7月に入ると博多湾では、普段は沖の深場にいるタチウオが港湾部や河口周辺まで接岸し、堤防から手軽に狙えるシーズンが始まる。なぜこの時期になるとタチウオは岸近くまで回遊してくるのだろうか。今回は福岡県水産技術センターの研究成果も参考にしながら接岸の理由を解説。あわせて博多湾で実績の高いポイントや定番仕掛け、シーズン序盤の特徴について紹介したい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)
なぜ7月に博多湾へ接岸するのか
普段は水深のある深場を回遊しているタチウオが、なぜ7月になると港や河口といった浅場まで入り込んでくるのだろうか。その理由には「産卵」と「ベイトフィッシュ」の存在が大きく関係している。
産卵を控えた成熟メスが接岸
タチウオは毎年6~10月頃に産卵期を迎える。福岡県水産技術センターの博多湾における生態調査によると、産卵場は博多湾入口にあたる能古島北側の水深20m以深の海域と推測されている。
しかし、実際にショアから釣れる個体の多くは、その産卵を控えた成熟したメスだ。産卵に参加するのは主に生後2~3年が経過した全長70~80cm前後の個体。釣り人の感覚でいえば指2~3本クラスが中心となる。
産卵という大仕事を前に、効率良く栄養を蓄えるため沿岸部へ接岸してくるのである。実際、7月に釣れるタチウオのお腹には卵が詰まっている個体も少なくない。
ベイトフィッシュを追って港湾部へ
接岸したメスたちが狙っているのは、同時期に博多湾へ大量に入ってくるカタクチイワシや小アジだ。夏の博多湾ではベイトフィッシュが港湾部や河口周辺に集まりやすい。タチウオはそれらを追い込みながら捕食するため、岸近くまで回遊してくる。
つまり7月のショアタチウオは、「産卵前で活発にエサを食べる」「ベイトが豊富岸近くまで回遊する」という好条件が重なる年間屈指の好機なのだ。
テンヤ(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)狙うべき時間帯
ショアタチウオで重要なのは、魚の回遊タイミングに合わせて釣行することだ。
タチウオキャッチ(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)夕マヅメ~夜
最も実績が高い時間帯。日没が近づくと、それまで深場にいたタチウオが表層付近まで浮上し、ベイトを追って接岸する。博多湾のショアタチウオゲームは、まず夕マヅメを外さないことが基本となる。
朝マヅメ
夜明け前後もチャンスがある。ただし朝は群れの移動が速く、回遊時間が短いことが多い。時合いは一瞬で終わるケースもあるため、手返し良く攻めたい。
日中は厳しい
タチウオは強い光を嫌う夜行性の魚。完全に日が昇ると沖の深場へ落ちてしまうことが多く、ショアから狙うのは難しくなる。陸っぱりで狙うなら夕マヅメから夜間が基本だ。
博多湾の有力ポイント
博多湾全体がタチウオの回遊エリアだが、その中でもベイトが溜まりやすい場所は特に実績が高い。
かもめ広場周辺
港湾の奥まった位置にあるが、夜間にベイトが追い込まれやすく、回遊期待値の高い定番スポット。何より足場が非常に良く、車からのアクセスも抜群なため、初心者の方や仕事帰りの短時間釣行でも安全・快適にエントリーできるのが魅力。
かもめ広場(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)中央ふ頭周辺
しっかりとした水深があり、タチウオの回遊ルートとして古くから実績の高い定番エリア。潮通しも良いため、群れが一度入ると長くとどまる傾向あり。
アイランドシティ周辺
広大なエリアですが、常夜灯周りなどにベイトが集まる超人気エリア。基本的にはじっくり腰を据えての「回遊待ち」の釣りになる。群れが接岸したときの爆発力は湾内随一。
箱崎ふ頭・荒津周辺
常夜灯が多く、ベイトが集まりやすいので夜釣りに最適なエリア。プレッシャーは高いが、群れが入れば好釣果が期待できる。
箱崎ふ頭(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)なお、ふ頭周辺では立入禁止区域も増えている。現地の看板や規制情報を必ず確認し、ルールとマナーを守って釣りを楽しみたい。
タチウオ攻略の定番仕掛け2選
博多湾のショアタチウオで定番となっているのが「ワインド」と「テンヤ+キビナゴ」だ。
ワインド釣法
専用ジグヘッドとワームを使い、左右へ激しくダートさせて誘うルアー釣法だ。ワインドの強みは、広範囲を探れる/手返しが良い/高活性時に強い、の3点。特に夕マヅメの回遊直後は抜群の威力を発揮する。まず群れを探すならワインドから始めたい。
ワインド(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)テンヤ+キビナゴ
テンヤにキビナゴをセットして狙うエサ釣りスタイルだ。テンヤ釣りの強みは、夜釣りに強い/食い渋りに対応できる/初心者でも扱いやすいの3点。アクションは基本的に「ただ巻き」でOK。ワインドで反応がなくなったタイミングや、ショートバイトが続く状況では非常に頼りになる。
シーズン序盤の特徴
シーズン序盤の7月に接岸する群れは全長70cm前後の指2~3本サイズが中心。大型狙いというより数釣りを楽しむシーズンといえる。
数釣りのチャンス
若く活性の高い群れが多いため、回遊に当たれば連続ヒットも珍しくない。2桁釣果も十分期待できる時期だ。
釣果のムラは大きい
一方でベイトの状況や群れの動きによって釣果は大きく変わる。前日まで好調だったポイントが翌日には沈黙することもあるため、SNSや釣具店の情報をこまめに確認したい。
安全対策と持ち物
ショアタチウオは夜釣りが中心となるため、安全装備は必須だ。
こんな釣果も(提供:TSURINEWSライターりおまいのりお)ヘッドライト
夜間のライン結束や足元確認に欠かせない。機能に応じて幅広い価格帯の製品が展開されているので、自身のニーズに合ったものを選ぶようにしよう。
ライフジャケット
もはや言うまでもないが、堤防釣りであっても必ず着用したい。子供連れのばあいは子供用のライフジャケットをしっかり着用させよう。
フィッシュグリップ
タチウオの歯は非常に鋭い。素手で掴むのは危険なので必ず用意しておこう。
クーラーボックス
鮮度良く持ち帰るため氷は多めに準備したい。ペットボトル氷を入れておくと、氷が長持ちするのでおすすめ。
熱中症対策
夜でも蒸し暑い日が多い。水分補給は忘れず行いたい。
7月の博多湾でショアタチウオを楽しもう
博多湾のショアタチウオは、接岸のタイミングさえ掴めれば初心者にも十分チャンスがある人気ターゲットだ。7月は産卵を控えたタチウオがベイトを追って岸近くまで回遊するため、年間でも特に狙いやすいシーズンとなる。
夕マヅメから夜にかけての回遊を意識し、まずはワインドで広く探る。反応が落ちたらテンヤ+キビナゴでじっくり攻める。このローテーションが博多湾攻略の王道パターンだ。
仕事帰りや夕涼みがてらでも楽しめるのがショアタチウオの魅力。ぜひ万全の準備を整え、博多湾の夏の風物詩ともいえる銀色のファイターとの駆け引きを楽しんでほしい。
<りおまいのりお/TSURINEWSライター>


