鯉に似た見た目で日本各地に出没している、中国からやってきた外来魚が4種類います。その名も「中国四大家魚」。今回は「ユーは何しに日本へ?特別版 中国四大家魚編」をお届けしていきます。
(アイキャッチ画像出展:PhotoAC)
養殖とは違う『養魚』のシステム
では中国で行われている『養魚』についてみていきましょう。
「サカナを増やして食べる」方法と言えば「養殖」。というのが私たち日本人のイメージかと思いますが、「養魚」はこれとは少し違います。
実はこの養魚はかなりシステム化された生産方法であり、人の手間がそこまでかからないのが大きな特徴です。
養殖の場合、生産者が毎日、雨の日も風の日も生簀に足を運び、給餌を行ったり、徹底的に管理をしますが、養魚ではここまでの手間はかかりません。
四大家魚をまとめて池や沼に入れておけば、勝手に大きくなり、一定の期間で収穫をすることができるようになります。
それぞれの食性の違いを巧みに利用したもので、現代では「混養」ともいいます。
そのシステムがコチラです。
①草を刈って池に入れる→ソウギョが食べる
②ソウギョから排泄されたふんなどを水底のタニシなどが食べる→アオウオが食べる
③食べ残しや排泄物によって植物プランクトンが発生→ハクレンが食べる
④植物プランクトンを食べる動物プランクトンが発生→コクレンが食べる
まったく無駄が出ない完ぺきな生産システムともいえるでしょう。
四大家魚が生まれた理由
中国では古くから鯉が貴重なたんぱく源となっていましたが、唐の時代、当時の皇帝の姓が「李(Li)」だったことで、鯉の扱いが一変したそうです。
「鯉(Li)」が皇帝の姓と発音が同じだったことから「鯉に対する冒涜は皇帝に対する冒涜である」とし、鯉の養殖・捕獲・売買・食が一切禁止になりました。
鯉を食べた者は死刑になるほどの厳しい禁令だったようです。
この禁令が生まれたことにより民衆はコイに代わる食用魚として、アオウオ・ソウギョ・コクレン・ハクレンに注目し、それぞれの食性などを利用した、同一の環境で同時に飼育する合理的方法である【養魚】を確立しました。
しばらくするとこの養魚の文化は各地に広まり、コイに代わる食用魚として大衆化し、今でも多くの方に愛されているのです。
<近藤 俊/TSURINEWS・サカナ研究所>