6月1日、岡山県発の遊漁船「瀬戸内アングラーズ」が今季からスタートした「サワラキャスティング&タイラバ一日便」に乗船した。今回の目的は、4月の初挑戦で悔しい結果に終わったサワラキャスティングのリベンジ。サワラの強烈な引きを味わうことはできたものの、本命はあと一歩で逃げられてしまった。しかし後半のタイラバでは良型マダイをキャッチし、充実した一日となった。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・齊藤真)
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サワラキャスティング&タイラバ釣行
6月になった。港に立つと、東の空がわずかに白み始めていた。夜明け前の海には独特の匂いがある。潮の香りだけではない。昨日までの風や波や魚たちの気配が、まだ海面近くに漂っているような匂いだ。
瀬戸内アングラーズの船に乗り込む。今月から始まったサワラキャスティングとタイラバの一日便である。
瀬戸内アングラーズ(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)平日でも満員御礼
平日の月曜日だというのに8人満員。皆それぞれの思いを抱いて集まっている。大物を夢見る人もいるだろうし、ただ海の上にいたい人もいるだろう。私はもちろん前者である。
4月に初めて挑戦したサワラキャスティングで見事に敗れていた。今日はその借りを返しに来た。
船は午前5時、静かに港を離れた。朝日が海面を染め始める。振り返ると岡山の陸地が少しずつ遠ざかり、前方には小豆島の影が浮かんでいた。
この時間の瀬戸内海は美しい。美しいという言葉では足りない。島々の輪郭は墨絵のようで、その向こうに淡い桃色の光が滲んでいる。まるで誰かが空に絵具を流したようだった。
この時間の瀬戸内海は美しい(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)開始早々にサワラヒットも痛恨のバラシ
ポイントに着く。水深20m。昨日は中層でサワラが出たという。ブレードジグを投げる。着底。そして巻く。ただひたすら巻く。海の中の出来事は見えない。だが見えないからこそ想像する。今この瞬間にも銀色の魚体がルアーを追っているかもしれない。
その時だった。ひったくられた。ロッドが絞り込まれた。思わず息を呑む。サワラだった。初めて味わう力強い引きだった。魚は船底を回り込み、右へ左へ走る。水面近くに銀色の魚体が見えた瞬間、胸の中で何かが弾けた。獲れた。そう思った。
取り込み直前にバラし
しかし魚は最後の力を振り絞るように海底へ突っ込んだ。ドラグが鳴る。私は耐えた。だが次の瞬間、ふっと軽くなった。海だけがそこにあった。魚はいなくなっていた。しばらく呆然とした。
たった数秒の出来事だったが、心の中には長い余韻だけが残った。逃した魚は本当に大きかったのか。あるいは記憶の中で少しずつ大きくなっていくのか。
本日のスターティングメンバー(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)本命は不発もゲストにマダイ登場
そんなことを考えながら再びルアーを投げ続けた。結局、その後私のサワラは口を使わなかった。
代わりに上がってきたのは33cmほどのマダイである。魚は魚だ。ありがたい。
しかし本命ではない。人生(釣り)というものは、いつも少しだけ思い通りにならない。
ボトムから登場(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)タイラバへ転戦で45cmマダイ手中
午前10時。船はタイラバへ切り替えた。予報どおり風が吹き始めていた。大潮の下げ潮。海面には川のような流れが現れている。
船長は潮と風の間で苦労していた。ポイントを決めては流し、またやり直す。海は生き物だから、人間の思惑通りにはいかない。
正午近く。私のロッドが大きく曲がった。今度はマダイだった。首を振る感触が手元に伝わる。慎重に寄せる。
無事に取り込んだ魚は45cm。美しい魚だった。桜色という表現があるが、マダイほどその言葉が似合う魚はいない。十分満足していた。
美しいマダイに満足(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)船中最大69cm大ダイが浮上
だがその後、さらに大きな魚が現れる。回収の合図が出た直後、1人だけ残された竿が大きく曲がっている。
誰もが手を止めて見守る。やがて海面に浮かんだのは69cmの大ダイだった。船上から歓声が上がる。
釣り人というものは不思議だ。自分の魚ではなくても、良い魚が上がれば嬉しい。海の恵みを皆で分け合っているような気持ちになる。
満場の視線のなか69cm大ダイと格闘中(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)全員安打達成で納竿
午後2時、沖上がり。帰り道は風波が高かった。右舷から波を受けながら船は北へ向かう。朝から10時間。長いようで短い一日だった。
港に戻ると船長が笑いながら言った。「逃がした魚は大きかったですね」
その言葉に私も笑った。本当に大きかったのかどうかは分からない。だが、あの銀色の魚体は確かに見た。水面を翻した一瞬の輝きは、今も目に残っている。
私の釣果(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)次こそサワラリベンジを!
釣果はマダイ2匹。45cmと33cm。数字だけを書けば、それで終わる話かもしれない。けれど釣りとは魚の数だけではない。
朝焼けの海も、走り去ったサワラも、潮の匂いも、船上で交わした言葉も含めて一日の釣果なのだと思う。そして私はきっとまた海へ行く。あの一本に、もう一度会うために。
また戻ってくるよ(提供:TSURINEWSライター・齊藤真)<齊藤真/TSURINEWSライター>



