脂が乗った秋のマダイ「紅葉鯛」を狙い、和歌山県加太沖へ。長い胴付き仕掛けを使う「高仕掛け」に挑戦した。強風による仕掛けトラブルに苦戦しながらも、43cmを頭にマダイ4尾をキャッチ。青物や良型マアジなども顔を見せた。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・田中こうじ)
秋のマダイを追って高仕掛けにチャレンジ
水温が下がり、脂を蓄えた「紅葉鯛」と呼ばれる激ウマのマダイを狙って、10月17日は和歌山県の加太へ。高仕掛けで釣るブランドマダイは、基本的に巻くだけですが、奥が深い釣りです。
加太の高仕掛けとは?
加太の高仕掛けは、10~15mもある長い胴付き仕掛けで、6~8本のハリが付いています。エサは使わず、ピンクやブルーなどのビニール片をチョン掛けしてマダイを狙うのが特徴。これに青物はもちろん、マアジやサバ、イサギなども食ってきます。誘い方は至極シンプルで、巻くだけ。
高仕掛け(提供:TSURINEWSライター田中こうじ)その巻き速度が非常に重要で、釣果を左右するのです。簡単なだけに、初心者でも思わぬ大物が釣れたり、大漁になったりすることもあります。しかし、経験を積んで知った気になっていると痛い目に遭う、不思議で非常に面白い釣りです。
ポイントに朝日が昇る(提供:TSURINEWSライター田中こうじ)潮回りを考慮して釣座を選択
予想外の冷え込みに1枚羽織り、午前5時過ぎに船着き場へ向かうと船長がやって来ました。挨拶して乗り込みます。同行のNさんが早くから予約してくれていたので、我々には釣座の選択権があります。今回お世話になる畑中丸では、予約順で釣座を選べるシステムを採用しています。
当日は北から北東の風が強く吹く予報。朝イチは下り潮(大阪から和歌山へ)がわずかに残っているだろうからトモが有利。上り潮に転流してからの後半はミヨシが有利です。
迷うことなくミヨシに釣座を取りました。さらに最良と思える左舷を譲っていただいたので、妙なプレッシャーを感じつつ出港です。
強風の中で出船
港を出た畑中丸は、地ノ島の南側を通り、水道を抜けて沖ノ島の北側へと向かいます。すでに北風が吹き付け、船が揺れています。ジギングなら気にするほどでもない風と揺れですが、高仕掛けを扱う加太のマダイ釣りではどうでしょうか。その不安はやがて的中することに……。
左から沖ノ島、地ノ島と続く(提供:TSURINEWSライター田中こうじ)1投目から全員ヒット!
ポイントは「コマサキ」と呼ばれる沖ノ島の北側。予想通り、船首を北に向け、下り潮に乗ってトモから流れます。ミヨシは潮下となるため不利な釣座ですが、これは想定内です。オモリから長い仕掛けを解いていき、最後にスナップでリーダーに接続してリールのクラッチを切ります。
3色ほどで着底したので巻き出すと、すでにトモではロッドが曲がっていました。早っ!と思う間もなく、私のロッドにもククッと魚信が伝わり、ギューッと絞り込まれます。
胴の間の釣り人も、背中合わせのNさんもファイト中。いきなり全員ヒットとなりました。
サバが乱舞
船長から「サバが多いから、サバと思ったらゴリゴリ巻いてやー」とアナウンス。ゴンゴンと締め込み、横に走り出したのでサバだと判断してドラグを締めて浮かせます。トモで上がった魚は、うまそうな太いサバ。
強く引くので私も大型サバかと期待しましたが、30cm級の2連でした。Nさんもサバの2連でしたが、胴の間の釣り人は40cm級のマアジを仕留めました。そいつが釣りたい!
サバの猛攻にあう(提供:TSURINEWSライター田中こうじ)狙いの良型マアジをキャッチ
マアジの時合いは短いものです。次の流しでも周りではサバが乱舞していましたが、ラッキーにもボトムまで仕掛けが着きました。浮かすとサバの餌食となるので、リールをスローに4回転だけして再びボトムへ。ボトムタッチと同時にクククッと穂先が引き込まれます。
巻き始めると底へ締め込む引き。これはマアジではないだろうかと浮かせると、良型マアジでした。体高も幅も素晴らしく、うまそう!潮が濁っていると日が昇ってからもマアジが当たりますが、当日のような澄み潮では朝の2~3流ししか当たらないらしいです。ラッキーなマアジでした。
グラマラスなイサギがヒット
サバのアタリに混じって、底へ鋭く締め込む魚が掛かりました。節のあるマダイの引きではないので期待しましたが、ブチッとした感触を残してバラシ。トモでは良型イサギが上がったので、私の魚もイサギだったのかも……。次の流しでも同じ引きをする魚が掛かったので、慎重に浮かせると真ん丸のイサギ。
中紀のイサギはグラマラスで、とてもうまそうです。次は30cm級のチャリコが来たので四目釣り。あとはハマチか、できればシオが来ないかなと浮かれていると、ガッという手応えで幹糸から切られました。サゴシかタチウオの仕業でしょうか……。追加の高仕掛けを注文して仕切り直します。
青物が乱入して豪快ファイト
突如としてドラグ音と糸鳴りがしたので振り向くと、Nさんが豪快ファイト中。間違いなく青物で、それもブリクラスだと思われます。じわじわと間合いを詰めていましたが、一瞬の隙を突かれてブレイク。青物が回っているのでしょう。次の流しではメジロが上がりました。
これは来るなと思っていると、仕掛けを引ったくるアタリで勢いよくラインが出ていきます。まったく巻ける気配がなく耐えていましたが、船の下を越えて右舷側に走られました。
このままではラインが船底に擦れるので、ブレイクを覚悟してスプールを押さえます。魚の向きが変わった瞬間にグイグイと寄せ、リーダーが入るところまで浮かせましたが、再び走られて手応えがなくなりました。
ラッキーで45cmのシオを手中
やはりハリス3号では獲れないなと仕掛けを回収すると、急にテンションが掛かって手応えが……。胴の間の釣り人とオマツリしたのかと思いましたが、ラインの角度はまったく異なります。訳の分からない状態のままキャッチ。しかも、欲しかった45cmのシオでした!
仕掛け回収中にシオが食ったのかもしれませんが、釣り上げた時には弱り果てていました。恐らくブリとシオの2連だったのでしょう。魚同士が引っ張り合う形でブリがラインブレイクした後、シオは手前に泳いできたのでテンションが抜けたのだと思われます。いずれにしても、ラッキー!!
転流でミヨシが有利に
潮が緩み、しばらくアタリのない流しが続いたタイミングで友ヶ島の南側へ移動。この隙にパンをかじり、喉を潤し、トイレで用を足して出ると、船長から「これからミヨシの番ですよ」と告げられました。釣座に戻るとNさんがファイト中。
節のあるマダイの引きを楽しみ、40cm級のマダイを2連でキャッチしました。転流のタイミングをしっかりと捉えるところはさすがです。ここからミヨシを舞台としたNさん劇場が始まりました。
潮上が圧倒的に有利な釣り
ジギングもそうですが、マキエをしない疑似エサの釣りでは、潮上が圧倒的に有利です。魚の群れに最初にアプローチできるからです。当日は転流後にミヨシが潮上になると予想できたので、この釣座に入ったのです。ここまでは読み通り。
強風で高仕掛けの扱いに苦戦
読みが外れたのは、強風の中での高仕掛けの扱いの難しさでした。仕掛け回収の際は、船べりのマグネットにハリを付けていき、幹糸は足元の箱に入れます。朝は問題ありませんでしたが、風が強くなってからはオマツリ連発。
仕掛け投入時は、すべてのハリスとハリをチェックし、オマツリを直してから下ろすため時間が掛かります。結果、ほかの釣り人より後からタナに入ることになり、潮上のメリットを生かしきれていません。
カリスが幹糸に絡む
加えて、先ほどの青物とのファイトで幹糸にヨレができており、ハリスが幹糸に絡みます。仕掛け投入の際には丁寧に幹糸を伸ばすのですが、アタリが出ないまま回収すると、クルクルパーマになって上がってきます。これはダメだ。
主に3番目、4番目のハリスが幹糸に絡むのですが、ほかにもハリがあるからと続けていたのが悪かったようです。思い起こせば、それまで一番当たっていた箇所なのです。
応急処置でマダイ連打に成功
周りはマダイを仕留めていますが、私にはまったく当たりません。考えられる原因はオマツリです。そもそも絡んだ仕掛けを解いているため、仕掛けが海中にある時間が圧倒的に少ないのです。釣れるわけがありません。時合いの最中にもかかわらず、ヨレた部分をカットし、4号ハリスを直結して高仕掛けを直します。
ハリスも新しいものに交換しました。これで釣れるだろうと仕切り直すと、ガツンと引ったくるアタリ。また青物かと思いましたが、カツンカツンとマダイ独特の引きです。やっとの思いで35cmをキャッチ。続いてサイズアップの43cmもキャッチしました。
バラシが続き時合い終了
もともと有利な釣座です。ちゃんとやればアタリは出ます。しかし、一旦崩したリズムは、そうやすやすとは戻りません。次はバラシ……。船長から「罰金制度にしますよ」と言われるほどバラシまくり。焦っていたのかなぁ。
この日は一気に引ったくるアタリが多かったのですが、Nさんによると、ちゃんと前アタリがあったとのこと。風とウネリによる船の上下で、前アタリが取れていなかったのではないでしょうか。
不意に出るアタリに対処できませんでした。そうこうするうちにアタリが散漫となり、11時には終了。直前に40cmを追加できましたが、最後の流しでもきっちりバラしました……。
常連Nさんマダイだけで8匹(提供:TSURINEWSライター田中こうじ)マダイ43cm頭に4尾の釣果
苦戦して悩みまくりましたが、43cmまでのマダイ4尾と、うまそうなマアジ、イサギ、シオをキープ。サバを入れれば五目釣りです。食卓を思えば十分すぎる釣果ですが、釣り人として納得はできません。
畑中丸はマダイを通年狙っています。時期や潮に応じてさまざまなポイントでマダイを狙えるので、毎回フレッシュな気持ちで釣りができますよ。当面は青物やマアジ、イサギが交じるでしょう。どれもこれも加太ブランドの魚です。おいしさは保証付き。いかがでしょうか。
<田中こうじ/TSURINEWSライター>
畑中丸
出船場所:加太漁港


