釣りのハリは奥深い世界を持つ。たかがハリ一本と思うかもしれないが、魚の口に直接かかるのはリールでもロッドでもなく、「たかがハリ」なので、こいつがまさしく釣りの命なのだ。今回はハリの造形の中でも異色ともいえるティンセルとハゲ皮について紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター井上海生)
装飾のあるハリを有効活用
ハリの意匠は実に様々である。ステルスカラーの黒いハリや銀色のハリをスタンダードとするならば、金色のハリも変わり種である。金色のハリにはフラッシング効果があり、集魚効果が高いとのこと。目立って釣れやすい、らしい。
ハリは魚にとって異物である。メタルジグのリアフックは一部の魚には小魚の尾ビレに見えているという話を聞いたことがあるが、仕掛け自体が小さい、たとえばライトゲームのジグ単の釣りでは、ハリはまさしく魚にとって最大の警戒心を抱かせる謎物体だろう。
また黒や銀色というスチールカラーは光を透過させないので、ささやかな影でも魚には異物感タップリに見えるに違いない。タチウオワインドでも、トレーラーフックのハリ数が増えると食いが悪くなるのだから、ハリは魚に基本的に見切られていると思った方がいい。
そこで、魚に見切られていることを逆手に取ろうというのが、装飾つきのハリである。ティンセルというラメラメのついた紐状の装飾や、ハゲ皮がそうだ。
ティンセルとは
ハリの装飾のティンセルとは、このようなものだ。
メタルジグにも最初からティンセルフックとなった仕様がある。キラキラと水中で光って魚を集める意図がある。ハリが魚に見切られているなら、それを逆手に取って(でもないかもしれないが……)もっと目立たせてリアクションで食わせてやろうというような。一部では慌てて逃げる魚が何かに齧られて落ちたウロコを演出するものだと聞いたこともある。
このティンセルについては、賛否両論ある。魚の食いは変わらないどころか、ジグの水受けが大きくなってしまい、動きがスポイルされるというものだ。確かに言われてみればその通りで、決して太くないPEラインがハリにいくつも付着しているのだから、動きは不自然なものともなりそうだ。
ハゲ皮とは
続けてハゲ皮だ。サビキについていることが多いが、ライトゲーム用のアシストフックにもよく見られる。ハゲとはカワハギのこと。関西ではカワハギを「ハゲ」と言うことからこの名となった。
ハゲ皮は本当に魚の食いが良い。特にアジやサバを狂わせる能力は強烈。外道だが、魚が集まってさえいれば、サビキ師の横に入らせてもらって、ジグサビキをゆらゆらさせていればサビキ餌がなくてもアジが釣れる。ちなみに同じ手法で、サビキ師の潮下でアジングしていると、日中でもアジのおこぼれにあずかれる。
ちなみにハゲ皮とはそのまんま、カワハギの皮を乾燥させたものだ。主にはウスバハギの皮を乾燥させ、研磨、漂白、着色したものが用いられる。