2月に入ると渓流釣り解禁に向けて、仕掛け作りなどの準備に余念がない時期だと思う。太公望の真の正月というべき3月1日の解禁日に向けて、ノベザオとエサを使用したヤマメ釣りを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
ヤマメを釣るために
一般的にヤマメ釣りは難しいイメージを持っている人が多い。私たち経験を積んだ釣り師でさえ、時に悩むこともしばしば(それが飽きさせずヤマメの面白さともいえる)。
本来、ヤマメは驚かせない限り、貪欲にエサを食べ続けるような魚。アプローチと魚の居場所を把握し、エサと仕掛けを的確にセレクトし、自然に流すことができれば誰でも簡単に釣れる。
しかしながら、アプローチをおろそかにすると、いとも簡単に貧果になる側面を持っている。
釣るための近道は第一に、ヤマメが多く生息している実績のある河川で釣ること。漁協、釣具店、釣り仲間などから情報収集したい。
第二に、警戒心の強い神経質な魚だから、悟られないように近づき、あたかも自然に流れてきたエサのように見せて、仕掛けを流れに逆らうことなく自然に流すこと。
以前、「この人の後は釣れない」と名高い、職漁師の名手と何度か釣りをしたことがある。大ベテランの名人よりも先に釣るなど恐れ多いこともあるが、常に視界に入り、勉強できる後追いの形に徹した。名人の釣り方は、人がやらない釣り方で常に目から鱗であり、振り向くたびにサオを曲げ、本当に数多くのヤマメを釣り上げていた。
後追いの私は当然のごとくアタリも少なく、スレているのも明らかだった。そこで、培ってきた私なりの釣り方で攻略し、良型を絡めた2ケタ釣果となったことがある。このように、自身の釣り方を見直しながらも自然に流せば先行者後でも、ヤマメ釣りが成立することを再確認できたとともに、大変貴重な経験と有意義な勉強をさせてもらった。
ヤマメの定位場所
ヤマメにも基本的な好む流れというものがある。それは、常に水通しが良くて、流下してくるエサが集まりやすい場所。
「流れを読む」と、よく言われるが釣る前に、まず川を観察してほしい。自分がヤマメになったつもりで、どの流れにエサが多く集まりやすくて、体力を使わず、安全にエサを捕食できるかを考えたい。
ポイントとしては、瀬の流れと流れが交わる個所、流れ出しの頭、巻き返し、淵尻、沈み石前のウケなどがある。また、ヤマメの好む流速として、おおよそ秒速30cmの流れを好むとされ、川底から少し上の下層(底波)を好む。
もちろん、その日の活性、季節、水温によって定位する流速も変化するが、基本的にヤマメは下層狙いでよい。ただし、深い淵など下層の底波でアタリがなければ、タナを上げて調整する。
時に、高活性によるライズが発生したら、迷わず水面直下を毛バリ釣りのように流していく。ヒットしたら、ダイレクトなアタリとスリル満点の引き込みが楽しめ、釣果も伸びるだろう。
参考として、解禁直後の水温10度未満の低水温は、冬眠から目覚めたばかりで、低活性で持ち味の俊敏さもない。また、水深のある淵・トロ瀬・堰堤下などが、水温も安定しやすく、底石の多い下層の流れ(底波)に定位し、目の前に流れてくるエサだけをゆっくりと捕食している場合が多い。
アプローチ
ヤマメを釣るためには、絶対に悟られないことに尽きる。一度気配を悟られてしまうと、一目散に岩陰に逃げ込み、その日は自らエサの捕食を断つほど警戒心が強い。どれだけ仕掛けを工夫しても釣りにならない。川を渡渉する時は、ポイントから離れた場所を渡り、不用意に底石を転がさない。水中の転がした石の音は、水中で予想以上に反響し、ヤマメを警戒させる。
また、釣る前から不用意に川に近づかず、釣る際も、自身の影やサオの影を水面に落とさないように癖付けたい。