10数年前に比べれば落ち着いた感のある海上釣り堀ブーム。それでも土日ともなれば予約が取れないほど、根強い人気を保っている。海上釣り堀の解説は本紙で何度も掲載してきたが、今回は少し深堀りして釣り堀の花形である青物について的を絞ってメソッドを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版 編集部)
放流されている青物の種類
海上釣り堀で放流されている青物は、主に3種類。ワラサ(ブリ)、ヒラマサ、カンパチだ。ワラサとヒラマサはパッと見よく似ているが、ヒラマサはやや扁平形でブリはぼってりとした紡錘形をしている。また上唇の角が四角になっているのがワラサ、丸くなっているのがヒラマサだ。
カンパチは漢字で書くと勘八。上から見ると頭部に八の字に見える模様があることから、この名前がついたとされている。ワラサ、ヒラマサとは違い、やや褐色がかかった体色をしているのですぐに見分けがつく。
他にブリとヒラマサのハイブリッドであるブリヒラや、エサにオリーブを混ぜて育てたオリーブワラサなんて魚を放流している釣り堀もある。それぞれ釣り堀によって放流されている魚種は違うが、スピード感あふれる強烈な引きは同じだ。
タックル
週刊つりニュース本紙で海上釣り堀については、何度も取り上げてきた。その都度、マダイタックルとは別に青物用の強めのタックル、仕掛けを準備すること…………という内容は各APCに執筆していただいてきた。
まさにその通りで、強烈なパワーを誇る青物と対峙するには、それなりのタックルが必要だ。サオの条件としては、バットにパワーがあり青物の引きを受け止められるスペックのもの。なおかつ、軟調子の穂先を搭載し、渋いときでも魚に違和感を与えないものとなる。
市販されている海上釣り堀・青物用と銘打ってあるものであれば、まず間違いはない。最近ではLIGHTの赤青一撃300、360は、ワラサクラスならサオを曲げているだけで魚が浮いてくるだけのパワーがある。
また余談だが、イケスの外にアジを付けて泳がせていたところ、座布団サイズのエイがヒット。だがこのサオでも十分余裕を持って、水面まで浮かせることができた。
リールは、中型クラスのスピニングリール。青物が相手の場合、間違いなくドラグ性能を駆使することになる。ドラグの滑り出しがなめらかなものを選びたい。ただし高価なものは必要ない。今のリールは廉価版でも、ドラグ性能は十分。ダイワならレブロス、シマノならナスキーといった機種でも問題なく使える。大きさはダイワでもシマノでも、4000番クラスなら安心して使える。
ライン&仕掛け
ラインはPEラインが定番だが、フロロカーボンラインでもナイロンラインでも構わない。PEラインなら3号、フロロカーボンライン、ナイロンラインなら6~8号を100~150mほど巻いておく。魚との距離が近い海上釣り堀において、PEラインの高感度性はそこまでアドバンテージにならない。むしろ青物のように瞬発力の高い魚を相手にするには、伸びのあるナイロンラインやフロロカーボンラインの方が安心感がある。
釣法は主にウキ釣りとミャク釣りの2種類があるが、どちらが良いとは言い切れない。爽快にウキが消し込むさまが見たければウキ釣り、豪快に穂先が突っ込むさまを見たければミャク釣りだ。
個人的なお勧めはミャク釣り。タナを自由に探れるし、誘いも自在だ。デメリットはサオ下しか探れないこと。横に探りたい場合、サオが届く範囲しか探れないことになる。ただ人が多ければ横方向へ探ることはどのみち難しいため、通りかかる青物を待ち伏せするスタイルとなる。
詳細は仕掛け図を参照にしていただきたいが、主にミチイトの先に6~10号の中通しオモリ、サルカン、ハリス、ハリとなる。ここで注意してほしいのが、使うエサによってハリ上にシンカーを打つこと。
エサに生きアジを使う場合、青物におびえてアジは上方向に逃げる。そうなるとアジはオモリを追い越して上へと泳ぐ。こうなると活性が低い青物が、そこまでアジを追いかけて食うことは考えにくい。アジの動きを抑えるため、ハリ上10cmぐらいにオモリ2号程度を打つのだ。
ハリスはどんなに細くても5号、できれば6号は使いたい。ハリは伊勢尼の13号。朝一や放流直後は活性が高いため、15号がお勧めだ。ハリスの太さもハリの大きさも全てバラさないため。後述するが、閉鎖水域である釣り堀で青物のバラシは致命的。ヘタをすればその後、青物は一切口を使わなくなることもある。