全ソルトアングラーが待ち焦がれた秋がやってきた。多くの釣り物が賑わいを見せるが、中でも、シーバス（スズキ）は最高の釣り物だ。ルアーへの反応もよく、最大100cmも超えるサイズが現れる。通常のシーバスタックルでなく、ライトタックルで挑むのがLT（ライトタックル）シーバス。メバリングタックル流用で、さあ、獲れるか秋のランカークラス！LTシーバスの秋のパターンと、打ち方など基本を紹介していく。
（アイキャッチ画像提供：TSURINEWSライター井上海生）
秋のLT（ライトタックル）シーバス
シーバスは季節によって捕食対象が異なる。中でも有名なのが、春の「バチ抜け」だ。海面に浮上してくる多毛類（バチ）を偏食し、他のものはあまり食べようとしない。この習性を利用して、多毛類に似せたルアーで、バチ抜けシーバスを制することができる。
LTバチ抜けシーバス（提供：TSURINEWSライター井上海生）シーバスの最盛期は春と秋で、春はバチ抜けでベイトが絞りやすいが、秋はそうもいかない。秋はその場の条件や群れ単位で、シーバスのベイトがかわる。特によく食うのがコノシロ、サヨリ、アジだ。これらの魚は結構シルエットが異なる。そのため、本当によーくベイトを見てくるシーバスだと、いくら高活性でも食わせることができない。シーバスアングラーはその難しさと、うまくかけたときのファイト時の強烈な引きに魅了されるのだろう。
ここで紹介する、メバリングタックルを使うLT（ライトタックル）シーバスはそこまで複雑ではない。ただメバル用のタックルそのまま、ルアーを通すだけだ。
しかし。そもそも強烈な秋のシーバスを、LT化できるのか？それは場の条件次第ともなってくる。
秋のシーバスはLT化できるか？
春のバチ抜けシーバスは、小型が多い。70cmが来たら上等だ。だが秋はワケが違う。食い気なヤツが多く、80cmから上、ランカークラスが来ることもある。
メバリングタックルで最大級のシーバスを釣り上げることができるか？答えは、「場所の条件がアングラーに有利なら、できる」。手前に沈み根が入っていたり、キワにシーバスがいくらでも潜り込めるスリットがあれば、厳しいだろう。また他のシーバスアングラーが多い釣り場では、フィネスでシーバスをするのは、迷惑でもある。ドラグを使って、さんざん陸側を動き回らなければならないからだ。LTでは一方的に釣り切れるターゲットではないので、そこは理解しておきたい。
足場が近いとなお理想的（提供：TSURINEWSライター井上海生）まとめると、「ひとけがない場所で、平穏な波止ならば、LTシーバスが成立する」。
フローティングのルアーで攻略
タックルはメバリングタックルをそのまま流用する。PEラインは0.3号、リーダーは6lbか7lb、大型が多いなら8lbを100cm張っておけばいいだろう。
大事なのは、ルアーの選定だ。メバリング用のルアーを使うのだが、メバルのプラグは35mm～最大90mmまでと、一般のシーバスルアーと比べると小さいので、シーバスに見つけてもらいにくい。
そこで、工夫する。「表層しか狙わない」、この作戦でいこう。
表層は魚にとって「壁」である。青物からメバルまでそうだが、ベイトを一番捕食しやすいのは魚がそれ以上は行動不能となる壁際で、そして、水面も同様に壁となる。水面で食わせるために、LTシーバスでは基本的にフローティングのルアーだけを使う。表層でアピールして、魚を注目させ、食わせる。
フローティングでLTシーバス（提供：TSURINEWSライター井上海生）フローティングの小型のルアーのシルエットを、シーバスはあまりジッと睨んではいない。メインベイトが何でも、食うときには食う。サイズは最小35mm～75mmほどまで。カラーもこだわることはない。
シンキングやワーミングでレンジを入れるのもいいが、そのように探る範囲を広くすると、「これ本当にシーバスが見てくれているのかな？」と不安になるうえ、たまに来るアタリに再現性が出ない。表層で食ってくるシーバスを待ち、もちろんメバルがくれば上等という考えで攻めていこう。
超大型に備えて
シーバスは都市港湾部にストックが多い。中でも汽水域に入りやすい魚なので、ベイエリアの小場所にマイポイントを作ろう。
上にも述べたが、秋のシーバスはデカい。デカいのでなくても、春の産卵期と比べると、まだまだ盛んにベイトを食ってやるぞとハングリーに襲い掛かってくる。よく引く。それにビビってはだめだ。PE0.3号あれば、魚の引きをドラグを使って相殺し、時間をかければ取り込める。焦ってはいけない。
大型こそ慌てず粛々と釣り切る（提供：TSURINEWSライター井上海生）しかし80cm上は、筆者もLTでは未知の世界だ。70cmでも10分かかったりするので、もう少しファイトが伸びるかもしれない。やってやれないことはないはずだ。
予期せぬ大型がきたときにしてはいけないのは、どんな釣り物でもそうだが、興奮してパワーファイトしてしまうこと。落ち着いて魚の引きに追従したロッドワークで、ハリを伸ばされず、ラインを切られずに、ランディングまで持ち込もう。
＜井上海生／TSURINEWSライター＞
