梅雨後期から夏にかけての大雨直後、多くの堤防は濁りや漂流物に覆われ、アングラーの足は遠のきがちになります。誰もが「今日は厳しいな」とため息をつく状況ですが、狙いどころをしっかり絞り、アプローチを変えれば価値あるサイズに出会えるチャンスでもあります。今回は、濁りに加え横風・横潮というタフコンディションの中、素早いアクションを見切る夏イカに対し、エギの移動距離を極限まで抑えることで仕留めた釣行を紹介します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・りおまいのりお)
エリア選択と時間帯
大雨後のエギングで最も避けたいのが、河川から大量に流れ込む真水(雨水)と流木などの漂流ゴミです。特に河川の影響を受けやすい大きなワンド状の内海は、水質が回復するまで時間がかかるため避けるのが基本です。
私が選んだのは、外海から新鮮な潮が入りやすく、濁りが抜けやすい潮通しの良い外洋向きの堤防でした。
濁った様子(提供:TSURINEWSライター・りおまいのりお)エントリーしたのは、日中のプレッシャーを避けられる朝夕のマヅメとナイトゲーム。堤防に立って海面を覗くと、案の定、水は茶色く濁っていました。それでもエギングが成立するレベルと判断し、少しでも潮通しが良く濁りが薄い立ち位置を探しながら攻略を組み立てていきました。
おすすめは「ドラグゆるゆる釣法」
濁りが入った海で、まず最初に見直したのがドラグ設定です。一般的なエギングでは、シャクった際に「ジッ」と少し鳴る程度に調整することが多いでしょう。
しかし、低活性な夏イカを狙うなら話は別です。私がおすすめするのは、ラインを手で軽く引くと、ほとんど抵抗なくスルスルと出ていくほどの極弱設定。私はこれを「ゼロドラグ・ホバーダート釣法」と呼んでいます。
「そんなに緩くて大丈夫?」と思われるかもしれません。しかし、この緩さこそ最大の武器になります。
エギを移動させない誘い
ロッドを構え、片手でティップを小刻みに弾くように操作すると、ドラグが「ジッ、ジッ」と小気味よく鳴り、ラインスラックが生まれます。通常ならエギは前方へ大きく移動しますが、極弱ドラグが力を吸収することで、エギはその場に留まり続けます。
まるでベイトが漂うようなホバリングアクションを演出できるため、濁りの中で活性の低いアオリイカにもじっくり見せることができます。この「移動させない誘い」が、タフコンディション攻略の第一歩になります。
梅雨後期から盛夏は「流れ」を釣る
今回、大雨直後というタイミングで堤防に立ち、私が最も意識したのは、「濁りの中でも外洋から新鮮な潮が差し込む流れ」を探すことでした。案の定、海面は茶色く濁り、お世辞にも良い状況とは言えません。
使用したエギ(提供:TSURINEWSライター・りおまいのりお)アオリイカは視覚でエサを追う
アオリイカは基本的に視覚を使ってエサを追う生き物です。これほど視界が遮られた濁りの中で、エギをいつも通りピシピシと速く動かしてしまえば、イカはエギの存在に気付くことすら難しくなります。
「速い動きは気付かれさえしない。」そう確信した私は、終始スローな展開で勝負することにしました。
見せる時間を長く取る
激しくアピールするのではなく、イカがいるレンジへ確実にエギを送り込み、濁りの中でも認識できる時間をできるだけ長く取る。この「流れ」を意識したスローな組み立てこそが、タフコンディション攻略の鍵になると考えました。
ドリフトで狙い通りのキロアップ
作戦を決め、いざキャストを開始したものの、現場は容赦ない横風と横潮に見舞われ、非常に釣りづらい状況でした。普通ならラインが大きくあおられ、エギが引っ張られてしまい、思うようにフォールさせることすら難しい場面です。
ここで重要になるのが、徹底したラインメンディングです。風と潮の向きを計算し、エギは風上、そして潮上へキャスト。着水後は余分な糸フケを素早く回収し、ラインの軌道をコントロールします。その後は潮流にエギを乗せ、文字どおり滑らせるように流していく「ドリフト」で釣りを組み立てました。
極弱ドラグに設定したタックルでティップを小刻みに弾き、流れの中でエギをホバリングさせながら、スローかつ細かなアクションを加えていきます。
1.5kgアオリがヒット!
そして、アクションを止めた瞬間――。狙い通り、イカがエギを抱きました。次の瞬間、「ジージージー」とドラグが勢いよく鳴り響きます。沖へ向かって力強く走るアオリイカ特有の引きに、思わず頬が緩みました。
良型浮上(提供:TSURINEWSライター・りおまいのりお)慎重にやり取りを続け、無事にランディングしたのは1.5kgの良型アオリイカ。横風と横潮を逆に味方につけ、「ドリフト」と「ゼロドラグ・ホバーダート釣法」を組み合わせたことで手にできた、価値あるキロアップでした。
「動かしすぎない」が正解
大雨による濁りや横風、横潮といった悪条件が重なると、「今日は釣れない」と判断してしまいがちです。しかし、そんな状況だからこそ、ポイント選びや潮の流れの読み方、そしてエギの見せ方が釣果を大きく左右します。
夏の低活性なアオリイカは、春のように広範囲を追い回してエギを抱くことは多くありません。だからこそ、エギを必要以上に動かさず、その場に長く留めて見せることが重要になります。
今回紹介した「ゼロドラグ・ホバーダート釣法」は、そのための一つの引き出しです。さらに、潮にエギを自然に乗せるドリフトを組み合わせることで、濁りの中でもイカに違和感なくエギを見せることができました。
今後の展望
これから迎える盛夏は、水温の上昇とともにさらにシビアな状況になる日も増えてきます。そんな時こそ、潮の流れを利用したドリフトと、エギを移動させすぎない「ゼロドラグ・ホバーダート釣法」をぜひ試してみてください。
熱中症対策とライフジャケットなど安全装備を万全に整えたうえで、夏ならではの価値ある一杯を追い求めてみてはいかがでしょうか。
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<りおまいのりお/TSURINEWSライター>



