以前スプールエッジの傷について、応急処置術を紹介した。サンドペーパーを使って優しく均していき、最後にピカールで仕上げるという方法だ。しかし、これはあくまで比較的安価なリールに限られる。ハイエンドのリールの場合は、もう少し慎重な検討が必要だ。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
ハイエンドリールの傷
スプールエッジについた傷は、程度によっては、ライトラインを使った釣りでは特に致命的となる。リールを不注意でぶつけてしまいそうなときなど、何よりも死守すべきはスプールエッジともいえるだろう。
しかし不運にも傷がついてしまうことはある。今回、筆者は本当に久しぶりにハイエンドのリールに傷をつけてしまった。釣行中にドラグノブが吹き飛んでいってスプールが落下するという珍事による傷なので、どんな風にしても想定外、致し方ないとはいえるが、それにしても傷は残る。
以前、入門機種を使っていたときには、これくらいの傷ならば放っておくか、サンドペーパーで軽く削ってピカールで仕上げ、防錆剤を吹くくらいの処置で終わらせていた。しかし今回はスプール単品で13000円ほどする高級品。さすがに軽いやり方は慎むことにした。
結論を言うと、「放っておいた方がいい」または「買い替えるしかない」の二択となる。
釣具屋さん「買い替えが基本です」
スプールエッジについた傷が実釣に影響をきたすかどうかは、ラインの細さや、傷の深さによる。このスプールの場合、巻いているイトがPE0.1号と考えられる限りの最細号数。傷の深さは爪を立てれば若干引っかかる程度のもの。なんとも微妙なところである。
まずはプロに相談してみることにした。実際に持ち込んで訊いてみる。質問の仕方としては、「お店で修理してもらえますか?」と、若干無理めな言い方をしてみた。すると、
「基本的に修理はしていません。自己処理もおすすめしません。買い替えしてください」
と一刀両断されてしまう。「これくらいの傷だから云々」という答えももらえなかった。お店としては責任が持てないからだろう。
1日寝て考える
以前までの自分ならば、おそらく簡単にサンドペーパーに手を伸ばしたはずである。今回もネットの情報を探りながら、ハイエンドとはいえ、ちょっと削って均してしまい、仕上げ剤と防錆剤プラス塗料を入れれば、おそらく何も問題ないだろうと思っていた。
しかし新品で13000円するスプールを、我が不器用さで自己処理するのは、いささかの恐怖が伴う。
そのまま様子を見る
何事も慎重にいって怪我をすることはない。特にこのリール、次の機会に急ぐ必要があるわけでもないのだ。たまたまサブのリールのイトも巻き替えていた。ここは拙速となるなかれと、じれったい思いを抑えながら、一晩寝て考えてみることにした。
すると、翌朝には、こういう考えが思い浮かんでいた。「次の釣行でもしイトが干渉したりトラブルが出たら処置する。そうでなければ、もうちょっと傷がいくまで、何なら悟りを開いて使い込んでみる」。ということで、しばらく様子を見てみることにしたのだ。