釣り人は「小春日和」に注意しよう 気温が上がっても海水温は低いまま?

釣り人は「小春日和」に注意しよう 気温が上がっても海水温は低いまま?

この記事を書いている今から、前後2週間ほど、2月とは思えない暖かい日が続いた。私の住まう大阪では、最高気温20℃にも達することがあったのだから、小春日和もいきすぎと言えよう。そんな陽気に誘われて……私は釣りをしなかった。経験から言って気温と海水温は、まったく別物だからだ。今回は、突然の気温上昇と水温の変化について、この2週間の例をとって語りたい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)

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井上海生

フィールドは大阪近郊。ライトゲームメイン。華奢なアジングロッドで大物を獲ることにロマンを感じます。

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真冬に釣りに行って大丈夫?

少しでも暖かくなると釣りにいきたくなる。真冬の釣り人のサガである。だが、小春日和の陽気に誘われて海に立ち、いい思いをすることは滅多にない。釣り人と魚の気持ち、というか、肌で感じる「温度」の感じ方は違う。海水温は一度下がってしまうと、なかなか元には戻らないし、魚は寒さに弱い。

釣り人は「小春日和」に注意しよう 気温が上がっても海水温は低いまま?春アジも5月(提供:TSURINEWSライター井上海生)

よって、2月3月の釣りは、避けた方がいい。筆者は個人的に、4月にもあまり釣りに行かない。地域性もあるだろうが、魚が高確率で釣れ始めるのは、やはり5月なのだ。

気温と水温の関係

気温が上昇した2週間弱と、海水温の変化について、2024年の2月10日~21日までの記録を述べよう。

まず、気温は、ものすごいもので、最高気温5℃が、最大20℃まで上昇した。ただ夜は冷え込んだし、冷たい雨がぱらつく時間も長かったので、まあ平均13℃くらいとしよう。

続けて、海水温だ。泉南にある海水温の情報発信を見てみると、2月10日が10.7℃。そしてこの記事を書いている2月21日が、11.5℃である。

気温は最大15℃上がったわけだが、水温は0.8℃しか変わっていない!!!これでは魚の動き方はほとんど変わらない。さらに風や雨で、いい条件で釣れる日もなかった……。

釣り人は「小春日和」に注意しよう 気温が上がっても海水温は低いまま?メバルも、どうだろう……(提供:TSURINEWSライター井上海生)

ちなみに私が最後にアジを釣った日が、水温12℃弱。この日でも4尾だった。12月に入ったアジの群れはほとんど抜けていたので、今はもういないだろう。メバルやカサゴが狙い物になるが、メバルの適水温は14℃で、水温11℃では厳しい。

繰り返しになるが、最大15℃気温が上がった中で、海水温の上昇はわずか0.8℃だったのだ。これが真冬の海のリアルである。

釣るなら潮を見ていく

アジは海水温1℃の変化を、人間でいう4℃にも感じるという話がある。まあこの説をあっさり信じることにすると、寒くなって一度仮に水温15℃の沖の深くに入っていってしまえば、わずか0.8℃という微妙な海水温上昇で沿岸に戻ってくることはないと言えるだろう。

カサゴやメバルといった根魚は怠惰な魚であまり回遊しない。特にカサゴはあまり着き場所がかわらないが、やはり反応は渋くなる。メバルは産卵後は体力を失い深場に潜ったりスリットに入って出てこない。消去法で沿岸の釣り物はカサゴになるわけだが、厳しい。それでも小春日和の中うずうずしてしまい、釣りたくなったら、どうすればいいだろうか?

釣り人は「小春日和」に注意しよう 気温が上がっても海水温は低いまま?カサゴゲームの試練を乗り越えろ(提供:TSURINEWSライター井上海生)

これはもう、釣りの好条件となる日を見極めていくしかない。まずは潮回り。新月回りの中潮、大潮。ボトムが取りやすい場所で、生エサもまじえながら釣る。ハマるとすれば、夕マヅメの時合いの勝負。そのあとは、スレたら即移動で、ランガンの釣り。あまり魚のベイトがどうというより、ショートバイトを掛けきれるか、という課題を意識して、軽量リグをボトムに送り込み、ふわふわさせて、ガッツリ食わせる戦い方を徹底した方がいいだろう。

小春日和は罠かもしれない……

筆者はまた潮通しの悪い大阪湾奥のアングラーなので、なかなか真冬、特に2月3月に釣りに行こうとは思わない。ふいに訪れる小春日和も、何なら釣り人の感覚で「罠」に近いものと捉えて、むしろ自分を「行くな」と戒める。釣りに行かなければ、釣りに行かないだけのお金の節約ができるわけで、それを今年の新規釣り具購入費に充てる方が良いはずだ。

<井上海生/TSURINEWSライター>