今回は三重県・鳥羽沖へ釣行。中部エリアでは珍しく、瀬戸内さながらの浅場急潮エリアのスリリングなタイラバを楽しんできた。当日の様子と合わせて気づいたことなどを述べたい。
(アイキャッチ画像提供:週刊つりニュース中部版APC・原田順司)

鳥羽沖でタイラバ釣行
数々の離島が点在する三重県・鳥羽沖。複雑に潮が絡み合い、時には激流となって釣り人を悩ませる。同時にその速い潮は多くの魚を育み、特にマダイはその尾ビレの大きさが目立つ美形ぞろいで、鳴門や明石のそれにひけを取らないほどの食味を誇る。
そんな魅力的なフィールドに案内してくれるのは、鳥羽市小浜から出船している丸安丸。このエリアでは稀有(けう)なタイラバ専門船だ。ただし6月~9月いっぱいはその拠点を松阪市松名瀬に移し、キス釣りをメインに出船している。
今季のタイラバシーズンも終盤にさしかかっているが、今年は5月いっぱいタイラバで出船予定。4月に入って釣果が急上昇してきたこともあり、16日に釣行してきた。

鳥羽沖の特徴
午前6時すぎに小浜に到着すると、この日の乗船者は4人。私の他に常連の出口名人、津の森国さんら2人だ。早速タックル2本を携え、船に乗り込んで準備を進めていく。
このエリアは総じて水深が浅い。深くても40mで、50mに届くことはほとんどない。もちろん攻めるポイントによって違うが、平均すると20~35mといったところか。浅い所では15m前後というポイントもある。
船はドテラ流しで攻めるので、アングラーは左舷に並んで釣ることになる。使うタイラバは60~80gがメイン。個人的には80gの出番が一番多いと感じている。風が強くて船の流れる速度が速いときは、100~120gを使うこともある。

水深が浅くアタリが明確
水深が浅いので、とにかくアタリはダイレクトに伝わる。ディープエリアの押さえ込むようなアタリではなく、いきなり手元にガガンッとくる。これがこの浅場が多い鳥羽沖のタイラバの醍醐味といえよう。
だがその分マダイの首振りがダイレクトに伝わるので、やり取りはスリリングそのもの。タモに入るまで一瞬たりとも気が抜けないのだ。
当然バラシも多い。マダイがタイラバを追う距離が短いのか、浅場ゆえに警戒心が強く食いが浅いのか分からないが、とにかくよくバレる。ムキになって通い詰める理由がここにもあるのだ。
またこの時期はノリソダが撤去され、その際に海にばらまかれたノリがマダイのエサになって、いわゆるノリパターンになることもある。ただ今季は明確なノリパターンという期間は短かったように思う。

釣行開始
午前6時半に出船し走ること30分。答志島沖に到着し、ほどなく船長から「やって~」と合図が出た。出口さんはタングステン80g、私もタングステン80gのタイラバを落としていく。
ネクタイはこの海域で抜群の実績を誇る剣屋のサンリキプロスペック極。フックはがまかつファインマスターの3本バリに交換してある。

釣友にヒット
風はほとんどなく絶好の釣り日和。だが風がないのにラインは前方へ大きくなびいている。潮がかなり走っているようだ。
これはいい感じ……と思っていると、タイラバ初挑戦という森国さんの同行者がいきなりヒット。横で森国さんがアドバイスを送りながら、慎重にやり取りしている。

35cmのマダイをキャッチ
やがて水面に浮いたのは35cmぐらいのきれいなマダイ。まさに食べごろサイズだ。「初めてで釣れました~」と満面の笑顔。これでタイラバ沼にどっぷりハマり込むことだろう。
続けてのヒットも彼。同サイズを取り込む。ビギナーズラックか天性の素質か。

潮流が激変する海
そんなことを考えていると、じゃばじゃばという音が聞こえてきた。何かと思ってみると、浮かんでいるブイが流れに押されて大きく傾いている。川の中につながれたウキのように、傾いたブイに潮流が当たり波立っている音だったのだ。
「潮飛んどるな~」と船長。何度もこのエリアに来ているが、ここまでぶっ飛んだ潮はそうそう見たことがない。事実風はほとんどないのに、船の流れる速度がハンパないのだ。
ここでタイラバを100gに変更。出口さんも同じようにシンカーを交換していた。水深は30mそこそこだが、ラインは50m以上出されている。あまり流すと回収が大変なので、適当なところで回収して落とし直す。

45cmの良型マダイ登場
ここで隣から軽快なドラグ音。見ると、出口名人がしてやったり顔でやり取りしている。見ていると60cmは超えているんじゃ……と思うほどラインが引き出されている。
やがて浮いてきたのは……あれ?思ったより小さい。それでも45cmはある良型だ。潮が飛んでいるせいで、サイズ以上の引きと重量感になったようだ。

筆者も35cmのマダイを手中
私はというと、毎度おなじみのショートバイトに悩む時間。ガガンッときて外れて、ガンッときてぽろり。こんなことが3回続いた後、ようやくしっかりフッキング。サイズ以上の引きを堪能させてくれたのは、やはり35cmほどの超美形マダイだった。
だがその後さらに潮は速さを増し、100gでも3回底取りするのが限界に。ここで船長がポイント移動を告げた。
