気温の低下とともに、海水温が下がる秋冬の時期。気合を入れて寒さは覚悟の上で出艇するのですが、できることなら冷たい水に濡れることなく、快適にカヤックフィッシングを楽しみたいのが正直なところです。そこで今回は、ホビー・アウトバックに乗る筆者が、秋冬のカヤックフィッシングで実感した足漕ぎカヤックのメリットをご紹介。足漕ぎカヤックが濡れづらい理由や釣りのしやすさ、大物とのやりとり方法など、5つのポイントについて解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
お尻が濡れないシート
最初なのにお尻の話からで申し訳ありません。ですが、お尻が濡れないことは、秋冬に快適なカヤックフィッシングをするための超重要ポイントなのです。
想像してみてください。冷たい風が吹きすさぶ海の上、お尻が濡れてヒヤ~っとした状態で長時間釣りをする……思い浮かべるだけでも不快感MAXですよね?どんどん魚が釣れて夢中の状況ならば我慢できるとしても、アタリすら無いシブい状況だったら早々にイヤになって納竿を検討してしまうかも……。
ホビーカヤックのシート仕様
ホビーカヤックの現行モデルは、座面を船体から浮かせた位置に取り付けるパイプフレームタイプで、しかもメッシュ生地仕様。そのため、根本的に濡れにくい構造で、濡れたとしても乾きやすい設計となっています。
手漕ぎカヤックの多くのモデルや、一世代前のホビーカヤックは船体の着座部に直接ペタッと載せるタイプのシート。
このタイプは、シンプル・軽量・低重心・運搬時にかさばらないなどメリットも多いのですが、波をかぶると水たまりの上に座るような状態が発生し、お尻が濡れてしまうことが頻繁に発生してしまいます。
ここで、「あれ!? 防水性のドライスーツやパドリングウェアを着用していても濡れるの?」という疑問をもたれる方もいるでしょう。
たしかに、買ったばかりで防水・撥水加工がバッチリ効果を発揮しているうちは良いのですが、経年劣化やメンテナンスの頻度、もしくは製品本来の生地性能によってはジワッと水が浸みてくるケースがしばしばあります。
そのため、シートの構造自体がお尻を濡らしにくい現行モデルのホビーカヤックがおすすめなのです。
パドルを使わないから濡れない
足漕ぎカヤックが濡れづらいのはお尻だけではありません。足漕ぎカヤックは、出艇と着岸の時以外は基本的にパドルを使う必要がないため、パドリングによって体にかかる水しぶきがとても少ないのです。
パドルからタレてくるしずくは意外と無視できない量で、まる1日漕いでいるとかなり濡れてしまいます。
頭のてっぺんから太ももまわりまで様々な部分に水がかかりますが、とくに気になるポイントは袖口からの水の侵入。ここから水が入ってくると、一気に快適性が失われてしまいます。
袖からの浸水防止は、手漕ぎカヤックを操るアングラーが手首にピタッと密着するラテックスゴム製の袖を装備したパドリングジャケットを着用する理由の一つ。しかし、足漕ぎカヤックならば簡易的な設計の袖口でも水が入ってくる心配が少ないので、ウェアの選択肢も広がります。
ラインの角度を調整しやすい
続いて、実釣面におけるメリットをご紹介しましょう。多くの魚が浅場から深場へ移動する晩秋から冬にかけては、必然的にジギングやタイラバなどを使用した深場狙いの釣りが多くなります。
そのようなバーチカル(垂直方向)の釣りがとてもやりやすいのが足漕ぎカヤックが優れているところ。ロッドを両手で持ったままでも、ペダルを踏みこんで前後方向に移動しラインの角度を調整することができ、ラダーによって船首の向きを左右方向に微調整することも可能です。
ラダーの操作は、手もとのレバーをクイっとひねるだけなので、フォール中はもちろん、慣れればルアーのキャスト後から着水するまでのわずか0.5秒もあれば可能なほど簡単&シンプル。
ラインの角度を適正に調整でき、常にロッドから手を離さないことでフォール中のアタリを逃さず、さらに魚群や竿抜けポイントの上にホバリングで定位することも可能……となれば、釣果に大きな差が生まれても不思議ではありませんよね。