ボラというとエサ釣りでもルアーでもあまり良いイメージを抱く人はいない。ヌメヌメした粘液から発する独特なあの臭いは、ネットや洋服に付いたらなかなか取れないし、生息環境によってはさほど美味ではないときたら、敬遠されるのもわかる気がする。しかし、一方で汚染や寒さにも強く、意外にもルアーに好反応をしてくれる。しかも良型はなかなかの引きを味わえ、季節を問わず遊んでくれる良いやつなのだ。この記事ではそんなボラに注目し、ルアーで釣る楽しさを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・宮坂剛志)
侮れない引きと楽しさ
人気がないとはいえ、釣果が厳しいときは良型のボラでも釣れれば楽しいものだ。しかもよく考えてみると、夏でも冬でもどこにでもいて、ときにはシーバスなどのフィッシュイーターのエサとなり、ときにはルアーフィッシングの立派なターゲットになってくれる。こんな「万能魚」は他の魚をみてもなかなかいない。
しかもこのボラ、口が小さくついばむようなアタリは繊細で掛けるのが非常に難しい。さらに良型はかなりのファイターで、シーバスとは違った魅力がある。侮れない引きと意外にもあるゲーム性は、臭いを除けば完璧なゲームフィッシュではないだろうか。
おすすめルアーと重要な色
そんなボラだが、フローティングミノーとバイブレーションで釣るのがおすすめだ。そして、何より重要になるのが色(カラー)だ。これは筆者の経験からだが、ボラは色にこだわると釣果が違ってくる。これは都市伝説ではなく本当だ。
ボラは好奇心が旺盛なので、基本はハデなカラー(赤や金系)などがいい。それでも状況に応じて、水が澄んだらクリア系に変えるのもアリだ。この色は、よりシビアに考えることによって釣果は断然違ってくるから面白い。さらにこれに加えて重要になってくるのが、次に紹介する釣り方だ。
釣り方はとにかく自然に流す
そんな釣り方のコツは意外に簡単で「流れを利用して流す」ことだ。けっしてハデに巻いてはいけない。もちろん、ルアーを動かして釣ることも可能だが、確実に釣りたいなら流すに限る。
もう少し詳しく書くと、上流から流れてくるエサを演出することが大事になる。そう、ドリフトの釣りなんかは有効だ。とにかくひたすら流して、こちらは余分な糸を巻き取るだけでいい。ポイントもアバウトで、あえて上げるなら浅い場所と暗い場所だが、それほどシビアに考えなくてもいい。シーバスが釣れるポイントならほぼ釣れる。
ボラはフィッシュイーターではない。主食はイソメや藻類、小エビやプランクトンなのだ。特に河川のボラはこれに当てはまる。つまりは動きの鈍いエサになるが、これをルアーで演出するのは非常に難易度が高く、ハマってしまうくらいおもしろい。
優しいリリースを
さて、ここまでボラフィッシングの魅力を余すことなく書いてきたが、唯一の弱点としては、弱りやすいことだ。口元も弱く、すぐに穴が空いたり切れてしまうので、フィッシュグリップなどの扱いも慎重にしてほしい。口元が破れたりすると、おそらく上手くエサを食べられないだろう。なので、臭いはあっても優しいリリースをしてほしい。間違っても陸に放置などしてはならない。
ネットやフィッシュグリップは、臭い消しなどを使って洗えば、時間はかかっても消える。なので、シーバス同様に楽しませてくれた魚はせめて丁寧なリリースをしてほしい。
嫌われがちな魚としてのイメージのボラ。しかし、少し違った見方をしてみれば、立派なゲームフィッシュのターゲットになる。後は、狙うか狙わないかは、あなた次第だ。
<宮坂剛志/TSURINEWSライター>