福井県若狭本郷の林渡船の仕立て船を利用し、キス釣りを楽しんできた。渋い日に当たって大釣りはできなかったが、旬の釣りを満喫できたのでリポートしたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター兵頭良弘)
林渡船で船キス釣り
毎年、キス釣りシーズンを迎えると釣り仲間数人で訪れているのが、福井県若狭本郷にある「林渡船」。奥深い小浜湾はこの時期、よほどのことがないかぎり大きな波が立つことはなく、女性や子供たちに安全な船釣りを楽しんでもらうには最高のロケーションと言える。もちろん魚影の濃さは折り紙つきで、キスに限らずアジやチヌ釣りでも有名。週末ともなると多くの釣り人が足しげく通う。
今年は例年になく梅雨入りが早いこともあって仕立て船の予約を入れていた5月16日はすでに梅雨の真っ只中。連日、雨模様のうっとしい天気が続いていたが、幸いにも釣行日当日は明方まで降っていた雨も乗船準備を始めたころにはスッキリと上がり、私たちを乗せた船は予定通り午前6時に港を出船した。
加斗沖でスタート
10分ほど小浜湾を航行し、水深が5m前後の加斗沖のポイントへ到着すると船のエンジンを切ってドテラ流しで釣りを開始。広範囲にポイントを探りながらキスの魚影を捉える釣りをスターさせた。
林健治船長から「まだこの時期は底潮が冷たいせいかキスの食いが渋く、なかなかハリに乗って来ないので早アワセは禁物。しかし、その分エサ取りが少ないのでアタリが出たらキスなのでしっかりと食わせて下さい」とアドバイスをもらったところで早速、仕掛けを投入。
開始からキス連発
するとすぐさまブルブルッとアタリ。本食いまでじっくりと待ち、坪田さんが幸先よく20cm級の本命をゲット。にわかに船中が盛り上がりを見せると、船がキスの群れを捉えたのか、5人のサオがかわるがわる弧を描き、12~20cm級のパールピンクの魚体が次々と宙を舞った。
だが、明らかにこの日の釣りは、昨年訪れた時と比べるとキスの活性が低く、釣れる型もひと回り小さかった。ドテラ流しでキスのアタリを拾って行く釣り方はかわりないが、昨年はひと流しごとに頻繁にサオ先を震わせたアタリが、ポツリポツリと反応が少なく、折角アタリを捉えてもハリに乗らない素バリを引く場面が数多く見受けられた。
スローな誘いでツ抜け達成
それでも何とかキスのアタリを拾おうと、360°仕掛けを遠近に投げ分けて、さびいてはラインを緩める、さびいてはラインを緩めるといったスローな誘いでキスのアタリを拾い、午前9時すぎにようやくツ抜けを果たした。
林船長も「今日は厳しいですね」と思案の様子。しばらくして「場所移動をしましょう」と船のエンジンをONにすると、さらに湾沖に向かって10分ほど船を走らせ「岡津」と呼ばれるポイントに入ってエンジンを止めた。
ポイント移動で良型ダブル
「この場所は良型のキスが結構コンスタントに狙えるんですよ」の一言に折れかけていた全員のムードが一転。気持ちを再び入れかえて仕掛けを投入したところ、思った以上に南東の風に押されて船の流れが速い。「これでは仕掛けが浮く」とオモリを15号から20号へチェンジした。
しっかりと底に仕掛けがはうように、ライン操作も人指し指で押さえては緩めるといった微妙なコントロールでアタリを待つこと数分、サオ先にカン、カンカンと今日一番の鋭いアタリが出た。「これはきたかも」とゆっくりとラインを巻き取ると、キスのダブルヒットで、好スタートを切れた。
静まりかけていた雰囲気もこれで一気に高まったが、やはりキスのアタリは遠く単発で、1時間ほどで再び加斗沖の浅場へと戻り、潮がわりの食いに期待を寄せることとなった。