沖釣り気分が味わえる「沖波止」での釣り。今回は、出船後の船と波止との間の移り渡り、すなわち渡堤について、注意点を添えて解説したい。
今さら聞けない「沖波止・沖堤防」釣りの基本:事前準備〜渡船乗船手続き
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター伴野慶幸)
「安全」が最優先
船が沖波止に向かって走行を始めた時から、釣り人は船の上か波止の上に身を置くことになる。その時、周りは海。海に落ちたら命を失いかねない。出船後の行動は「安全」が最優先だ。
船中では立ち上がらない
船の走行中だけでなく、船が沖波止の船着場に接岸する際も、船と釣り人は海上で不安定な状態にある。救命胴衣を着用していても、立ち上がって転倒すれば負傷し、最悪の場合海に落ちる危険性がある。船長が「はいどうぞ」と立ち上がっての移動を許可するアナウンスがあるまでは立ち上がってはいけない。
一方で、移動の許可があってから、自分の手荷物をウロウロと探し歩くようでは周りの迷惑になるので、船が船着場に接岸する間際には、自分の手荷物の場所を予め確認しておき、可能であれば座った状態で手荷物を自分の近くに引き寄せておくといい。
最大の難関
船が船着場に着いたら、いよいよ船から波止に移り渡るのだが、この時が渡船で一番危険を伴う瞬間だ。どんなに波止の上が広くて安全な形状だったとしても、船と波止との間は、船首のゴムタイヤを踏んで、あるいは船首のはしごを上って、移り渡ることになる。
その瞬間は、ただでさえ不安定な足元を、手荷物を抱えた状態で移り渡るため、バランスを崩して転倒する危険性が大いにある。沖波止初心者の最大の関門はこの瞬間にあると言っても過言ではない。
手荷物で両手が完全にふさがっている状態で移り渡るのは避けたい、両手の指と掌はできる限り空けておいて、いざという時に、手でフォローできる状態にしておきたい。特にはしごの上り下りを伴う移り渡りの場合は足元の不安定さは最たるものがある。絶対に手摺りを掴みながら移動すること。
最後に、渡る際は飛び移るようにして、船と波止双方に足がかかった状態にならないようにしよう。
船のトイレの利用
トイレ付の船でも、利用は船長の許可が必要だ。渡船店の事情で利用停止にしている場合もある。また、走行中も原則としてトイレは使えない。トイレの利用については、乗船前に確認しておくこと。
船の構造に伴う注意点
渡船店によっては、小型船など、船の構造によって手荷物の置き場や船内の移動について制約を受ける場合がある。制約に従わないと、船長や同船者に迷惑をかけるので、構造は乗船前に確認し、持ち込む手荷物もコンパクトにしておきたい。