釣りにおけるハリといえば、魚との唯一の接点となる、非常に重要なパーツだ。各メーカーから様々な種類のハリが発売されており、どれを選べばいい……と悩む方も多いのではないだろうか。今回は、渓流釣りのハリに求められる性能、ハリのバリエーションについて紹介していこう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
渓魚は0.1秒でエサ吐き出す
一般的に渓流釣りの対象となるのは、アマゴ・ヤマメ・イワナといった警戒心の高い渓魚たち。アマゴやヤマメは、エサを口に含んだ際、違和感を感じて吐き出すまでの時間が0.1秒程度といわれている。
この一瞬でフッキングさせるのは至難の業なので、エサ(ハリ)を口に含む時間が長くなる(より警戒されない)ように、エサを自然に流すテクニックを身に着ける必要がある。そうすることで、このわずか0.1秒という時間がほんの少し長くなり、フッキング率を向上させることができるのだ。
渓流釣りのハリに求められる性能
では、渓流エサ釣りで求められるハリの性能とはどんなものなのだろうか。一つずつみていこう。
ハリ先の鋭利さ
最も大事なのが、ハリ先の鋭利さ。わずか一瞬のうちにフッキングを実現させる貫通性能は、コンマ数秒を争う渓流エサ釣りにおいて何よりも大切だ。そのため、渓流エサ釣り用のハリの多くは「半スレ」といって、カエシが非常に小さくなっているものが多い。
自然に流せるか
エサの流し方次第で、わずかではあるがフッキングのチャンスタイムを伸ばすことができる。使用するエサが季節により変わる渓流釣りでは、使用するハリとエサをマッチさせることで、より自然な状態を演出することが可能だ。
ステルス性能
警戒心の高い渓魚を相手にするため、渓流用のハリはステルス性能の高いハリが多い。使用するエサとマッチするカラーリングをチョイスすることで、その性能は最大限に引き出される。
号数が豊富か
使用するエサが変わるということは、当然エサの大きさも変わる。その都度ハリの大きさも変えた方が、フッキング率を高めることができる。エサの大きさに合わせて、ハリの号数は豊富に用意しておこう。
コスパ
渓流エサ釣りは、険しい環境を流し続ける釣りのため、意外とハリの消費が激しい。それなりにランニングコストがかかるので、自分の予算に合ったハリを選ぼう。
渓流釣りのハリのタイプ
渓流ハリを見てみると、実に様々な形状が販売されていることに気付く。その理由は、それぞれタイプや長所が違うからだ。基本的には袖バリ型かキツネバリ型に分かれているのだが、それ以外にもバリエーションがある。詳しくみていこう。
袖バリ型はオールラウンダー
スタンダードな袖バリ形状をしたタイプは、渓流エサ釣りの代表的なハリ形状。忍ヤマメ・ナノヤマメといったハリはこの形状を採用している。様々なエサに対応しやすく、基本的にどのような釣りにも向くオールラウンダーといえよう。
キツネ型は吸い込ませるハリ
渓流バリで袖バリ型と対を成すのがキツネ型タイプのハリ。キツネ型はハリ先が内向きのため根掛かりし辛く、魚が吸い込みやすい形といえる。より自然にエサを流すために軽量なものが多く、軽いオモリとの相性もいい。
吐き出した瞬間に口に引っかかりやすいのも大きな特徴だ。ハイパー渓流やナノアマゴといったハリが該当する。
エサに合わせたハリ
渓流バリの中には、イクラ専用(丸目)、川虫専用(軸がやや太めで長い)、きじバリなど、様々なエサを使う渓流だからこそ生まれたハリ形状が数多く存在する。カッパ極のように、「軸がストレートでフトコロは丸目」という間を取ったかのようなハリもある。
良型用のハリ
本流クイン、サクラマススペシャルなど、本流の「鼻曲がり」と呼ばれる大型を掛けるために太軸・丈夫にできているタイプもある。これらのハリはキツネバリ型が多い。尺を超えるサイズを狙う時に有効だ。
ゼロ釣法対応バリ
ハリだけでなくラインやエサに至るまで、水に対する負荷を限りなく「ゼロ」に近づけて、自然な流れを演出する釣り方である「ゼロ釣法」に対応する専用バリも存在する。ゼロ渓流、ゼロヤマメといった「ゼロ」の名を冠していることが多い。基本的にサイズは小さめなので、ゼロ釣法以外には向かない。