気温の低下とともに、海水温が下がる秋冬の時期。気合を入れて寒さは覚悟の上で出艇するのですが、できることなら冷たい水に濡れることなく、快適にカヤックフィッシングを楽しみたいのが正直なところです。そこで今回は、ホビー・アウトバックに乗る筆者が、秋冬のカヤックフィッシングで実感した足漕ぎカヤックのメリットをご紹介。足漕ぎカヤックが濡れづらい理由や釣りのしやすさ、大物とのやりとり方法など、5つのポイントについて解説します。
(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター・福永正博)
大物とのファイトがしやすい
秋冬のカヤックフィッシングの大きな魅力は、なんといってもほかの時期にくらべて大物が釣れやすいこと。カヤックを引っぱりまわすほどの大物とのやりとりは、カヤックフィッシングをする誰もがあこがれる最高の瞬間です。
ファイト中に安全地帯に退避可能
ようやくヒットした大物を逃すまいと懸命なファイト!夢中になるのも無理はありませんが、そんな時こそ要注意です。なぜならば、魚とのやりとりに一点集中してしまうと、カヤックが風や潮流で流されていることをついつい忘れてしまうからです。
ファイト中、ふと気づくと接近禁止の定置網ゾーンに近づいてしまっていたり、ほかのカヤックやボートとぶつかりそうになったり……。時間がかかる大物とのファイトだからこそ起きやすいヒヤリ事例です。
そこで、ヒヤリとする事態になる前に足漕ぎカヤックのメリットを最大限に生かして退避してみましょう。カヤックが望ましくない方へ向かいそうな際は、両手でしっかりとロッドを握ったままペダルを漕いで、犬の散歩のように魚を引っぱりながら移動してしまうのです。
常にラインテンションがかかるので案外バラシは少なく、大型魚の有り余るスタミナを削る効果も期待できます。さらに、バック(後進)機能があればなお良しで、魚が走る方向を見てロッドワークを駆使しながら、安全な場所まで退避可能です。
カヤックで大物とやり取り
リールが巻けないほどの大物がヒットしたときは、ペダルを踏みこんで魚の方へ近づいてみましょう。魚に近づけば、ラインの張りに少し余裕ができてリールを巻けるようになります。また、すべてのラインを引き出されてしまう事態を回避するのにも有効です。
筆者も、1m超えのサメがスレがかりした際にこの方法を実践しましたが、リールだけに頼るより確実に早く決着がつきましたよ。最後は手もとまで寄せたところでバレてしまいましたが……。
ちなみに、「大きな魚がかかったら、カヤックがひっくり返ったりしないの?」と質問されることがよくありますが、心配ご無用。カヤックフィッシングで釣れた大物の記録を調べてみると、30kgを超えるマグロやカジキなどの釣果も報告されています。
バランスが崩れないように少しだけ意識しておけば、よほどの超大物でないかぎりカヤックはひっくり返らないので安心してファイトしてくださいね。
安定性が高いので安心
最後に、秋冬の寒い時期におこなうカヤックフィッシングで忘れてはならない要素がカヤックの安定性です。なぜなら、万が一にも転覆や落水をしてしまうと、タックルや装備品を失うだけでなく、冷たい海水によって低体温症になり生命の危険を招く恐れがあるからです。
秋冬のカヤックフィッシングを過剰に恐れる必要はありませんが、安定感に欠けるカヤックでは常に一抹の不安を抱えながらの釣りになってしまうかも……。
その点、ホビーカヤックのラインナップにある多くのモデルは安定感抜群。筆者愛用のホビー・アウトバックは、おだやかな海況ならば立ち上がって釣りができるほどの安定感です。
さらに、向かい風でも時速5〜7kmで巡航できる機動力も備えているので、天候が急に悪化してもすみやかに帰還可能です。文字で時速5〜7kmと書くと遅く見えてしまいますが、疲れない程度に漕いでのスピードとしてはフィッシングカヤックの中でかなり速い部類でしょう。
ちなみに、ホビーカヤックのラインナップ中、スリムな船体のレボリューションシリーズに限っては多少グラグラする感覚がありますが、サイドフロート(カヤックの左右両側に取り付ける浮力体)を装着すれば抜群のスピードと安定性を両立した無敵の足漕ぎカヤックにグレードアップしますよ。
カヤックフィッシングは足漕ぎカヤックで
今回は、秋冬の釣りにおける足漕ぎカヤックのメリットをご紹介しました。みなさんも安全面にはじゅうぶん注意して、寒さに負けず海に漕ぎ出してみてくださいね。きっと素敵な1日が待っていますよ!
<福永正博/TSURINEWSライター>