急用や悪天候で予定していた釣りに行けなくなってしまった、そんな日がありますよね。そんな日には釣りを『読んで』みてはいかがでしょうか。今回は小説とエッセイを中心におすすめの釣り本を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・夏野)
目次
1. 釣り坊主がゆく&釣り坊主、今日もゆく
この本の著者はなんと実在のご住職!殺生御法度のはずのお坊さんが描く、面白おかしいドタバタ釣行記。
お坊さんが大物を求めて年間4万キロの大爆走。山奥で大イワナ、磯でクチジロ、堤防で巨大アオリイカ等々、様々な面白釣りエピソードが次々に登場。
爆釣したら実は禁漁区だったなど、思わず笑ってしまうやらかし話も満載。間違いなく今すぐ釣りに行きたくなる本です。
2. つりが好き
24人の著名人による釣り話を集めたアンソロジー。
佐藤垢石、井伏鱒二、林房雄といった作家から桂歌丸、三遊亭金馬といった落語家や漫画家の矢口高雄まで幅広く収録。
終戦の日に釣りをする獅子文六の「釣りの経験」では平和となったことへの喜びと国が負けたという虚無感と共に釣りが描かれる。当時の日本人の複雑な心情と日本の様子が窺える感慨深い一編です。
3. チンチン電車の走る街の釣キチたち
昭和53年の三ノ輪にある釣具屋の主人と、その店に訪れる客とのエピソード。
普段仲が悪いが釣りだけは意見の合う大工の親子、自分は貴族の末裔と言う女、16万円落としたと騒ぐ男等々、楽しくも怪しい客たちが次々訪れる。
昭和の下町の様子やそこで暮らす人々の生活も興味深く読める本です。
4. 朝日の当たる川 赤貧にっぽん釣りの旅二万三千キロ
釣り人だれもが一度は夢見る釣り日本一周を実際にやった若者の釣り旅エッセイ。
作者は軽のオンボロワゴンを改造し、東京に彼女を残して日本一周の旅に出る。フライフィッシングを中心に描かれる日本の風景や地元民との交流は決して美しく温かいものだけではない。様々な状況に自分の中で折り合いをつけながら、作者は次の釣りに向かって旅を続けて行く。
作者の優しい人柄が溢れた文章が印象的。最近読んだ中で一番好きな作品です。
5. 魚はゆらゆらと空を見る
黒澤明作品に多く出演した俳優が描く釣行エッセイ。
釣行記が主体だが、幼少期に出会った「おじさんは寿司屋け?」と聞いた相手が井伏鱒二だったり、「俳優になればいいのに」と太宰治に言われて本当に俳優になったりと、作者自身のエピソードも面白い。
俳優ではなく実は作家なのでは?と思うほど上手な文章でまとめられた本です。
6. スペインの休日
心理学の研究者がスペイン滞在中に行った釣りエッセイ。
レオン大学に招かれた作者は週末の休日を利用し渓流釣りを楽しむ。スペイン独自の釣り文化やルール、それを取り締まる警察官との対立など、日本とは異なる環境や遊魚規則に翻弄されながらもスペインでの日々が活き活きと描かれる。
海外での釣行記といえば大物狙いや珍魚を扱ったものが多い中、ごく日常的な釣りを取り上げた珍しい本です。
7. わしらは怪しい雑魚釣り隊シリーズ
椎名誠とメンバーたちによる釣りキャンプを綴ったエッセイ。
あえて雑魚を釣り、焚き火と浜鍋で大騒ぎするキャンプの楽しさが描かれる。釣りの様子のみならず、写真家や弁護士といった様々な顔ぶれの雑魚釣り隊メンバーと隊長椎名誠のやり取りが楽しい。前身の「椎名誠と怪しい探検隊」同様にシリーズ化されている。
どちらかというと釣りよりキャンプがメインの内容ですが、気の合う仲間同士で大いに盛り上がる様子が読んでいて非常に気持ちの良い本です。こんなメンバーで釣りに行けたらサイコーですね。
雨の日は釣りの本を読んでみよう
いかがだったでしょうか。雨の日や釣りに行けない日でも、釣り本を通じて釣りの魅力を存分に楽しめます。
今回紹介した7冊は、それぞれ個性的で釣りを多角的に楽しめる内容ばかり。釣りの技術だけでなく、文化や人生観に触れる一冊も見つかるはずです。ぜひ手に取って、新たな釣りの楽しみ方を発見してみてください!
<夏野/TSURINEWSライター>