2月に入ると渓流釣り解禁に向けて、仕掛け作りなどの準備に余念がない時期だと思う。太公望の真の正月というべき3月1日の解禁日に向けて、ノベザオとエサを使用したヤマメ釣りを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース西部版APC・津曲隼丞)
エサ
川虫は最も食いの立つ万能エサ。日ごろ、渓魚が捕食している川虫なので安心して食いついてくれる。採取する手間暇はかかるものの、その労力は納得の釣果を約束してくれる。物価高騰の時代にエサ代0円は大変魅力的だ。また、市販エサで何度流してもアタリがでないのに、エサを川虫に交換した途端、どこから湧いてきたのか驚くほどにアタリが頻発する場合もある。なかでもヒラコ、キンパク、ピンチョロは、食い込み抜群なので、生息場所や採取時期を把握しておきたい。
ほかには、初期であればイクラを使った釣り方も抜群の釣果が上がるようだ。また、5月以降の雨後や濁りのある時は天然ミミズが抜群の食いをみせる。梅雨(つゆ)明けからは陸生昆虫が主食となり、ブドウ虫、クリ虫もお勧め。
市販エサのブドウ虫やミミズなどは、ほかの釣り師も常用。ヤマメも学習しているので、食い渋りも留意しておきたい。そのためにもヤマメ釣りでは2種類以上のエサを用意したい。
ヒラコ
ヒラタカゲロウの幼虫の一種。最も食いの良いエサといっても過言ではない。ただし、保存は難しく、生きても一日程度。地域によってヒラタ、チョロなどと呼ばれている。3月ごろは「起こし虫」と言われ、流れの緩い場所の石を持ち上げると、石裏にへばり付いている。これを潰さないように剥がして、コケ(園芸用でも可)の入ったエサ箱に入れておく。足が取れると弱りも早く、ヤマメの食いも悪くなるので、採取に慣れていない人はピンセットなどを使うとよい。
4月中旬になると「ナデ虫」や「ツヨ虫」と言われ、白泡の立つ流速のある大きめの石に付く。これをタオルやブラシなどで優しく撫でて、下に大きめのタモを置くと一網打尽で採れる。
キンパク
カワゲラの幼虫の一種、3月によく採れる。早くも3月下旬から4月上旬には羽化してしまう。このエサは保存期間も長くハリ持ちも良い。体全体が黄色く、足がよく動き、ヤマメの食い込みも抜群。しかし、生息する場所と数が年々減少傾向に感じている。
主に、中流域のひざ下までの小石が敷き詰められたザラ瀬に生息している。下流側に網を立てて、足で小石を転がすと大量に採取できる。中には、あまり黄色味の少ないカワゲラもいる。これを「ギンパク」と呼んでいる。キンパクよりも食いが落ちるが、予備エサとして一緒に採取しておこう。
コケを入れたタッパーで、冷蔵庫の野菜室に保存すれば五日程度は元気に生きている。
ピンチョロ
フタオカゲロウの幼虫の一種。細長い流線形をしており1cm程度。「ピンピン」とも呼ばれており、一見すると小魚が遊泳しているかのように映る。本流域や里川で、流れに通じる水溜まりに多く生息している。
4月になるとよく水溜まりで見かけ、川虫採り網ですくえば一網打尽。保存期間は一日と短くコケを入れて保存する。また、渓流域の流速のあるザラ瀬には茶褐色のピンチョロが生息している。軟らかな体で泳ぐ虫のために誘い効果もあり、ヤマメの食いつきも良い。
さらにはヤマメのライズを見かけたら、これをチョン掛けにして、フライやテンカラ釣りのように表層を流すと面白い釣りが楽しめる。
クロカワ虫
トビケラの幼虫の一種。2~3cmの黒色。くちばしがあり、噛みつく場合があるので注意してほしい。
本流域や少し濁りの入った里川ではヤマメが抜群の食いをみせ、良型・大物狙いには積極的に使用したいエサ。一方で、透明度の高い渓流域では食いが芳しくないことも留意しておきたい。
瀬肩や瀬脇の水通しの良い緩い流れで石裏に巣を作って生息している。一度に大量に採取すると、互いに噛み合って絶命してしまう。元気なうちは張りもあるが、弱るとしなびて2つ折れになってしまう。こうなると、極端にヤマメの食いも落ちてしまう。
保存方法は通気性の良い竹籠のエサ箱に多めのヨモギを入れ、休憩時など定期的に水流に浸して、気温上昇を抑えながら釣ると長持ちする。