子供達にとって新年のわくわくイベントと言えば「お年玉」。飼っているペットにご馳走をあげる、なんて人も。でもちょっと待って!ネコにサカナをあげる時には注意が必要なんです。
(アイキャッチ画像出典:PhotoAC)
ネコへのお年玉は要注意
お正月なので、「飼っているネコにもご馳走を食べさせてあげたいな」と考えている人がいるかもしれません。
しかし安易に、お年玉だよーとサカナの切り身や半身を丸々食べさせてしまうと、愛しのネコに思わぬ事態が起きてしまいます。
愛猫家の方はサカナを与える時は、量や種類などに気を付けて与える必要があります。今回は、ネコとサカナの関係性と注意点についてご紹介したいと思います。
不飽和脂肪酸の与えすぎは注意
正月にお刺身を食べる機会が増える人もいると思いますが、そのうちの一切れまるまるあげる行為、実はあまりよくありません!
特にマグロやカツオ、アジやサバ等の青魚は注意が必要です。
これらの魚にはDHAやEPAの不飽和脂肪酸が豊富に含まれています。
人間にとっては、健康にいいと言われている不飽和脂肪酸ですが、ネコが過剰に摂取するとイエローファット(黄色脂肪腫)という病気になってしまう可能性があります。
うま味成分の豊富な赤身の味を知ってしまうと、ネコもうるんだ瞳でせがんでくると思いますが、そこはぐっとこらえて強い心でこらえましょう。
ネコにもアレルギー
ネコも人間と同じようにアレルギーを持っていることがあります。
サカナ入りのキャットフードは、タンパク源としてよく売り出されています。しかし、場合によっては、アレルギー反応をおこすことがあります。
そのため初めて与える時は少しの量にして、下痢や嘔吐、発熱などないか注視しておきましょう。もし、ぐったりした様子が見て取れたらすぐ病院に連れて行ってあげてください。
味付け禁止
私たちが食べる際、お刺身なら醤油やワサビ、焼き魚なら塩を振って食べますが、味付けすると塩分の摂りすぎになってしまいます。
カルパッチョや煮つけなども塩分や油分が多すぎるので、味付けされていないものをあげましょう。
適量はどれくらい?
サカナは思ったよりカロリーの数値が高いため、健康面を考え、肥満予防したいのであれば、与え方や量に細心の注意が必要です。
ネコは体格や体重、年齢次第で1日に必要なエネルギー量は変わりますが、平均して200kcal前後を目安にするのが良いとされています。
お刺身1切れのカロリーはだいたい30kcalあるため、1切れまるまる食べてしまうと一日に必要なエネルギーの約1/7を占めます。
健康的な食事を意識するのであれば、お刺身を与えたらその分のキャットフードを減らさないと食べすぎになってしまいます。
しかも、キャットフードと違って、栄養的なバランスがよくありません。与えるとすれば、白身魚のお刺身1切れを1/4~1/5程度が適量と言えるでしょう。
与えるなら専用のおやつを
なんとなくネコはサカナが好きだというイメージがありますが、それは人間、特に日本人だけが持つ偏見です。(※ネコとサカナの歴史は、『「ネコ=魚好き」のイメージは日本ならでは 人間の食生活が深く関連』を読んでみてください。)
年が明け、落とし玉を与えたくなる気持ちもわかりますが、健康のことを考え、量には気をつかいましょう。
それでもたくさん与えたい場合は、市販のおやつが望ましいと思います。人間にとっても食べすぎや飲みすぎ、偏食を続けることは体調を崩してしまう原因になります。
わたしたちが日々の食事で「糖分」や「塩分」、「脂肪分」を気にするのと同じように、ネコの食事にも気をつかってあげられると、健康で楽しいお正月を共にすごせると思います。
<近藤 俊/サカナ研究所>