常磐沖のヤリイカがシーズンイン。今季は北から南まで群れが確認されており、例年以上に期待がもてる。1月末に鹿島の不動丸を取材した。
常磐沖のヤリイカ釣況
常磐沖の特徴は、浅場を狙えること。ときには水深50m前後まで上がってくることがある。
型が大きく、パラソル級が1束以上確保できることがあり、ファンを夢中にさせている。現在の鹿島沖ではまだ水深130mほどだが、水温低下とともに浅い場所に姿を見せる可能性は高い。
特に2月頃は、等圧線が狭まり、広い範囲で強風が吹く。鹿島でも連日、シケが続き、出船を断念することもあり、貴重なナギのタイミングを逃がしたくない。
タナはベタ底
当日は風は弱いが、三日ほど前までの強い風でウネリは残っている。船の大きな上下動の影響でイカがバレやすくなり、苦戦が予想された。
5時半ごろ、小塙船長の舵取りで出港、航程45分ほどで南沖のポイントに到着。船長からは「水深130mだよ」のアナウンスのみ。
ヤリイカ釣りではタナ指示の範囲を探ることが多いが、ここの群れはベタ底から離れない。
たとえば、5mの仕掛けならプラス2~5m上まで探れば十分。巻き上げずにその場で誘い上げ~下ろし、シェイクなどを繰り返す。
あまり触りがない場合は、10mほど上げてから落としなおすといい。掛かるのはオモリに近いツノが多く、海底を丹念に攻めることが求められる。根がキツいので、根掛かりがひん繁に発生。オモリの予備は5個以上。できるだけ多く持っていきたい。
朝イチが狙い目
「朝イチが狙いめだよ! 頑張って!」のアナウンスで開始。一斉に150号のオモリを投げ入れる。投入機からは色とりどりのプラヅノがパラパラと続く。
最初のポイントでは型をみることはなかったが、5分ほど走って移動するとポツポツ上がり始める。
例年の傾向では、開幕直後にトップ100尾を超えるような大釣りがあり、ひと段落した後、水深60m前後の浅場に次の群れが入ってくる。
現在はひと段落した状況だが、それでもいい日は頭60尾ほど上がる。サメやサバに苦しめられることはあるが、この日はどちらの姿もない。
スッテに好反応
右舷胴の間の西澤さんは船長に借りた竿で挑戦。コマセ釣り用の万能インナーガイド竿で胴調子。「アタリが分からない」と笑うが、バラシはほとんどない。ここのヤリは元気で引きがよく、ウネリも手伝ってバラしやすいが、軟らかい竿なら対応できるようだ。目感度で触りを察するには慣れが必要。
「スルメ並みに引くよ。これは楽しい」と萩野さんはコンスタントに良型を取り込む。
プラヅノではなくスッテに掛かってくるケースが多いようだ。
「下(海底)が濁った、このへん釣れるよ!」のアナウンスで浅川さんはダブル。
やはりスッテに好反応だが、プラヅノにも掛かる。「カラーにかたよりはありません」と言うから、幅広く各色のプラヅノ+スッテの組み合わせを用意して攻めたいところだ。
良型がメイン!
近くに見えるほかの19t船が見えなくなるほどウネリがある状況、アタリを拾っても掛かっていない状況がひん発。ときにはゲソだけ付いていることも。
「なんでだろう、すごく引くのに」と萩野さんは上げた数と同じくらいバラしてしまっている。
浅川さんはウネリに合わせ、竿を上下させて対応するが、それでも数は伸びにくい。
しかし、上がるイカは良型ばかりだ。
左舷ミヨシで中川船長も胴長40cmオーバーを釣り上げて満面の笑み。獲物は「あげるよ」と言って、同船者に譲渡している。