令和4年9月、湘南エリアの人気観光スポットである江の島で、釣り人による海中転落事故が同日に2件発生。1件は生還、もう1件は未だ行方不明と明暗を分けた。編集部では、神奈川県警察本部と海上保安庁協力のもと、生還者S氏へのインタビューを実施。当事者の肉声を通じて、「釣り」と「安全」をあらためて考えてみたい。
(アイキャッチ画像撮影:TSURINEWS編集部)
自身で考える事故の原因は何?
まずは知識不足ですね。とくに場所に対する知識がまったく足りていなかった。それから、周りを見たときに誰もライフジャケットを着ていなかったので、「ここは危ないところじゃないんだ」という先入観もあったと思います。
無事に戻れた要因は?
やはりライフジャケットですね。あれがなかったら、たぶん浮いてられなかったし、浮いてられなければ冷静でいられなかったと思います。沖に泳いでいるときは、行きたいところ行けず邪魔に感じるんですが、力を抜けば浮いていられるのは、やっぱり楽。体力も温存できますし。
事故後に釣りは再開されましたか?
まだ一人で行く気にはなれず、いまは友達に連れて行ってもらっています。それで行ったら、釣れるからといって危ない場所には立ち入らないよう徹底しています。
ほかに変わったことは?
桜マーク付きの膨張式ライフジャケットを購入し、釣り場が小河川であっても必ず着用するようにしています。このへんの意識は大きく変わりましたね。
釣り人に伝えたいことはありますか?
まず無理をしないことですね。それから、台風が遠くにあったとしても、楽観しないこと。あのときも台風がかなり沖にあって、大潮が重なっていたと思うんですね。そういうことも事前にしっかりリサーチして、現場に着いて波が高ければ、周りに釣り人がいても無理は絶対にしない。場所を変えるなり、日をあらためてほしい。事前のリサーチも、釣りの楽しみのひとつにしてもらえればいいのかなと思います。
インタビュー動画
取材協力:神奈川県警察本部 地域部地域総務課、横須賀海上保安部 湘南海上保安署、海上保安庁 第三管区海上保安本部(順不同)
<佐藤淳/TSURINEWS編集部>
稚児ヶ淵