アジングを続けていると、誰もが一度は味わった経験があるはずだ。同じ場所、同じ時間、同じ潮回りに近い条件なのに、昨日はゼロだったのに今日は爆釣――そんな極端な差が普通に起こるのである。逆に、昨日まで入れ食いだった群れが翌日には完全消滅していることも珍しくない。メバルや根魚系よりも、この振れ幅は明らかに大きい。なぜアジだけここまで極端なのか。その理由を考えてみたい。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・井上海生)
アジは回遊する魚
アジ最大の特徴は、やはり回遊魚であることだろう。根魚のように一定エリアへ居着くわけではなく、群れ単位でかなり広範囲を動いている。そのため、群れが入った瞬間だけ急に釣果が爆発する。
特に堤防アジングではこの差が極端である。数時間前まで無反応だった場所で、突然連発が始まることもある。逆に、一瞬時合が終わると何事もなかったように沈黙する。
これはアジがポイントに居続けているわけではなく、通過しているだけの場合が多いからだと思われる。しかもアジの群れは、単純な一直線移動ではない。ベイトや潮に合わせてかなり細かく位置を変えている。
そのため、数十メートル違うだけで釣果が大きく変わることもある。つまり、アジングは魚を掛ける釣りである前に、まず群れへ遭遇する釣りなのである。この回遊依存の強さが、極端な釣果差を生みやすい理由なのだと思う。
爆釣するときはするけれど……(提供:TSURINEWSライター・井上海生)ベイトとの強い関係
アジは非常にベイト依存が強い魚でもある。基本的に、餌がいる場所へかなり素直に付く。逆に言えば、ベイトが抜ければすぐいなくなる。
特に常夜灯周りでは分かりやすい。プランクトンが浮き、それを小魚が追い、さらにアジが差してくるという流れが成立しやすい。つまりアジは、自分の意思でポイントへ居着いているというより、餌に引っ張られている側面がかなり強い。
しかも、その餌自体も安定しない。潮流、風、水温、光量などでプランクトン量は変わるし、小魚の位置も日替わりになる。結果として、アジ側も安定しない。
だから昨日まで大量にいた群れが、今日は完全不在ということも普通に起きる。
突然の不在も(提供:TSURINEWSライター・井上海生)潮や水温の影響
さらにアジは、潮や水温変化にもかなり敏感である。特に大阪湾のような環境変化の激しい場所では、その影響が大きい。例えば潮が効いていない日は、群れが散りやすい。逆に潮が動き始めた瞬間だけ時合が来ることもある。
水温についても同様である。アジは適水温帯へかなり素直に動くため、急激な冷え込みや雨による水潮などで一気にレンジを変えることがある。
しかも難しいのは、条件が一つだけで決まらない点である。水温だけ良くてもベイトがいなければ成立しない。潮だけ動いても風向きで崩れる。逆に多少条件が悪くても、ベイトさえ大量なら釣れることもある。
つまり、複数要素が噛み合った時だけ回遊が安定しやすいのである。そのためアジは、他魚種以上に当たり外れが極端になりやすい。逆に言えば、その日の海の変化が釣果へ直結しやすい魚とも言えるのかもしれない。
待つだけでは難しい
だからこそ、アジングは待つだけでは厳しい釣りになりやすい。
もちろん回遊待ち自体は重要である。しかし、完全に一点固定で粘り続けるだけでは空振りする日も多い。むしろ重要なのは、群れを探しに行く感覚だと思う。
常夜灯をランガンする。潮通しを変える。少しでもベイト感がある場所へ移動する。そうした足を使った展開がかなり重要になる。
釣りたければ動け(提供:TSURINEWSライター・井上海生)特に近年は、回遊そのものが不安定な年も増えている印象がある。春アジが入らない年もあるし、秋でも群れが細かく散ることがある。だからこそ、昔以上に場所選びの比重が大きくなっている。
アジは決して気まぐれな魚ではない。むしろ非常に合理的に動いている魚なのだと思う。ただ、その合理性が人間側から見ると極端に見えるのである。
<井上海生/TSURINEWSライター>



