今年は海水温がやや高めなので「釣り暦」も遅れ気味になるかもしれないが、水温の低下とともに釣れる魚はさらにおいしくなる。アタリが減ることを補って楽しみが増える時期でもある。そこで今回は、初釣りに楽しいお勧めの船の釣りもの3選を紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:WEBライター・大西満)
オススメのターゲット
伊勢湾口のウタセマダイ釣りは、乗合船がエサさえ確保できれば比較的安定して数も型も期待でき「アテにできる」釣りものだろう。近場でマダイがこれほど数釣れるところは少ないうえ、地形的に伊勢湾口は季節風に強く、かなり強風の日でも出船可能なのがありがたい。今年は秋から数釣れる日が続いたものの、これから数は減り型がよくなる。また、メジロ(時にはブリも)も多く、大型のクーラーを持って出かけたい。
大阪湾のタチウオも期待したい。主戦場は神戸沖から淡路島の由良沖の深場に移っていき、100~140mの釣り場で120cmオーバーの「ドラゴン」と渡り合えるチャンスがくる。ただ、この時期には70~90cmの「チビタチ」も多いから、アタリの見極め、サンマなどエサの選択も大切になる。
もうすぐ春・・・メバルが釣れ始める時期でもある。軟らかいメバルザオの穂先がブルルーンッと震えながら海面に突き刺さる。あの、メバルの引きは、心まで震えるほどに楽しい。兵庫県・東二見方面の船は12月末ごろからメバル釣りに出るようだが、1~2月が本番の釣りだ。天候などを見極めて出かけると型のいいメバルに出あえるかも・・・楽しみだ。
1、石鏡沖のウタセマダイ釣り
冬季は大型マダイ狙いがアツい!
良型増え青物も期待できる
鳥羽・石鏡沖のウタセマダイ釣りはこの時期、「ヤキ」と呼ばれる30cm未満の小型が減って、30~40cmの良型が多くなり、時には60cmオーバーの大ダイも釣れる。さらに70~90cmのメジロ、ブリも掛かることがあるから、ドラグをやや緩めに調整しておくこと。
石鏡港出船の乗合船幸徳丸は、地元の漁師から「マダイの幸徳」と一目置かれる存在で、持っているポイント(飼いつけ場)が多く、いつも安定して釣果を出している。石鏡沖のポイントは深場が多いから、浅場の「流し込み釣り」でなく、オモリで底を確認しながら仕掛けを送り込む釣り方になるため、オモリの選択と捨てイトの長さが釣果の明暗を分ける。
攻略のコツ
私はあらかじめ3mのイトにサルカンを付けた捨てイトを数本用意しておき、エサ取りの具合によって、それを1本足したり2本足したり、また、減らしたりと微調整している。
4本バリ仕掛けで「上のハリにエサが残ってくる」ように心がけて釣ることが大切で、仕掛けを上げるタイミングや捨てイトの長さ調節も「上のハリにエサが残ってくる」ことで決める。「エサが残ってくる」ことは、釣れる可能性を残しているタイミングで仕掛けを入れ直すことになる。
2、大阪湾のタチウオ釣り
冬季のタチウオテンヤテクニカルな釣りにハマる!
テクニカルで面白い季節
大阪湾のタチウオ釣りは8月から翌年の3月まで続くロングランの釣り物だが、12月に入ると水温の低下のせいか、タチウオの活性が下がってちょっと難しい釣りになる。と、いってもアタリがあるわけだから、釣れないわけではない。誘い方とか、タナの見極めなどで釣果に差が出る「テクニカルな釣り」になった・・・それだけ面白くなったわけだ。
釣りは「釣れたら真理」だ。周囲のよく釣っている人の釣り方を見て、エサの選択、誘いのかけ方、アワセのタイミングなどいろいろなことをマネすれば釣れるようになる。
ただ、夏場のように「ただ巻きしていたら、いきなり穂先をひったくっていく」ようなアタリは少なくなり、「誘って誘って、小アタリを掛けアワせる」ことが多い。それだけに掛けアワせてドーンッと穂先に衝撃を感じたときの喜びは「よしっ、やった!」と、達成感がひとしおだ。
攻略のコツ
ポイントは主戦場が淡路・洲本沖か由良沖の深場(100~140m)中心になるから、釣れるタチウオはメーターオーバーの良型が増えるが、80cm未満の小タチの群れが入ってくると「小アタリがあっても掛からない」ことが多くなる。
こんな時は、誘い上げのスピードを上げるとか、大きいアタリだけを待ってアワせるとか、それなりの工夫がいる。エサも冷凍イワシではすぐ取られてしまうから、エサ持ちのいい加工サンマを使う。これならしばらく耐えることができる。
私のお勧めは泉佐野・北中通港出船の大型乗合船夢丸。ほぼ周年、タチウオ釣りに出船している「タチウオに特化した船」だ。船長はポイントに精通しており、そのときの潮流に合わせて、濁りの少ないところ、二枚潮になりにくい場所などを探して船を進めてくれるから、最終釣果が増えることになる。
釣りが始まれば船長が「ただいま水深100m。70~90mに反応あります」などと、魚探の様子をリアルタイムで案内してくれるから、それに従って効率のいい釣りができるのはありがたい。オマツリなどのトラブルには、若い中乗りさんがテキパキと走り回ってアシストしてくれるから助かる。
3、東二見のメバル釣り
別名、春告魚のメバル釣りを紹介する。
そろそろ始動の時期
春告魚と呼ばれるメバル・・・まだ春ではないけれど、12月ごろからこの海域ではメバルが動き始め、それを狙ってメバル好きの釣り客にせかされた乗合船も出るようになる。
メバル釣りはコツンとくる前アタリから、ブルルーンッと穂先が震えながら水面に突き刺さるあの引きがたまらない。特にこの海域は20~30cmの良型が多く、豪快で小気味のいい引きを楽しませてくれる。
気の早い乗合船は12月中旬には釣りに出て、それぞれに良型メバルが釣れたようだから、今年も楽しめそうな気配だ。ただ、ここ数年メバルのエサとなるイカナゴ、シラスなどの不漁が続いているから、それがどう影響するのか・・・気になるところだ。各乗合船の釣果情報などを確認してから出かけたい。
仕掛け
釣り方はエサ、サビキ釣りに分かれるが、「初期はエサ釣り、春本番になればサビキで」とか、「昼はエサで、半夜釣りではサビキで」とか、人によっていろいろと「哲学」があるようだ。ただ、どちらが有利なのかは船長も決めかねるようだ。
と、いうことは「どちらでもいい」ということかな?私的には「緑色のたくさん入ったサビキで」と思っている。以前、海にイカナゴが多いときにはシロウオのエサでよく釣れる時があったけれど、最近はそれもないようで、サビキが手軽で安くていいのではないだろうか。
釣れたメバルは「1匹だけなら緑、ダブル、トリプルで釣れた時には、大型は緑の皮に」釣れていることが多かったから、私は緑皮の多いサビキがいい、と信じている。ただ「そんなに緑が好きなら・・・」と、緑の皮ばかりのサビキを作って釣ってみたが、隣の人に大差を付けられた。その人は「1本飛ばしで緑」だったので、緑ばかりはダメ・・・と結論を出した。
サオは、仕掛けが絡みにくいインナーロッドで4mほどの胴調子がいい。1匹掛かると、追い食いをさせたいからすぐ上げずに待つのだが、先調子のサオだとこのときに弾かれて外れることがあるので、胴から曲がる「メバル調子」がほしい。
攻略のコツ
釣り方は「底から2m上げて」などと船長から指示があるから、それに従って穂先をぶれさせないように構えてじっと待つのがベスト。私は、「サビキだからハリを動かした方がいいかな」と思っていたことがあったが、これはダメで、「ひたすらジッと待つ」のがいいようだ。
これで、オモリが根にコツンと当たったらゆっくり、少し上げて根をかわし、そのまま待つ。底を確認したくてオモリを下ろすと根掛かりの原因になるから、ひたすら「根の少し上をトレースする」と心がけたい。
オモリは30号を中心に10~20号も使う。根掛かりでのロスが多いので、各号とも少し多めに用意しておきたい。
「メバル釣りに特化した乗合船」と自負しているのが、東二見港出船の近藤丸。シーズンになったらメバル一直線で、船長自身が熱狂的なメバル釣り好きだから、的確なアドバイスが出てビギナーは助かることが多い。
また、この周辺は潮流の複雑な海域だが、その日の潮によってベストのポイントに船を進めてくれる。
<大西満/TSURINEWS・WEBライター>