いよいよ2020年のお正月です。おせちの準備、とりわけ塩抜きが必要な「数の子」はもう買いましたか。今回は、おいしい「数の子」の見分け方を、奈良県中央卸売市場の丸中水産株式会社勤務の著者が紹介します。
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数の子はニシンの卵
おせちは御節供(おせちく)が略されたもので、五節句など節日に料理を神前に供えて、そのおさがりを食べたのがはじまりです。
おせちは大晦日には完成して三箇日食べるわけですが、これは年の神が来ている正月に煮炊きを嫌う習慣からきています。そのため作り置きできて日持ちし、縁起のいい物が入っています。
そんな中に必ず?入っているのが「数の子」。子孫繁栄、子だくさんの縁起を担ぐものですが、数の子が何の魚の卵か知らないという人も多いみたいです。
おせちのタイの子をスケソウダラの卵と知らなかった魚屋のおねえさんは、数の子はニシンの卵と知っていましたが、みんなでおせちを食べながらこの親知っている?クイズも楽しいかもしれません。
数の子の目利き
では、そんな数の子を選ぶ際に役立つ豆知識をお伝えします。まず、数の子の加工はほとんど北海道なのですが、産地は北海道とは限りません。そして、この産地によってその食感や味がかわるのです。
では、数の子の産地はどこなのでしょうか?
産地によって変わる味
主な産地は、北海道、カナダ、アメリカ、ロシア、オランダです。親のニシンは太平洋ニシンと大西洋ニシンがおり、それぞれ産卵形態も違うので、当然子供の数の子の食感(ポリポリ)も違います。
太平洋ニシンが浅場の昆布に卵を産み付けるのに対し、大西洋ニシンは少し深い岩場に卵を産みます。昆布に産み付けるには粘着性の卵でないとくっつかないので、そのたんぱく質がお腹の中で硬くなり、ポリポリッの音を生みます。
一方、大西洋ニシンは岩の隙間に産卵するので、硬くする必要がありません。つまり食感(ポリポリ)は太平洋ニシンのほうが断然いいというわけです。またニシンは北の海のほうが、大型がとれます。北海道よりロシアやアラスカのほうが数の子も大きいです。しかし、あまり大きすぎると脂も多いため、食感が失われます。
大西洋産の数の子は味付け数の子に加工されることが多く、塩数の子として一番良品なのは、やはり大粒の北海道産ですが、流通量は少ないです。次がカナダ産。食感も大きさも丁度いい数の子です。ただしカナダやアメリカは東海岸もあるので、こちらの数の子はオランダ産のように大西洋ニシンのものになります。ロシア産は昔、北海道に群来していた群れと同じです。
太平洋ニシンがオススメ
年末に塩カズノコを購入するなら、太平洋ニシンの卵というのがポイントとなります。塩数の子としてお求めになったならば、アメリカ、ロシア産が多いのではないでしょうか?
またメーカーで決めるのも一つで、ヤマニとヤマカというメーカーの人気は高いです。関西では「ヤマニの数の子」とメーカーまで指定してくる人も多いです。
ちなみにスーパーなどで安いと思っていると、同じ大きさの箱で内容量が微妙に違う場合があるので注意が必要です。500gと同じ箱で400gの製品もあるので、裏の内容量を確認してから購入しないとグラム単価は高かったということもあります。