今回は、冬に旬を迎える肉厚ヒラメの捌き方(五枚下ろし)、特に釣り人の特権と言われているヒラメの希少部位「エンガワ」の取り方を東京都港区にあるおかめ鮨の5代目店主長谷文彦さんに伺った。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース関東版 編集部)
おかめ鮨の5代目店主「長谷文彦」
1962年生まれ。東京都港区にあるおかめ鮨の5代目店主。大の釣り好きで淡水から沖釣りまで幅広く楽しむ。
エンガワの代名詞は「ヒラメ」
回転すし屋に行くと、だいたいの店舗で見かける「エンガワ」。脂があって好む人は多い。「炙って塩で」なんていう声をよく聞く。しかし、このすしネタ、どの魚のどの部分なのか正確に答えられる人はどれくらいいるだろうか。
代名詞になっているのはヒラメ。しかし、一般に並ぶのはこの魚ではない。「カラスガレイやオヒョウがほとんどでしょう」と教えてくれたのはおかめ鮨の5代目店主・長谷文彦さん。
これらの魚は1m以上の大型に成長するため、取れる量が多い。それに比べると、ヒラメは1.5kg級から50~60gしか取ることができない。「すしネタとして店頭に並べるには確保できる量があまりに少なく、ごく限られた常連さんが望んだときに提供できるかできないか」と長谷さん。
その身は脂が少なく、こりこりとした触感を楽しめるそうだ。望んだとしても簡単には食べられないヒラメのエンガワ。しかし、釣り人ならば簡単にその夢を現実にできる。今回は長谷さんに、ヒラメの五枚下ろし~エンガワの取り方を教えてもらった。
ヒラメを捌くための主な道具
ヒラメを捌くために最低限必要な道具を4つ紹介する。
出刃包丁
主に骨やヒレを断ち切る時に使用する。刃全体を使わず、刃先を活用することが多い。先から10cmほどを特に丁寧に研いでおこう
柳刃包丁
皮(ウロコ)を引く時に使用。ヒラメやヒラマサ、ブリはウロコが皮状に付いているため包丁を使って剥ぎ取っていく
まな板
こまめに汚れを拭き取ろう。ぬるぬるした状態は、いい料理をするには向かない
キッチンペーパー
ふきんでもいい。まな板の汚れを拭うのに使用する。どんどん使おう
五枚下ろしの手順
綺麗にエンガワを切り取る捌き方を紹介する。
1.ヒレを切り取る(出刃包丁)
出刃包丁を使って両側のヒレを除去する。エンガワを奇麗に取るためには必須の作業。ウロコを引く際にもヒレは無い方がいい。アメリカンだわしなどでウロコを取るのは、身への影響を考えるとお勧めできない。
2.腹のウロコを取る(柳葉包丁)
ヒラメの白いほうからウロコを取っていく。柳葉包丁を使い、皮状のウロコを引いていく。ヒラメは紡錘形をしているので、一度に大きく剥がそうとせず、角度を変えながら少しずつ取っていこう。必ず尾側から歯を入れること。
3.背のウロコを取る(柳葉包丁)
白い方が終わったら、裏返して黒い方のウロコも同じように引いていく。マダイやヒラメは皮の部分が美味しい。ウロコを丁寧に引いておくと、皮を食する時により良い味が期待できる。
4.側線に沿って歯を入れる(出刃包丁)
五枚下ろしの第一段階。側線に沿って切込みを入れる。その際は包丁を立てて刃先を使う。寝かせて全体を使うと余計な肉を包丁に付けてしまう。出刃包丁は刃先使いが基本。
5.尾ビレ付近に切込みを入れる(出刃包丁)
尾ビレの付け根にX字にマーカー(切り込み)を入れる。身を切り離す時に便利。
6.一枚目(出刃包丁)
尾ビレのマーカーから刃を入れて、骨に沿って丁寧に切り離す。いきなり深く刃を入れるのではなく、少しずつ切っていくことが大切。包丁を立てて使うこと。「出刃包丁は刃先使い」を忘れずに
7.二枚目
魚の左右を入れ替えて、逆側も切り離す。尾ビレのマーカーからではなく、頭部から刃を入れることになる。骨に沿って奇麗に肉を剥がしていくイメージ。一度に取ろう。
8.三、四枚目
裏返す。先ほど同様に側線に沿って切り込みを入れてから身を切り離す。美しい五枚下ろしを完成させるにはかなりの技術が必要。これは安直な方法はなく練習あるのみだ。失敗しても諦めずに何度もトライしたい。たくさん釣っておこう
9.身に残った骨を除去する(出刃包丁)
五枚下ろしにしただけでは、細かい骨が身に残っている。これらを出刃包丁で除去する。骨にそってゆっくり細かく刃を動かしていく。残っている骨は全て除去する
10.皮を引く(柳葉包丁)
必ず、尻尾から頭に向かって包丁を滑らせる。肉の繊維に対して、無駄なく抵抗なく引くことができる。包丁は上下に動かすだけにして、強く引かないこと。皮は湯引きしてポン酢などで食べると美味しい
11.エンガワを切り取る
五枚下ろしが完成したら、エンガワを切り取る。大きさに差はあるが、それぞれの身から計4枚取ることができる。刺し身、湯引き&ポン酢などで楽しめる。1.5kgのヒラメから、身は約750g、エンガワは55gほどしか得ることはできなかった。
ワンポイントアドバイス
・ヌメリで作業しにくい場合は、まな板の上にタオルを敷くとやりやすい。
・まな板の上に付いたヌメリはキッチンペーパーなどでこまめに拭き取る。残ったまま作業すると味が落ちる原因になることも。