場所なのかを詳しくみていこう。
山中を流れる川
渓魚は基本的に低水温と綺麗な水を好むので、場所によっては湧水が出るような環境のよい川に多く棲息している。
川幅が狭い水源近くのエリアを源流、ある程度の水量があるエリア全体を渓流、山奥の民家の近くを流れる川を里川と表現する。
また、細く枝分かれした川ひとつひとつを支流、合流して大きな流れとなった場所を本流と呼んでいる。
渓流の環境
山奥の谷を流れる渓流は、頭上には木々が鬱蒼と生い茂り、川のなかには大小さまざまな岩・石が点在している。こういった場所が、警戒心の高い渓魚たちの隠れ家となっている。
渓魚たちが定位する場所
基本的に渓魚たちは、より効率よくエサを食べるために、川虫や落下昆虫が流れてくるような場所に定位する。渓流釣りでは、この流れを的確に読む技術が必須となる。
野生動物への対策
山の奥深くに分け入っていくということは、すなわち野生動物の住処で糸を垂らしているのと同じ。そのため、野生動物対策(とくに熊対策)は身の安全を確保するために必要となる。