今年も待ちに待った渓流釣りが解禁する。今年はどの川のどんなポイントで渓流魚に出会えるだろうか。想像するだけでワクワクする。今回もホームグラウンドである岐阜県郡上市の郡上漁協管内のポイントを紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・松森渉)
昨年の郡上の状況
まずは昨年の郡上渓流を振り返りたい。昨年は本流、支流ともに好調の年だった。どの支流でも好釣果が得られた。しかも釣り返しが利いた。普段ならひと通り釣ると雨待ちといった感じだったが、昨年は同じ川の同じ場所でも何度か釣り返しが利いた。魚影が濃かったのだと思う。
半面、型は平均小ぶりが多かったイメージで、特に本流ではなかなか良型に出会えなかった。よく釣れた要因に、漁協の放流活動があると思う。発眼卵放流と秋期放流だ。他にも親魚放流、銀毛アマゴ放流、成魚放流などあるが、特に成果を実感しているのが発眼卵放流と秋期放流だ。発眼卵放流は前年の秋に管内全域で行われており、発眼卵を埋設放流している。発眼卵によって生まれたアマゴは、稚魚放流したアマゴより生存率が高く容姿も良い。
郡上漁協は以前は稚魚放流を主体にしていたが、発眼卵放流に力を入れ始めてから、管内全域の釣果が上がってきていると実感している。秋期放流は、那比川など一部にしか放流されていないが、こちらも昨年釣行して良い実感を得ている。
前年の11月に稚魚と成魚の中間的なサイズ(約50g)を放流する事業で、解禁当初から20cmクラスがサオを曲げてくれた。
今回は発眼卵放流でよく釣れた支流小駄良川と、秋期放流で良かった那比川のポイントを紹介したい。
小駄良川
小駄良川は長良川支流吉田川の支流で、郡上八幡の城下町で吉田川に注ぎ込む。川幅は下流部から3~5mと広い川ではない。大淵も少なく、比較的水深が浅いポイントが多い。下流部は城下町を流れるが、案外この辺りが狙いめ。理由は駐車スペースがないからだ。まともな駐車スペースは吉田川の中川原公園くらいで、ここから歩いて遡行すると結構しんどい。足に自信がある人にはお勧め。
メインとなる釣り場は中流部、小駄良橋から下原橋辺りだ。この辺りも決して駐車スペースが多いわけではないが、橋近辺にいくつか駐車スペースがある。
川は開けており釣りやすい。どちらかと言うと増水時にお勧めだが、平水時でも静かに釣れば数は釣れる。エサは初期がキンパク、イクラ。最盛期はヒラタが良い。サオは4~6mで、水中イトは太くても0.2号で十分。
那比川
新万場橋~黒佐橋間は那比川中流部で、新万場橋近辺から川に降り釣り上る。橋近辺の深みが好ポイントで、木が覆いかぶさっている流れはサオに抜けになり、数も釣れた。釣り上っていくと平瀬、チャラ瀬が続くがこの浅い流れで結構アタリが出る。
万場橋下流は流れが絞られ、そこそこ水深がある。昨年の初期は流れのヒラキで連発もあった。万場橋真下は水深がある淵。橋上流が本命で、ここは開けており釣りやすいが、魚から姿が見えやすいのでアプローチは慎重にしたい。ここも意外にチャラ瀬で釣れ、釣りやすい流れはすぐに釣れなくなる。
黒佐橋との中間地点は道路からは全く見えないが、好ポイントが連続する。この辺りも見た目で良い流れよりも、チャラ瀬の方が数は釣れたと感じている。エサは初期がキンパク。最盛期ヒラタが良い。
仕掛けは細仕掛けが良いと実感している。フロロカーボンライン0.15号がメインだ。
最後に
渓流釣りの魅力は、自然とのふれあい、美しい渓魚との出会い、賢い渓魚の知恵比べ、山の幸との出会い、日常の社会から離れ静かになれる時間など、人それぞれ楽しみ方がある。
渓魚は季節によっていろいろな顔を見せてくれる。初期は少しサビが入っておりやせているが、寒くて厳しいなかで出会えた1匹はうれしいものだ。春になればサビが取れたきれいな渓魚に出会える。しかし多くの釣り人のハリをかわした賢い渓魚たちは、釣り人の心を悩ませる。そんな時間もまた楽しい。
桜が咲き春らんまん。山が躍動しフキノトウ、タラの芽など山の幸も顔を出し、釣りに山菜取りと忙しい。
そして静かな渓流で1人になれる時間は心を和ませ、明日へつながる生きる活力となる。さあ渓流解禁だ。
<週刊つりニュース中部版APC・松森渉/TSURINEWS編>