タングステン製のルアーやシンカーが、以前より身近になってきた。鉛製と比べると明らかに高価だが、その代わりに同じ重量でもコンパクトにできるという大きな特徴がある。では、実際の釣りでどこまで違うのか。比重は高い、価格も高い。では釣果はどうなのか。筆者自身の使用感や実績を踏まえながら、タングステン製ルアーのリアルなところを考えてみたい。結論から言うと、私は非常に素晴らしい釣り具だと思っている。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
タングステンは本当に高性能か
タングステン製ルアーやシンカーは、鉛などと比べて高価である。店頭で価格を見れば、「同じ重さなのになぜこんなに高いのか」と感じることもある。
その理由の一つが比重の高さである。タングステンは鉛より比重が高いため、同じ重量ならより小さなサイズにできる。
確かに高価ではある(提供:TSURINEWSライター・井上海生)この「小さくできる」という特徴が、実際の釣りでは意外と大きい。ルアーやリグをコンパクトにすれば、水の抵抗を抑えながら沈めることができる。キャスト時にも空気抵抗を小さくでき、操作中の感覚にも違いが出てくる。
もちろん、タングステンにしただけで急に釣れるようになるわけではない。それでも、同じ重量でよりコンパクトにできるという物理的なメリットは明確に存在する。
比重1.7倍のメリット
タングステンの魅力を語るときに外せないのが、その比重である。鉛と比較すると、おおむね1.7倍程度の比重を持つため、同じ重量ならかなりコンパクトにできる。
同重量のジグヘッドの比較(提供:TSURINEWSライター・井上海生)例えば軽量リグでは、この差が使いやすさに直結することがある。3~5g程度の重量を確保しながら、できるだけシルエットを小さくしたい場面では、タングステンのメリットが分かりやすい。
また、コンパクトになることで水中での抵抗も抑えやすくなる。潮が速い場所でリグを沈めたい場合や、ボトムを取りたい場合には、サイズの小ささが武器になる。
特に激潮の場面では、同じ重量でも体積が小さいことによる差を感じやすい。軽いリグを使いたいのに潮に流されてしまう。そんな状況で、タングステンを使うことで必要な重量を確保しつつ、リグ全体をコンパクトにできる。
飛距離、沈下速度、ボトム感知。すべてが劇的に変わるわけではないが、複数の小さなメリットが積み重なるのがタングステンの特徴だと思う。
価格は2倍でも納得できるか
問題は価格である。タングステンは鉛より高価で、場合によっては体感的に2倍程度になることもある。同じ重量のシンカーを買うだけなのに価格が大きく違うとなれば、気軽に大量投入するのは難しい。
しかも、根掛かりの多い釣りではロストのリスクがある。高価なタングステンを根掛かりで失えば、精神的なダメージも大きい。
だからこそ、すべての釣りでタングステンを使う必要はない。根掛かりが少なく、鉛でも十分に底が取れるような状況なら、安価な鉛製を使えばいい。逆に、潮が速い、深い、軽量リグを使いたい、コンパクトさが欲しいという状況なら、多少高くてもタングステンを投入する価値が出てくる。
釣果も2倍になるのか
では、価格が2倍なら釣果も2倍になるのか。
もちろん、そんな単純な話ではない。タングステン製のルアーに交換しただけで魚が倍釣れるわけではない。
ただ、実際にタングステン製のルアーを使うようになってから、実績報告や釣果が増えているという印象はある。もちろん、これはタングステンだけが理由とは限らない。釣り人側の使用機会が増えたり、製品自体の選択肢が増えたりしたことも影響しているだろう。
それでも、釣れる場面で「あと少し飛距離が欲しい」「もう少し速く沈めたい」「ボトムを明確に感じたい」という要求に応えてくれるのは大きい。
沖の船釣りでは、その傾向がさらに分かりやすい。サワラやタイラバなどではタングステン製のジグが当たり前のように使われるようになってきた。深場や速い潮の中で、コンパクトなシルエットのまま必要な重量を確保できるメリットが、それだけ実釣で評価されているということだろう。
サゴシはタングステン製が強い(提供:TSURINEWSライター・井上海生)「価格2倍、釣果2倍」はさすがに言い過ぎだが、「価格2倍でも使いたくなる場面がある」というのが、よりリアルなところではないだろうか。
魚との距離を「あと一歩縮める」
比重1.7倍、価格2倍、そして釣果も2倍――とまではいかない。しかし、釣りでは「あと一歩」を埋めることが結果につながる場合がある。高価だからこそ、必要な場面を見極めて投入する。タングステンとは、そういう付き合い方をするルアーやシンカーなのだと思う。
<井上海生/TSURINEWSライター>



