数年ぶりに「新たな特定外来生物指定種」が誕生 ブルーギルの仲間が全て対象に

数年ぶりに「新たな特定外来生物指定種」が誕生 ブルーギルの仲間が全て対象に

今月、数年ぶりに新たな「特定外来生物」が誕生しました。どのような魚たちなのでしょうか。

(アイキャッチ画像提供:茸本朗)

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サカナ研究所 その他

9/1から新規に指定された特定外来生物たち

今月になって発表された生物系のニュースで、現在一番注目されているのはおそらく「新たな特定外来生物が誕生した」というものでしょう。2024年7月にアフリカウシガエルと、在来種を除くオオサンショウウオ属が特定外来生物に指定されて以来、2年2か月ぶりの指定となります。

数年ぶりに「新たな特定外来生物指定種」が誕生 ブルーギルの仲間が全て対象にブルーギル属はすべて特定外来生物に(提供:PhotoAC)

今回指定されたものは、「ブルーギル以外のブルーギル属に属する種」、「マーレーコッド」、「ゴールデンパーチ」、「オヤニラミ属に属する種のうちオヤニラミ以外の種」及び「ブルーギル属に属する種とブルーギル属に属する他の種の交雑により生じた生物」となります。少し表記がややこしいのですが、ブルーギル自体はすでに指定済みなので「ブルーギル属の既存の全種」ならびに「ブルーギル属間の雑種」を含め、ブルーギルの仲間はすべてこれに含まれることとなります。

「オヤニラミ~」に関しては近年、宮崎県などの河川に、在来のオヤニラミよりも大きくなるコウライオヤニラミという種が大量に定着してしまっていることを踏まえての指定とみられます。

彼らはなぜ日本に?

今回指定された種の原産国は、マーレーコッドとゴールデンパーチがオーストラリア、コウライオヤニラミが朝鮮半島、ブルーギル属が北米大陸と多岐にわたります。いずれも「食用以外の目的で移入されたもの」で、主にペットとして飼育するために輸入されたものと思われます。

マーレーコッドは釣りの対象魚としても人気があり、数年前には国内の管理釣り場に導入され賛否が巻き起こったこともあります。自然環境とつながっていない釣り場であり逸出のリスクは大きくはないとのことでしたが、万一逸出してしまえば、在来淡水魚とは比較にならないほど大きく獰猛なこの魚は大きな問題となったでしょう。

数年ぶりに「新たな特定外来生物指定種」が誕生 ブルーギルの仲間が全て対象にコウライオヤニラミ(提供:茸本朗)

コウライオヤニラミについては、現時点でも移植・放流が続いているとみるべき速度で生息域が拡大しています。今月より放流は違法行為となるのですぐにやめるべきですが、いったい誰が何のために放流しているか全くわからない状態なので法律が効果的かどうかもまだわかりません。

ブルーギル属はこれまでブルーギルしか特定外来生物に指定されていませんでしたが、一部水域でパンプキンシードサンフィッシュが定着しているのが確認され、YouTuberが「飼育できる脱法ブルーギル」などと騒いだことで問題となっていました。今後は許可のない飼育は「脱法」ではなく、間違いなく「違法」となりますので、件のYouTuberにのせられてしまった人たちは注意が必要です。

今後、新たな指定種は現れる?

わが国における外来生物問題は解決の兆しが見えず、年々新たな種が問題となっています。2、3年おきに新たな指定が続いている現在の状況は今後も続くでしょう。

個人的に、近いうちに指定されそうだなと思っているのが「ブラウントラウト」です。定着している水域は広くはないですが、一度定着するとそのどう猛さであらゆる生物を捕食し、生物相を貧相にしてしまいます。北海道ではすでに移植が禁止されている魚であり、法律が追認する形もあるのではないかとみています。

数年ぶりに「新たな特定外来生物指定種」が誕生 ブルーギルの仲間が全て対象にブラウントラウト(提供:PhotoAC)

またこれはすぐの指定はないと思われますが、最近利根川水系で「ダントウボウ」という魚が増えているのが気になります。近年急に目立つようになった魚であり、環境に与える影響もわかっていませんが、少しでも悪影響があることがわかれば指定されることもあろうかと思います。

 

<脇本 哲朗/サカナ研究所>

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