7月30日、ヤマメとイワナを求めて奥多摩へ釣行した。夏の渓流は釣り人も多く、「夏ヤマメは一里一匹」といわれるほど難しい季節。ポイントを探して移動を繰り返し、最後に入った沢で試したのがオモリを使わない仕掛けだった。警戒心の強いヤマメを相手にした一日をレポートする。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・中山祐司)
奥多摩で渓流釣り
熊被害のニュースが絶えなかった春先から、源流への単独釣行にはなかなか足が向かなかった。それでもイワナの顔が見たくなり、夜明けに車を出した。
熊対策も忘れずに
この日は快晴。連日の猛暑の中での山歩きにもリスクがあるため、熊対策を含めて準備をした上で慎重に行動するつもりである。釣りに集中していても、絶えず獣の気配を気にしなければならない。
昔はここまで意識することもなかったと思うと、少し残念でもある。そんなことを考えているうちに、車は奥多摩へ入った。
タックル
竿:小継渓流5.4m中硬調
先糸:ナイロン1号3本ヨリ50cm
道糸ハリス:0.8号通しフロロカーボン(5m~1m)ポイントに合わせて対応
鉤:がまかつ山女魚青6号
釣り前に問題発生
時計は午前5時すぎ。まずは手堅く本流でヤマメ、ニジマスを狙おうと谷へ降りた。先行者は一人。夜明けから入渓しているそうで、すでに20cmほどのニジマスを4匹釣っていた。エサはブドウ虫とのこと。私も期待して竿を出そうとしたが、ここで問題発生。
日原川本流役場下(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)ブドウ虫の補充忘れ
持参したブドウ虫が枯れていた。点検ミスである。キジで流してみるが反応はない。川虫を探すものの、すでに羽化後。それでもなんとかオニチョロを2匹見つけ、鉤掛けした。
アタリ到来も掛からず
流心の落ち込みへ投入すると、仕掛けが馴染む前に鋭いアタリ。しかし、エサに飛びついた魚は鉤の違和感を感じたのか、すぐに口を離した。スレヤマメの得意技に仕掛けが宙を舞う。最後の川虫は、川底が明るくなってきたこともあり0.3号のハリスで挑んだが、アタリはなかった。
釣り人が増えて場所移動
7時になると、新たに2人の釣り人がやって来た。夜明けから入渓していた先行者を見ると、20cmクラスのニジマスを13匹も持っている。常設釣り場から落ちてきた魚らしい。さらに釣り人が増えてきたため、場所を変えることにした。
みすず堂で情報収集
ブドウ虫を購入するため、駅前のみすず堂さんへ向かった。シャッターが開き、店主さんと挨拶を交わして現状を報告すると、役場下は連日釣り人が絶えず、ヤマメはほとんど残っていないうえ、残った魚もかなりスレているとのこと。現在は常設釣り場から落ちてきたニジマスが主体で、大雨後が狙い目だという。
イワナは大物が数匹いるものの、岩陰からなかなか出てこないそうだ。電車が到着するたびに釣り人も増えてくる。店主さんのアドバイスもあり、日原川上流を目指すことにした。
交通アクセス
電車:JR青梅線奥多摩下車
バス:奥多摩湖方面水根下車、徒歩にて水根沢へ
日原川上流へ
日原街道を上流へ向かう。寺地辺りから駐車スペースと降下点を探すつもりだったが、道路工事が目立ち、予定していた降下点には近寄れなかった。
林道日原線は工事中(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)支流の倉沢谷にも先行者と思われる車がある。
倉沢谷林道入口状況(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)日原集落へ着くと、駐車場には釣り人がスタンバイしていた。すでに日は高くなり、なかなか釣り場が見つからない。さらに本流上流部にも入れず、この時点で沢イワナは諦めることにした。
閉鎖されている日原渓流釣場(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)「夏ヤマメは一里一匹」
「夏ヤマメは一里一匹」といわれる。まさにそんなタフコンディションになってきた。店主さんから海沢の話も聞いていたが、夏場はレジャー客も多く、落ち着いて釣るのは難しいとのこと。
そこで最後の望みとして、場荒れ覚悟で多摩川支流の水根沢へ向かった。50分ほど走って駐車スペースへ到着。馴染みの小道を歩き出した。
水根沢(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)長竿でスレたヤマメに挑戦
沢を見ると水量は多く、期待が持てる。本日はスレたヤマメの姿が見られれば良しとし、竿は5.4mを選択。なるべく遠くからポイントを探ることにした。釣り人の多いアクセスの良い沢では、沢通しに歩くと同じ岩や石にくっきりと足跡が残っている。
小さな水音にもヤマメは警戒し、何度も釣り人の仕掛けを見ている魚はエサや鉤を見切るようになる。長竿は扱いにくいが、離れた場所から自然にエサを落とすことが釣果につながる。これはこれまでの釣りで身につけてきた経験である。
待望の18cmヤマメと対面!
目的の降下点へ向かう途中、沢が見える場所では上からポイントを探してみた。すると木の枝も少ない、良さそうな淵が現れた。小道から仕掛けを投入する。糸も竿いっぱいの長さだ。エサはキジの縫い刺し。
ガン玉Bを打ち、ラインは通しの0.8号、鉤はヤマメ6号とした。小さな壺へ落とした途端、「コツン」とアタリが来た。しかし鉤掛かりしない。
ガン玉を外す
そこで今度は半分に切ったキジをチョン掛けにした。さらにガン玉を外し、キジそのものの重さだけで振り込んでみる。エサが自然に水中へ巻き込まれていく。すると、「ガツン!」明確な反応が出た。上がってきたのは18cmの沢ヤマメだった。
1匹目のヤマメ(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)ヤマメはエサをくわえたとき、オモリの抵抗に違和感を覚えてエサを離すことがあるという。そこでエサをできるだけ自然に流し、糸ふけの変化に集中してアワセを入れる。なかなか集中力が必要な釣りである。
この沢幅なら、東北であればイワナの沢といったところだろう。オモリを使って底石周りを探るイワナ釣りとは、真逆の釣りになってしまったようだ。
落ち込みで20cmヤマメがヒット
水際まで降り、仕掛けを1.5mに縮めた。明るい瀬尻の巻き込みをブドウ虫で流すが、アタリはない。5分ほど上流へ歩くと、岩陰にシダの影が差す落ち込みが現れた。そこへブドウ虫を入れる。鋭く穂先を絞り込んだのは、20cmのヤマメ。今度は違和感なくエサに飛びついた感じだった。
2匹目のヤマメと(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)倒木ポイントで3匹目のヤマメ
その後、誰もが竿を入れるであろう大場所へ来たが、アタリはなかった。3匹目のヤマメが出たのは、倒木がある根掛かり覚悟のポイント。慎重に仕掛けを入れると、20cmほどのヤマメが姿を見せてくれた。これで3匹。ちょうど11時のアラームが鳴り、気温も上がってきたため納竿とした。
3匹目のヤマメ(提供:TSURINEWSライター・中山祐司)フライマンから情報
山道を下っていると、反対からフライマンが登ってきた。青梅から通う常連さんで、今日はこの沢をドライフライで楽しむそうだ。私が釣った範囲を伝えると、「今日は水が太いので、さらに上流を目指す」という。解禁当初はお祭り状態だったという沢。その後も多くの釣り人が入ったのだろう。
夏ヤマメの警戒心の強さを実感
今回の釣行では、釣り残った夏ヤマメの警戒心の強さを改めて感じることになった。それでも、オモリを外してエサを自然に流すことで1匹目を手にできた。「夏ヤマメは一里一匹」。そんな言葉を実感すると同時に、スレた魚にどう口を使わせるかを考える面白さも味わえた釣行となった。
釣人が行来きする奥多摩は釣果を得るには一番乗りで渓に降り立つ事も必要な季節になってしまった。今回は毛鉤釣りの様な餌釣りになってしまったが、仕掛けの投入さえ上手く行けば沢のスレ山女魚は躊躇なく食うと思えた。自己流だが3匹の釣果は嬉しい結果となった。
<中山祐司/TSURINEWSライター>

