大自然の中で渓魚と戯れる渓流釣りは、都会の喧騒を忘れて没入できる、大変魅力的な釣りだ。だが同時に、数多の危険を孕んでいるフィールドであるという事を知っておかなければならない。今回は、渓流に潜む全ての危険を回避するために、我々アングラーがどのような事前対策をするべきかを紹介しよう。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)
釣行前に意識する事
著者は以前、渓流釣りに潜む危険を紹介する記事を2本執筆させていただいた。その上で、具体的にどのような対策を行っているかを紹介しよう。まずは釣行前の準備からだ。
持ち物チェック
危険を回避するには、危険ごとの対策が必要となる。出発前夜の持ち物チェックは入念に行う必要があるので、自身の持ち物をリスト化しておき、車に積んだものからチェックしていけばいいだろう。
もしくは「渓流釣り専用リュック」を用意しておけば話が早い。著者は自身のブログに必要な物一式をリスト形式で紹介しており、忘れ物が心配な際はそのリストを確認するようにしている。
渓流釣りは荷物が多い(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)天候チェック
釣行の3~4日前辺りから、現地の天候チェックは必須事項だ。仮に大気の状態が不安定であれば、曇り予報であってもゲリラ豪雨や雷に遭う可能性がある。安全第一で、無理な釣行は絶対にしないようにしよう。
河川状態チェック
各河川には、水位状況を確認できるライブカメラが設置されていることが多い。これらを見て、張虎予定場所周辺の水位をチェックしておこう。管理漁協のHPに水位状況が紹介されていることもあるし、SNSで水位状況を発信してくれている漁協もあるので、積極的に活用したいところだ。
釣り開始前の準備
続いて、現地に到着した後の対策を紹介しよう。
忌避剤を塗布
釣り場に着いたら、まずは肌が露出している場所全てに忌避剤を塗布する。真夏でも長袖着用は当然として、首元にはタオルも巻いておくわけだが、その上で肌が露出している場所にはしっかり塗っておこう。
耳の裏や襟元、顎の下等は忘れがちなので要注意だ。さらに、服や帽子の上からもスプレーしておくことをオススメする。これでマダニ・ヒル・ブヨといった害虫類から身を守る事が可能となる。
日焼け止めと忌避剤はマスト(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)ホイッスル&熊鈴
著者は入渓時、人里離れた場所の場合はホイッスルを鳴らしながら入渓。山奥なら爆竹、ピストル型の音が鳴る物も販売されているので利用しても良い。こういった音に熊・イノシシ・シカといった獣は敏感なので、不意の遭遇を回避する確率がぐっと上がる。熊鈴も着用して入渓だ。
ルート確認
入渓する場所と併せて、退渓する場所も考えておく必要がある。上流のゲリラ豪雨により急激な水位上昇があり得るので、違和感を感じたらすぐに退渓出来るよう、退渓可能な場所をしっかりと把握する事が大切。
藪漕ぎ時
入渓には藪漕ぎをしないといけないケースも多い。獣道は確実にマダニが潜んでいると考えてほしいし、湿度が高ければヤマビルも高確率で付着する。かぶれ易い植物にも気を配る必要があるので、手には軍手を着用。
藪漕ぎは可能な限り素早く行い、河原に降りたら全身をくまなくチェック。特に忌避剤を塗布できないウェーダーにはよく1mm程度の極小マダニが付着するので、注意深く確認。
ウェーダーについたマダニ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)釣り中の対策
最後に、釣りの最中に行える対策を紹介。
遡行ルート
偏光サングラスを着用し、川底の様子を確認。砂底の場所は極力歩かず、かつ浮石の可能性を考慮して、岩に乗る時はいきなり全体重を掛けないようにする。可能な限り岸沿いを歩くことを優先。
ヤマカガシ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)頭部保護
帽子と偏光サングラスを着用するだけでも、頭上の木やかぶれやすい植物から頭部を保護する事が可能。山岳渓流の場合はヘルメット着用の名手も多い。
川底のコケにも注意(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)足元チェック
岩と岩の隙間にはヤマカガシ等の毒蛇がいたり、岩の隙間に足を挟まれる、ツタが足に絡まる、コケで滑って転倒といった危険もある。遡行時は「目の前に好ポイントがある!」と突き進みがちだが、しっかりと足元を確認しながら進まなければならない。
取り込み場所の確認
良型が掛かると冷静さを欠くことが多いので、魚を掛けた後に取り込みを行う際の場所もあらかじめ想定しておく必要あり。頭上に木が無く、転倒・水没の危険が無い場所を考えておき、掛けた後はその場所まで誘導できるようにイメトレしておこう。
ネットインまで油断できない(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)痕跡チェック
釣りに夢中になっていると忘れがちだが、渓流釣りは獣の住処で楽しんでいる釣り。クマの爪痕やフンは勿論の事、強烈な獣臭がした場合などは大変危険なので、速やかに退避。クマ鈴がきちんと鳴っているか、または時折ホイッスルを鳴らすといった工夫も必要だ。
正しい対策で危険を回避!
今回紹介した内容を纏めると、まずは釣行前に天候・水位・荷物チェックを行う。釣り場に着いたら忌避剤を塗布し、帽子やタオル・軍手などを装備、入渓・退渓ルートを確認した上で音を鳴らしながら入渓。
河原に降りたら全身をチェックした後、足元や頭上、獣の痕跡を確認しながら岸沿いを注意深く進む、という形だ。ある程度慣れが必要なのは否定できないが、要は「とにかく色んなものにビビリながら進めばいい」という事になる。
一連の流れとなってしまえば無意識で行えることも多いので、足繁く渓流に通う中で、自身に合った形を見つけてほしい。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>


